自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥

文字の大きさ
25 / 49
第4章 一泊二日の大阪旅行は行く先々でハプニングだらけ

第24話 別に全然これっぽっちも怖く無いし

しおりを挟む
「次はここに行かないか?」

 ようやく酔いから復活した俺がパンフレットのとあるアトラクションを指差すと、それを見たアリスは黙り込む。
 俺が提案したのはパンデミックオブザデッドというゾンビ映画をモチーフにしたガンシューティングアトラクションだ。
 ウイルスに侵された街でゾンビにいつ襲われるかわからない緊張と恐怖の中、敵を撃ち進みながら街からの脱出を目指すという内容になっているらしい。

「……ここは辞めよう」

「えっ、何でだ?」

 真顔になって行く事を反対し始めたアリスに俺はそう尋ねた。するとアリスは一瞬黙り込んだ後、ゆっくりと口を開く。

「ほら、危ないかもしれないしさ……」

「アトラクションなんだからそこは大丈夫だろ」

 アトラクション内の各所に設置された画面の中に現れるゾンビ達を専用の銃で撃ちながら中を歩いて進んでいくだけなので別に危険な要素なんて無いはずだが。

「……あっ、ひょっとして怖いのか?」

「そ、そんな事ないよ」

 アリスはめちゃくちゃ分かりやすく反応してくれた。なるほど、どうやら怖いから行くのを反対していたらしい。そう言えば雷で停電した日も怖がっていたわけだし、暗い場所が苦手なのだろう。

「そっかそっか、アリスは怖いの駄目なんだ。意外と子供っぽいところもあるんだな」

「別に全然これっぽっちも怖く無いし」

 俺の揶揄うような言葉に対してアリスは少しムキになって反応してくる。だが強がっているだけというのは火を見るよりも明らかだった。

「そう言ってる割には足が震えてるように見えるけど?」

「これは武者震いだから。いやー、今から楽しみだな」

「えっ、行く気なのか?」

「勿論だよ。さあ、早く行こう」

 そう言い終わったアリスは俺の手を取ってアトラクションの方へと歩き始める。その道中で何度か本当に行く気のか確認をしたが、完全に意地を張ってしまっているのか大丈夫としか答えなかった。
 そしてアトラクションに到着した俺達はしばらく順番待ちをした後、アサルトライフル型とショットガン型の銃を渡されて中に入る。

「へー、めちゃくちゃ雰囲気出てるな」

 ショットガンを構えた俺とアサルトライフルを手に持ったアリスは暗いアトラクション内を進み始めるが、映画の世界を忠実に再現していてかなり不気味さが出ていた。

「ねえ、拓馬。そろそろ出口かな……?」

「そんな訳ないだろ、まだ入ってから一分も経ってないし」

 まだゾンビすら出現してないというのにもう出口だったらいくら何でも短すぎる。これで終わりならクレームが続出に違いない。そんな事を思っていた矢先、窓ガラスの割れる音とともにゾンビが数体現れる。

「きゃあぁぁぁぁ!」

 ショットガンを構えようとしていた俺にアリスは大きな悲鳴をあげながら思いっきり抱きついてきた。

「このままだと上手く狙えないから、てか胸が思いっきり当たってるって」

「無理無理無理、怖いから早く何とかしてよ」

 軽くパニックを起こしたらしいアリスは俺に抱きついたまま支離滅裂な発言をしている。結局アリスに抱きつかれたままゾンビを倒すはめになった。
 それから行く先々でゾンビが現れるたびにアリスは悲鳴をあげまくって俺に抱きついてきたため、想像以上に時間がかかってしまった事は言うまでもない。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 ガンシューティングアトラクションを後にした俺達は空中ブランコやメリーゴーランド、フリーフォールに乗った後、レストランで少し遅めの昼食をとっている。

「拓馬が頼んだハンバーグ、めちゃくちゃ美味しいね」

「アリスのグラタンも中々いける」

 俺とアリスは頼んだ料理を二人でシェアしていた。ちょっと前までは間接キスが気になっていたが、アリスとはもう既に何度も唇を重ねているのでそのくらいはもはや気にならない。
 やっている事が完全にカップルな気はするがそこを気にするのは負けだと思っているので、あえて考えないようにしている。

「この後はどうする?」

「うーん……あっ、こことかどうかな?」

 パンフレットを見ていたアリスが指差したのはハリウッド映画に登場するキャラクターのコスプレをして写真撮影が出来る場所だった。

「へー、結構面白そうだな」

「だよね、じゃあ次はここにしよう」

 昼食を済ませた俺達は早速目的地へと向かう。少しして到着すると様々な衣装を着た人達で賑わっていた。

「アリスは何か着たい衣装はあるのか?」

「私はバリーポーターに出てくる魔術学校のローブが着たいんだよね」

「アリスにはめちゃくちゃ似合いそうだな」

 バリーポーターはイギリスのファンタジー小説が原作の映画となっているが、劇中に登場するメインヒロインは金髪翠眼となっているためまさにアリスにピッタリと言えるだろう。

「そういう拓馬はどうするの?」

「俺はエリミネーターのE-1000が気になってる、まあ体格とかが全然違うけど」

 エリミネーターは人間が開発した人工知能が意思を持ち、やがて自我に目覚めて人間を攻撃し始めるというSFアクション映画だ。
 その作中に登場するE-1000というアンドロイドのコスプレをしたい俺だったが、演じている俳優が身長百九十センチ以上もあるボディービルダーのため似合うかどうかは分からない。

「せっかくだし、とりあえず着てみたら?」

「そうだな、そうするよ」

 俺達は受付で希望するコスプレ衣装を受け取り、それぞれ更衣室で着替える。そして外に出てしばらく待っているとアリスがやってきた。

「どう、似合うかな?」

「うん、めっちゃ似合ってる」

 映画に出てくるヒロインが現実世界に飛び出して来たのかと錯覚するほどのクオリティだ。周りにいた人達もアリスの姿を見てかなり騒ついている。

「拓馬も以外と似合ってるじゃん」

「以外は一言余計な気がするけど、とりあえずありがとう」

 それから俺達は気が済むまで写真撮影を続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする

エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》  16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。  告白されて付き合うのは2か月後。  それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。  3人のサブヒロインもまた曲者揃い。  猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。  この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?  もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!  5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生! ※カクヨム、小説家になろうでも連載中!

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」 「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」 「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」 県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。 頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。 その名も『古羊姉妹』 本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。 ――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。 そして『その日』は突然やってきた。 ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。 助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。 何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった! ――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。 そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ! 意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。 士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。 こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。 が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。 彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。 ※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。 イラスト担当:さんさん

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

処理中です...