自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥

文字の大きさ
8 / 49
第2章 カップルみたいな事をしてるけどまだ付き合ってすらいないんだぜ

第7話 ああ、アリスが満足するまで付き合ってやるよ

しおりを挟む
 昼休みに恐ろしい体験をした俺だったが、その後は特に何事も無く過ごしていた。あれからアリスの様子もいつも通りだったため、実はあれが全部夢か幻だったのでは無いかと思い始めるほどだ。

「……そうだよ、命の危機を感じるなんてどう考えてもおかしいに決まってる。ここ最近色々あってめちゃくちゃ疲れてたから多分そのせいだな」

 きっと疲れが一気に溜まり過ぎてたせいで脳がバグか何かを引き起こしたに違いない。明日と明後日は待ちに待った土日のためゆっくりと休む事にしよう。
 そんな事を考えながら俺はリュックサックの中に教科書とノートをしまい始める。この後ある帰りのホームルームが終われば放課後になるため、もう教科書やノートは必要無い。

「なあ、今日の放課後皆んなでカラオケ行かない?」

「いいわね、私は賛成よ」

「えー、どうしよう」

 明日から休日という事でクラスメイト達のテンションも昨日や一昨日よりも明らかに高く、周りからは放課後の予定を話す声がちらほらと聞こえてきていた。
 ちなみにぼっちの俺は普段なら金曜日の放課後に誰かとどこかへ行く用事なんてまず無いが、今日はアリスから買い物に付き合って欲しいと言われていたため珍しく予定が埋まっている。それから少しして鳴神先生が教室にやって来た。

「皆んな席に着け、今から定期テストの成績表を配るぞ」

 ゴールデンウィーク明けにあった定期テストの結果が遂に返却されるという事で、ホームルームが始まって一旦静まり返っていた教室内が再びざわつき始める。
 答案用紙は既に全教科返却されているが順位は今から配られる成績表にしか書かれていないため、転校生でテストを受けていないアリス以外は皆んなドキドキしているのだろう。

「よっしゃ、前より順位上がった」

「うわ、予想してたよりだいぶ酷いんだけど……」

 出席番号順に鳴神先生から成績表を受け取り始める訳だが、喜ぶ者や落ち込む者、無反応な者などクラスメイト達のリアクションは様々だ。

「今回は四位か、目標の十位以内には入れてるし悪くないな」

 俺はというと前回に引き続き今回のテストでも順位が一桁だったため割と満足していた。これで俺が自称しているハイスペックぼっちの地位は守られたと言っても過言では無い。
 しばらくして全員に定期テストの成績表が行き渡った後、鳴神先生からの連絡事項を聞いてホームルームは終了となった。ようやく放課後となり少し気分が楽になったのも束の間、いきなり大きな問題が発生する。

「ねえ、アリスも私達と一緒にカラオケ行かない?」

「誘ってくれるのはめちゃくちゃ嬉しいけど今日の放課後は拓馬と一緒に買い物の予定だからパスかな」

 なんとアリスがクラスの陽キャグループのメンバー達からカラオケに誘われ始めたのだ。当然アリスは俺と買い物をする予定がある事を理由に断っていたわけだが、彼らは全く諦める気がないらしくそのまま誘い続ける。

「えー、せっかくだから私達と一緒に行こうよ。絶対楽しいからさ」

「そうそう、黒月との買い物はまた今度って事で」

 陽キャ特有のノリと勢いで迫ってくる彼らはアリスを度々グループに勧誘していた。だから今回も多分その一環で遊びに誘ってきているに違いない。

「悪いが今回は俺との買い物が先約だからアリスを誘うのはまた今度にしてくれ」

「皆んなごめんね、そう言う訳だから」

 アリスが全く乗り気じゃ無い事に気付いた俺はそう助け舟を出した。そこまでしてようやく誘うのを諦めた陽キャ達だったが、一部のメンバーから睨まれてしまう。
 アリスの勧誘を俺が邪魔した形になったせいでヘイトを買ってしまったが、別に痛くも痒くもないため特に問題は無かった。

「拓馬、さっきは助けてくれてありがとう」

「どういたしまして」

 教室を出た俺とアリスはそんな会話をしながら靴箱に向かって歩き始める。相変わらず腕を組んでいる俺達だったが、ここ数日間で感覚が麻痺してきたのか恥ずかしさはあまり無くなってきていた。

「助けてくれたお礼は後でちゃんとあげるから楽しみにしておいて」

「それなら期待しとくわ」

 別に何かしらの見返りが欲しくてアリスを助けたわけでは無いが、貰えるものは素直に全部貰うつもりだ。

「ところで今日の買い物って何を買う予定なんだ?」

「引っ越したばかりでまだ家具とか家電が部屋に全然無いからその辺を買う予定なんだよね」

「そっか、今はとりあえず生活できる必要最低限の物しか無いって言ってたもんな」

 それなら新生活用に買いたい物がたくさんあるに違いない。つまり俺はその荷物持ち要員として呼ばれたという事だろう。

「色々見て回るつもりだから結構時間がかかると思うけどよろしく」

「ああ、アリスが満足するまで付き合ってやるよ」

 疲れている俺だったが普通に買い物をするくらいの元気はまだ全然残っている。この時の俺はこれから行くショッピングモールでアリスの手によって数々のハプニングが引き起こされる事を全く想像していなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする

エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》  16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。  告白されて付き合うのは2か月後。  それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。  3人のサブヒロインもまた曲者揃い。  猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。  この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?  もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!  5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生! ※カクヨム、小説家になろうでも連載中!

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」 「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」 「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」 県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。 頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。 その名も『古羊姉妹』 本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。 ――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。 そして『その日』は突然やってきた。 ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。 助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。 何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった! ――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。 そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ! 意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。 士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。 こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。 が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。 彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。 ※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。 イラスト担当:さんさん

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

処理中です...