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出立編
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村を誰にも気づかれる事なく出立できたのは、不幸中の幸いね。
「誰にも気付かれず出発出来るとは思わなかったな」
「確かにな。ネイサンや腰巾着どもが気づきそうだが…」
「こしぎんちゃく?」
「あー…異国の書物にな、魚の糞みたいについて来る連中の事を腰巾着って言うって書いて有った気がしたんだよ(ヤバイ…日本でしか言わないのね腰巾着)」
日本の知識が通用しない言葉も有るのかな?気を付けないと。
「ぷっ…はははは!面白れぇ!確かに腰巾着どもだわな!アレクが剣術に長けて居る事を妬んで色々と仕掛けて居るものの、全部、跳ねのけられてるからなぁ」
談笑しながら次の村を目指して居るけど、何…?この気配・・・。
「バルト…」
「ああ」
阿吽の呼吸で気配に気付けたから良かったけど、この世界に・・・まさかと思うが魔物が居るの?
集団(と言っても3人程度)でアレクたちに近づく気配を感じ取った故の警戒。
ジリジリと近づいて来る集団にアレクとバルトは、持ち合わせて居る剣の鍔に手を掛け、臨戦態勢を整え身構えたが、
「や、やめてくれっ!うかつに近寄った事は謝罪するから、その剣から手を放してくれ」
どうやら気配は、何処ぞの貴族一行だったようだ。
御者と思わしき人物が冷や汗をかきながら近づいて来た。
「・・・どうなさったのですか?貴族の方でしたら護衛騎士など雇っておられるでしょうに…」
「実は手伝って頂きたいのです」
「一体何を・・・」
「・・・きちんと説明しなければ理解して頂けないと常日頃から言って居るでしょう?申し訳ありませんわね。我が家の御者は雇い立てたばかりでして、説明不足になってしまいましたわ」
優雅な足取りで馬車から降りたのは貴族令嬢だった。
平民のアレクとバルトは膝を着き首を垂れ言葉を続ける。
「・・・お言葉は理解いたしましたが、我らは単なる平民。そのような身分の無い人間に頼み事で御座いますか?」
「ええ。判って居るのですが、馬車が大きな石に阻まれ動かなくなってしまったの。護衛騎士も動かして下さって居るのですが、どうしようも無い状態なのです」
馬車の前輪を良く見ると、馬の力では乗り越えるのは難しい少し大きな石が、行く手を邪魔して居るように見受けた。
立ち上がるとバルトが馬車から馬を離し前方に誘導させ、アレクが重たい筈の馬車を少し後方に押し、大きな石を回避しバルトが待つ方向へとずらす。
「ま、まあ!何て力持ちなの!?」
「(まさか・・・チートが力持ちとかじゃないでしょうね?と言うか、馬車が軽すぎると思えるんだから「そう」としか)…そんな事は無いですよ」
馬を再び繋ぎ直せば移動に支障が無い状態となる。
「これで移動が出来るでしょう。我々は失礼いたします」
深々と2人揃って頭を下げ立ち去ろうとするのだが、
「お待ちなさいな。貴方方、王都に向かう予定は有りませんか?有るならば王都までの護衛を1日金貨10枚で請け負って頂けませぬか?」
と声を掛けられ立ち去ることを阻まれた。
この世界の通貨は金額が大きい方から金貨、銀貨、銅貨で胴貨10枚で銀貨1枚に、銀貨10枚で金貨1枚となるので、金貨10と言われれば、結構な依頼賃と言えるらしい。
バルトと顔を見合わせて頷きあう。
「謹んでお受け致しましょう」
「ありがとう」
こうしてポルタ村まで徒歩で行く事となるのだが、王都までの護衛と言う形で向かう事が決まった。
金に目が眩んだのは仕方ないわよ
「誰にも気付かれず出発出来るとは思わなかったな」
「確かにな。ネイサンや腰巾着どもが気づきそうだが…」
「こしぎんちゃく?」
「あー…異国の書物にな、魚の糞みたいについて来る連中の事を腰巾着って言うって書いて有った気がしたんだよ(ヤバイ…日本でしか言わないのね腰巾着)」
日本の知識が通用しない言葉も有るのかな?気を付けないと。
「ぷっ…はははは!面白れぇ!確かに腰巾着どもだわな!アレクが剣術に長けて居る事を妬んで色々と仕掛けて居るものの、全部、跳ねのけられてるからなぁ」
談笑しながら次の村を目指して居るけど、何…?この気配・・・。
「バルト…」
「ああ」
阿吽の呼吸で気配に気付けたから良かったけど、この世界に・・・まさかと思うが魔物が居るの?
集団(と言っても3人程度)でアレクたちに近づく気配を感じ取った故の警戒。
ジリジリと近づいて来る集団にアレクとバルトは、持ち合わせて居る剣の鍔に手を掛け、臨戦態勢を整え身構えたが、
「や、やめてくれっ!うかつに近寄った事は謝罪するから、その剣から手を放してくれ」
どうやら気配は、何処ぞの貴族一行だったようだ。
御者と思わしき人物が冷や汗をかきながら近づいて来た。
「・・・どうなさったのですか?貴族の方でしたら護衛騎士など雇っておられるでしょうに…」
「実は手伝って頂きたいのです」
「一体何を・・・」
「・・・きちんと説明しなければ理解して頂けないと常日頃から言って居るでしょう?申し訳ありませんわね。我が家の御者は雇い立てたばかりでして、説明不足になってしまいましたわ」
優雅な足取りで馬車から降りたのは貴族令嬢だった。
平民のアレクとバルトは膝を着き首を垂れ言葉を続ける。
「・・・お言葉は理解いたしましたが、我らは単なる平民。そのような身分の無い人間に頼み事で御座いますか?」
「ええ。判って居るのですが、馬車が大きな石に阻まれ動かなくなってしまったの。護衛騎士も動かして下さって居るのですが、どうしようも無い状態なのです」
馬車の前輪を良く見ると、馬の力では乗り越えるのは難しい少し大きな石が、行く手を邪魔して居るように見受けた。
立ち上がるとバルトが馬車から馬を離し前方に誘導させ、アレクが重たい筈の馬車を少し後方に押し、大きな石を回避しバルトが待つ方向へとずらす。
「ま、まあ!何て力持ちなの!?」
「(まさか・・・チートが力持ちとかじゃないでしょうね?と言うか、馬車が軽すぎると思えるんだから「そう」としか)…そんな事は無いですよ」
馬を再び繋ぎ直せば移動に支障が無い状態となる。
「これで移動が出来るでしょう。我々は失礼いたします」
深々と2人揃って頭を下げ立ち去ろうとするのだが、
「お待ちなさいな。貴方方、王都に向かう予定は有りませんか?有るならば王都までの護衛を1日金貨10枚で請け負って頂けませぬか?」
と声を掛けられ立ち去ることを阻まれた。
この世界の通貨は金額が大きい方から金貨、銀貨、銅貨で胴貨10枚で銀貨1枚に、銀貨10枚で金貨1枚となるので、金貨10と言われれば、結構な依頼賃と言えるらしい。
バルトと顔を見合わせて頷きあう。
「謹んでお受け致しましょう」
「ありがとう」
こうしてポルタ村まで徒歩で行く事となるのだが、王都までの護衛と言う形で向かう事が決まった。
金に目が眩んだのは仕方ないわよ
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