異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

文字の大きさ
47 / 92
王城編

46

しおりを挟む
 * * * *

 ただのアレクシスがアレクシス・デ・ギルヴィアになった。

 それすら信じられない状態でアレクとバルトは王城…しかも王族が住まう地域へと荷物が運び込まれる事となった。

「夢…じゃないよな?」「あぁ夢じゃねぇな」

 煌びやかな装飾が施されたエリアに初めて足を踏み入れるアレクとバルト。

 その荘厳な雰囲気に呑まれそうになりながらも、侍女の案内で進んで居た。

 部屋としてはアレクの居室きょしつ横にバルトの部屋が用意される事になっては居るのだが、もとは孤児。

 絢爛豪華な部屋…では落ち着かないと考えてはくれたのだろうが、それでも豪華な室内に溜息が漏れてしまう。

「「はぁ~・・・」」

 その溜息を聞き取ったのはアレクの礼儀を教える事になって居る女性。

「第二王子様と呼ぶべきでは有りますが、
 礼儀がなっておりませんわねアレクシス・デ・ギルビア殿」

「(あ~…居るよねぇ…教育係の「おばさん」)
 …これは失礼いたしましたレディ。
 何分にも第二王子となったのは、
 先ほどで御座いますれば礼儀など平民のままに御座います」

 まあ非礼を詫びれば何とかなるとは思うけど、あらら。

 礼儀を教えるべき女性が、物凄く照れてらっしゃいますね~。

「なっ…なっ…こ…こほん。
 判っておられるのでしたら、
 公の場で溜息など吐き出されぬよう心掛けて下さいませ」

「承知いたしました」

 自室の整理整頓を済ませる事が最優先、と聞かされて居たのにな。

「ですが、ち…陛下より自室の整理整頓を優先せよと
 申し付かっておりますが、
 礼儀作法の時間でしたでしょうか?」

 此処で「父上」なーんて口にしたら「不敬罪で国外追放」とか言い出しそうな雰囲気、持って居たからな。

「え…?!えっと…そんな…筈は…」

 あれま、もしかして早とちり?んな訳ないよな。

 第二王子となる俺に対しての礼儀を教える立場ならば、相手の都合くらい「知って居なければならない筈」だしな~。

 毎回、困った時に現れるのがライ。

 礼儀を教える為にお願いした子女がアレクの前で「う~ん…う~ん」とうなって居るものだから

「・・・礼儀作法は私教えます、とお伝えした筈ですが?」

 と声を掛けるとアレクを陥れるつもりで居た子女の血の気が、サーっと引いて行く。

「ラ、ランフォース様ぁ!?
 どどど、どうしてっ?!」

「私はアレクに礼儀を教えるのは自分だと言ったつもりですが、
 未だ何か?」

 反論できる筈もなく、そそくさと退散した子女。

 アレクとバルトは口あんぐり、で成り行きを見守って居た。

「バルト殿、アレクシス殿、
 これより呼び方を改める事になるので伝えに来ました。
 バルト殿は護衛騎士バルト、
 アレクシス殿は第二王子
 もしくはアレクシスとなるから心得ておいて欲しい」

「ランフォース様、直々に通達なさる事柄では無いでしょうに…」

「もしかしてアレ…第二王子様が危機的状況になるのを見抜いていらした?」

「少なくてもアレクが第二王子として認められるまでは、
 弊害が有るとみて良いだろう。
 先ずは騎士として鍛錬を積んで欲しい。
 礼儀はおのずとついて行くからね」

 騎士団での鍛錬を続けて居れば礼儀的な事は身に付くのは見えて居た。

 だからこそ、鍛錬前に絡む阿呆の事は予測できたからこそ、アレクに助け舟を出す事が出来たとも言えるのだ
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...