自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥

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第3章 絶対に負けられない勝負を挑まれた結果

第21話 ぶっ飛んだ事ってひょっとして息子さんを私にくださいって言ったやつ?

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 終業式が終わり夏休みに入った訳だが、俺達は今日も普通に学校へと行かなければならない。なぜなら夏休みが始まって早々、進学校特有のイベントである強制参加の補習が一週間ほどあるからだ。
 しかも夏休み終わりにも補習があるためカレンダー上は一ヶ月くらいある夏休みも実質的にその半分くらいしかない。
 補習は午前中で終わるため普段の授業よりはだいぶ短いが、学校に行っているせいでまだしばらくは夏休みになったという感じは全然してない。だが俺の日常は夏休み前と比べて大きく激変していた。

「拓馬、おはよう。もう朝食出来てるよ」

「……ありがとう」

 そう、期末テストの勝負で敗北した俺は約束していた通りアリスとの同棲生活をほんの数日前からスタートさせている。
 母さんは言うまでもなく反対せず、単身赴任先の福岡から帰ってきていた父さんは最初は反対していたもののアリスの説得によってあっという間に手のひらを返してしまった。
 ちなみにアリスが一緒に寝て欲しいとせがんできたため断りきれず同じベッドを使っているが、そのせいでここ数日寝不足気味になっている事は言うまでもない。

「今日の補習の教科って何があったっけ?」

「確か化学基礎と漢文、数学Bコミュニケーション英語だったと思うよ」

「うわ、楽そうな授業が全然無いな」

 どれもこれも先生が授業中頻繁に当ててくる科目ばかりになっているため正直面倒だ。眠くてボーっとしているタイミングで当てられて答えられないと内申点悪くなる可能性があるため全く気を抜けない。

「でも今日で前期の補習は終わりだし、もう少しの辛抱だよ」

「そうだな、今日を乗り切ればやっと明日から休みだ」

 俺達はしばらくそんな会話をしながら朝食を食べていた。それから準備を済ませた俺達はいつも通り学校に向かい始める。腕を組む事には完全に慣れたため最初の頃の恥ずかしさはもう無い。

「そう言えば義父様っていつまでこっちにいるの?」

「日曜日には福岡に帰るって言ってたから後二日はいる予定だぞ」

 大手都市銀行の一つである二菱銀行の福岡支店に勤めている父さんは今回のように連続休暇を使わないと中々東京の自宅まで帰ってこれない。そのためギリギリまでいるつもりなのだろう。
 自宅から通勤可能な支店か都内にある本店で勤務したいとよくぼやいているが、果たして希望が叶う日は来るのだろうか。

「そっか、じゃあ帰っちゃう前にもう一回くらい挨拶しとこうかな」

「初対面であんなぶっ飛んだ事を言っておきながら父さんに気に入られたわけだし、多分喜ぶと思うぞ」

「ぶっ飛んだ事ってひょっとして息子さんを私にくださいって言ったやつ?」

「そうそうそれだよ、あれはマジでびっくりしたぞ」

 同棲の話をすると聞いていたのに突然結婚前の挨拶のような事をアリスが始めたため驚いてしまった。父さんも突然のアリスの発言に困惑していて、頭にはてなマークが浮かんでいた事はまだ記憶に新しい。

「拓馬の未来の妻になるんだから一応許可だけは貰っておこうと思ってさ」

「最終的に拓馬で良ければやるとかって父さん言ってたけど、絶対冗談だと思うから。くれぐれも真に受けるなよ」

「はいはい」

 父さんの発言は実はこっそりと録音されていたわけだが、この時の俺はそれを知る由もなかった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「ねえねえ拓馬、これ見てよ」

「おいおい、そんなにハイテンションで一体どうしたんだ?」

 補習が終わって家に帰った俺がリビングで夏休みの課題をやっていると、アリスがかなり興奮した様子で駆け寄ってきた。アリスの方を向くとチケットのような細長い紙を見せられる。

「ユニバースランドのチケット……ひょっとしてこの前のスーパーで買い物した時に応募した懸賞か?」

「うん、二等が当たったみたい。めちゃくちゃラッキーだよね」

「ああ、懸賞とか当たった事ないからマジで運いいな」

 ちょっとした粗品が当たったらラッキーくらいのつもりで応募したわけだが、まさか二等が当たるとは思ってもみなかった。

「夏休み中のどこかで行きたいよね」

「そうだな、せっかくの夏休みで時間も豊富にあるんだから行かないと勿体無いし」

 明日から半月くらい夏休みのため行くにはちょうど良い。どうせ遊ぶなら晴れた日が良いため天気予報を見ながら日程は決める事にしよう。

「大阪までは新幹線で行こうよ」

「オッケー、お金はかかるけど移動は絶対楽な方が良いしな」

 夜行バスや飛行機という手もあるが、時間がかかり過ぎたり手続きが色々面倒だったりするため新幹線で行くのが最適解に違いない。

「ゆっくり過ごしたいから一泊二日にしない? 一日目にユニバースランドで遊んで二日目に大阪を観光して帰る的な感じでさ」

「大阪行くならユニバースランド以外も行きたいと思ってたし、そうしようか」

「ホテルとかは私が探しておくよ」

 ユニバースランドは今まで行った事がないため楽しみだ。こうして俺達の夏休みの予定が一つスケジュールに追加された。
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