自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥

文字の大きさ
11 / 49
第2章 カップルみたいな事をしてるけどまだ付き合ってすらいないんだぜ

第10話 むしろあれくらいで許してあげたんだから感謝して欲しいくらいかな

しおりを挟む
「拓馬、今日は付き合ってくれてありがとう」

「どういたしまして、アリスが満足してくれたなら良かったよ」

 ショッピングモールを後にした俺とアリスは夜道を歩いて帰っていた。ちなみに今日購入した家具や家電は自宅まで郵送してもらう事になっているため、荷物はほとんど無い。

「そう言えば引っ越してきてもうちょっとで一週間だよな、新生活にはだいぶ慣れてきたか?」

「久々の一人暮らしだから心配な事とかも多かったけど何とかなってるし、学校にもだいぶ馴染めてきてるから慣れてきたって言えると思うな」

 アリスの発言を聞いた瞬間、俺は違和感を覚えた。今の言葉に何かおかしな部分があったような気がするのだが、その正体が何なのかまでは分からない。

「拓馬、急に黙り込んでどうしたの?」

「……ごめん、ちょっとボーっとしてた」

 心配そうな表情でこちらをジーッと見つめるアリスに対して俺はそう答えた。違和感の正体は気になるが、すぐに分からないのは多分些細な事だからに違いない。

「今週は色々あったから疲れてるのかもね」

「そうかもな、明日から土日だしゆっくり休むわ」

 それからしばらく雑談をしながら家へと帰る俺達だったが運悪くトラブルに巻き込まれてしまう。

「なあ、これから俺達と遊ばない?」

「絶対楽しませる自信あるし、もう行くしかないっしょ」

 なんと繁華街を歩いている最中、ガラの悪そうな金髪と茶髪の二人組から突然アリスがナンパされ始めたのだ。二人組は酒に酔っているらしく異様にテンションが高かった。

「ごめんなさい、私達急いでるので」

「そんな事言わずにさ、俺達と一緒に行こうぜ」

「そうそう、君の知らない大人の世界を色々教えてあげるからさ」

 断るアリスに対して二人組は一歩も引き下がろうとしない。それどころか無理矢理アリスの腕を掴もうとしてくる。

「あの、俺の友達にちょっかいかけないでもらえます?」

「痛てぇ!?」

 俺は手を伸ばしてきた金髪の手首を掴んで思いっきり握りしめた。ハイスペックぼっちを自称するためにスポーツテストで毎年A判定を取っている俺は握力も余裕で平均以上あるため痛いに違いない。その様子を見ていた茶髪が逆上して殴りかかってくる。

「おい、テメェふざけんなよ」

「っと」

 俺は握りしめていた金髪の手首を離して茶髪のパンチを避けた。すると自由になった金髪が鬼の様な形相を浮かべてポケットから何かを取り出す。

「あんまり調子に乗るな」

 なんと金髪の手にはナイフが握られていた。不味い状況になってしまったが何があってもアリスだけは守らなければならない。

「死ねクソガキ」

「っ!?」

 命の危機に直面して足がすくんでしまった俺は反応が遅れてしまう。振り下ろされたナイフを何とか回避しようとする俺だったが間に合わず、右腕をほんの少し切られてしまった。
 じんじんとした鋭い痛みとともに地面に赤い血がポタポタと落下し始めており、はっきり言って今の状況は最悪だ。マジで殺されるかもしれない。
 本気でそう思い始める俺だったが、何やら二人組の様子がおかしい事に気付く。金髪も茶髪も怯えたような顔をして固まっていたのだ。

「……ねえ、なんで拓馬を傷付けたの?」

 そう言葉を口にするアリスは今まで視線だけで人を殺せそうな表情を浮かべている。その体からは凄まじく恐ろしいオーラが出ており、学校の中庭で感じたものとは比にならないくらい強大なプレッシャーを感じた。
 二人組はあまりの恐怖に体が動かないようで、その場に尻もちをついてガタガタ震える事しか出来ていない。アリスはそんな金髪と茶髪にゆっくりと近づいていく。

「ひっ!?」

「く、来るな!?」

 二人組は半泣きになりながらそう声をあげていたが、アリスの歩みは止まらない。そして金髪の前までいくとアリスは何の躊躇いもなく股間を思いっきり踏みつける。
 金髪は声にならない絶叫をあげて口から泡を吹きながら気絶した。そのままの勢いでアリスは青ざめていた茶髪の股間も踏み潰す。どうやら痛みに耐えられなかったようで茶髪も失神してしまった。
 それからすぐに誰かの通報で駆けつけたらしい警察官達に二人組は連行されていく。俺達は近くの病院で切り傷の手当てを受けた後、警察官からの事情聴取を受ける。
 ちなみに金髪と茶髪はかなり悪質なレイプ魔だったらしい。まあ、アリスに睾丸を潰されたせいで二度とまともな性行為を出来ない可能性があるようだが。

「……なあ、あそこまでする必要あったか?」

 別に可哀想とは微塵も思わないが、完全に戦意を喪失していた二人組に対して容赦無い攻撃を加える必要があったのかは疑問だ。

「拓馬を傷付けたんだから当然の報いだよ。むしろあれくらいで許してあげたんだから感謝して欲しいくらいかな」

 アリスが平然とした顔でそう口にしたのを聞いて、全身に悪寒が走った。自分達に害をなすような人間が現れれば今回と同じ事を平気でするに違いない。
 どうやらアリスは俺が思っていた以上に恐ろしい女だったようだ。絶対アリスを怒らせないようにしよう、俺はそう強く心に決めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする

エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》  16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。  告白されて付き合うのは2か月後。  それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。  3人のサブヒロインもまた曲者揃い。  猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。  この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?  もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!  5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生! ※カクヨム、小説家になろうでも連載中!

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」 「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」 「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」 県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。 頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。 その名も『古羊姉妹』 本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。 ――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。 そして『その日』は突然やってきた。 ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。 助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。 何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった! ――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。 そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ! 意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。 士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。 こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。 が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。 彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。 ※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。 イラスト担当:さんさん

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

処理中です...