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第十九章 増大する無秩序
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メガルシフは既に勝利を確信していた。
時の覇王が言った通り、戦闘し甲斐のある標的だった。もしも自分が、第三、第四の世界を滅ぼした時の能力値であれば、敗北していたかも知れない。だが、メガルシフは適応進化を続け、六の異世界を滅ぼした。ラグナロク・ジ・エンドの構成物質を解析し、それを破壊可能に自らの体を進化させた時、勝敗は決した。事実、目前に佇む標的の体は、所々が陥没。罅割れてショートしている。
それでも、標的は諦める素振りを見せない。
メガルシフは、標的の背後を窺う。脆弱な仲間達が、戦いを見守っている。
ラグナロク・ジ・エンドの本質に、メガルシフは気付いていた。戦闘開始直後、タンバラ国に被害が及ばないよう、異空間に戦場を転移。その後は、仲間をかばうように戦っていた。
(貴様の力は自らの為ではないのだな。世界を救い、仲間を守る、その為の――)
そこまで考えて、メガルシフの脳ともいえるCPU内に、怒りにも似たバイブレーションが発生する。
(くだらぬ。貴様も所詮、その類いか)
これまでに征服した世界で『勇者』と名乗る者を幾度か見てきた。『世界を救う』『仲間を守る』――そういった思念が、ヒトという種の能力値を底上げすることは理解している。要は『愛情』などという、ヒト特有の思念を起点とした、能力の向上だ。
(そのような脆弱な感情を起点とした変化など、たかが知れている)
もはや、確定した勝利に虚無を感じつつ、メガルシフはジエンドの動向を窺う。おそらく、特攻のような攻撃を仕掛けてくるのだろうと推測した。
だが、ジエンドは拳を引いたまま、深く呼吸していた。やがて、胸にある女神の彫像が口を開く。
『階乗にて増大する無秩序……』
メガルシフと似た機械音が木霊した後、本体である勇者が叫ぶ。
「マキシマムライト・オメガ・アクセラレーション!」
その途端、ジエンドの前方の空間に、巨大な円形の魔法陣が出現する。だが、メガルシフは動じない。
「何をしようが、無駄だ」
メガルシフは考える。個を最強たらしめる能力とは『適応能力』である。自然界に於いて、環境に適応できる者が生き残るように、標的の攻撃や防御に適応して、進化できる者が勝利する。そして、自らの能力こそが、それなのだ。進化し続ける者に抗う術などない。
メガルシフは、発現した魔法陣からの攻撃に備えていた。だが、ジエンドは目前の魔法陣を潜り抜ける。魔法陣が消えると同時に、ジエンドの全身が黄金色に変化した。
掌からレーザーブレードを発現させると、瞬時にメガルシフの目前に到達。ジエンドはレーザーブレードを縦横無尽にメガルシフに叩き付ける。攻撃を受けたメガルシフの腕の装甲が剥がれて、導線が露出した。
先刻までのジエンドは、元々ある力を別のベクトルに振っていたと推測する。だが、魔法陣を潜ってからの変化は明らかに異なっていた。攻撃力及び速度が倍化している。
(能力強化か)
メガルシフの頭部に向けて大きく振り払われたレーザーブレードを、両手で受け止めて消失させる。しかし、メガルシフの脇腹にはジエンドの左拳が突き刺さっていた。凄まじい拳の威力で、メガルシフの腹部が爆破されたように砕かれる。
(レーザーブレードは陽動。おそらく、この一撃に全てを懸けたのだろうな)
その証拠に、拳を放った後、ジエンドの攻撃が止まった。メガルシフはその一瞬の隙を見逃さない。粉砕された腹部を、すぐさま金属線が修復。更に、金属線は無数に溢れて、メガルシフの体全体を覆い、瞬く間に新たなボディを形成する。今、喰らったジエンドの拳を耐えうるボディに。
「貴様は限界。だが、機は更なる進化を遂げる」
エンハンスで強化できる能力値には当然、限界がある。限界点に達すれば、いくらエンハンスをしようがそれ以上、能力値は変わらない。それが、進化とエンハンスの違いである。
メガルシフは防御のみならず、攻撃面も同様に進化させた。黒き光を放つ、槍のような右腕『神化金属貫通槍』を左腕にも適用。更に、それを胸の前で一つに合成させて、ドリルのような巨槍を生成した。
「砕け散れ。神化金属破壊槍・エクスオーバードライブ」
確実にジエンドを粉砕できる一撃必殺の技を発現する直前、メガルシフは、ジエンドのすぐ前方に先程のような魔法陣が出現していることに気付く。メガルシフの技が到達したのは、ジエンドが魔法陣と同化するように重なった後だった。
激しい破砕音がした。粉砕の手応えと共に、ジエンドを通過してから、メガルシフは自らの腕を眺める。両腕を一体化させた巨槍の先端が、完全に破壊されて、火花を散らしていた。対して、ジエンドのボディには傷一つない。
エクスオーバードライブは先刻までの奴の防御力ならば、一撃で塵と化す程の攻撃力があった筈。なのに、それを放ったメガルシフの腕の方が破壊されている。
(つまり、三、四倍の防御力を得たということだ)
とすれば、あの魔法陣は、単なるエンハンスではない。潜ることによって、自らの能力を飛躍的にバージョンアップさせているのだ。
「なるほど。貴様も機と同じく、適応進化できるのだな」
久しく感じなかった愉悦に似た感覚が、メガルシフのCPU内に満ちた。メガルシフは呼吸するように排気煙を体から出す。集中しながら破損した腕を再生しつつ、機械の脳で高速演算。ジエンドのボディを次こそ砕けるように、自らを進化させる。
しかし、その最中、仲間の人間達の歓声が聞こえて、メガルシフはジエンドを一瞥した。
ジエンドはまたも新たな魔法陣を発現し、それを通過している。魔法陣が消えた後、ジエンドは黄金の翼を背負っていた。
新たなる進化を果たしたジエンドと視線が合う。そして次の瞬間、ジエンドは既にメガルシフの目前に到達している。
(速い。敏捷さも、これ程まで進化できるとは)
ジエンドの両拳での連打をガードしながら、メガルシフは思う。『それでも問題はない』と。
速度では確かに現況、劣っている。だが、メガルシフは既にジエンドの攻撃に対応済。防御力の進化を果たしている。
その筈なのに、軋む音が聞こえた。ジエンドの拳の雨で、メガルシフは己の体が罅割れ始めていることに気付く。
(速度と同時に攻撃力も進化させていたのか)
危険を察知して、メガルシフは全力を右腕に集中。大きく振った腕で、ジエンドを数十メートル後方まで弾き飛ばす。
距離は取ったが、速度の増さるジエンドは数秒で詰めてくるだろう。その間に、攻撃力、防御力、速度を全て適応進化させる暇はない。ならば、まずはジエンドの速度に対応すべく進化しようと思考した。
だが、吹き飛んでいる最中のジエンドの様子を窺った時、メガルシフの双眸は大きく開かれる。
メガルシフがジエンドを弾き飛ばした方向。その空間に、新たなる魔法陣が発現していた。タイミング、距離、全てが計算通りだといわんばかりに、ジエンドがその魔法陣を通過する。
黄金のジエンドが発光した。その背中には、更に二翼の翼が発現している。
この間、メガルシフも先刻までのジエンドのスピードには対応していた。なのに、視界からジエンドが消える。そして、次の瞬間、既にメガルシフの背後にジエンドがいた。
メガルシフの左肩に強烈な衝撃が走る。ジエンドの蹴りを食らって、今度はメガルシフが吹き飛ばされる。
(機の適応進化が、間に合わぬ)
四翼になって速度が劇的に増したことに加え、今喰らった蹴りで、メガルシフの左肩は完全に破壊されていた。攻撃力も向上していることは明らかだ。
(ほんの僅かで良い。機が進化する為の時が必要だ)
しかし、速度で劣るメガルシフに、その時間がないことは明白だった。
(ならば――)
メガルシフの体が発光。爆発直前のエネルギーを察したジエンドが距離を取る。刹那、メガルシフは閃光と轟音と共に爆散した。
「やった! テルの攻撃が効いたんだ!」
「勇者様の勝ちなのです!」
仲間の人間達の沸き立つ声。だが、男の一人が神妙に言う。
「い、いや……テルの攻撃が当たったというより、自爆したみたいだったけど……」
爆散し、小指の先程の部品となりながらも、メガルシフはその声を聞きながら、思考していた。
その通り。あえて自爆した。欠片ほどの部品さえ残っていれば、メガルシフは再生、復活できる。全ての部品の中に、DNAのようにメガルシフの設計図が組み込まれているからだ。
この時までのメガルシフの適応進化は、元ある体をベースにして行われていた。しかし、自爆することにより、体の99%を破壊。リセットして、ゼロベースからの復活を目論む。
(復活と同時に適応進化を行うことで、攻撃力、防御力、速度の同時アップデートを可能にする)
欠片程度の小さな部品が、増殖するように物質化していく。数秒にも満たない時間で、頭部、胴体、四肢を形成して、メガルシフは完全復活。それと同時に、現在のジエンドに対応できる進化を遂げた。
人間の仲間達の悲鳴のような声を聞きながら、メガルシフは高揚感を覚えていた。
(全能力適応完了。これで仕切り直しだ)
だが、攻撃を仕掛けようとした瞬間、メガルシフの動きが止まる。
ジエンドの目前に、三層の魔法陣が出現していた。そして、既にジエンドは、その一層目を潜っている。
(バカな。まだ進化するというのか)
メガルシフの機械の体に、怖気のような感覚が走った。
……究極の好敵手を求めた。そんな敵と戦うことが、メガルシフにとっては至福であり、最高の目的だった。なのに実際、それを目の当たりにして、歓喜の感覚は失われつつある。
初めて味わう狼狽にも似たバイブレーションが、メガルシフのCPU内を支配し始めていた。
(奴の強さの秘密は、何なのだ)
それでもメガルシフは、機械的な分析作業を試みる。高速演算の最中、草場輝久の思念体であった老人のことが、ふと思い起こされた。『無駄で無意味な、六万回以上の世界』と言ったメガルシフを、草場輝久の思念体は否定していた。
(そうか。機が経験したことのない、極限の生と死の輪廻。その思いの集約か)
それを解析すれば勝機はある、とメガルシフは思考する。
ジエンドは二層目の魔法陣を潜り、更なる進化を果たそうとしていた。だが、メガルシフは、ジエンドの分析こそが勝利への鍵だと確信した。適応進化を一時保留。天動地蛇の円環をも解析した能力で、ジエンドに視線を集中させる。
すると、メガルシフのCPU内に、走馬灯のように限りない世界が連続して見えた。それは、覇王達に殺され続けた、六万回以上の世界。時間にすれば、数百年に及ぶ絶望の歴史。たった一人の人間の心が耐えきれる筈のない、地獄の記録であった。
その中で、メガルシフは『微かな光』を見た。その光こそが、絶え間ない絶望を味わいながらも、草場輝久の精神が、かろうじて崩壊しない理由だと確信する。
『神と人との統合体』。時の覇王が言っていたように、奴は一体で戦っているのではない。ラグナロク・ジ・エンドを構成している、もう一対――それこそが、奴の力の源だ。
ジエンドが二層目の魔法陣を潜り抜けた時、メガルシフは勝機を見出していた。メガルシフの双眸には、ジエンドの胸部にある女神の彫像が映っている。
(あれこれが、奴の第二の脳とも言えるもの。そこを狙う)
ジエンドが三層目の魔法陣を潜った時、ようやくメガルシフは分析を止めて、適応進化を開始する。六万回以上に及ぶ様々な覇王達との戦闘パターンを認識した上で、胸の女神を砕けるように、自らの身体能力を向上させる。
(機の適応進化能力を、次の一撃に集約する)
掲げたメガルシフの右腕は、勇者のボディを貫く攻撃力と、胸の女神を葬る邪気を孕みながら、進化を続ける。やがて、稲光りする漆黒のオーラに包まれつつも回転する、ドリルのような右腕が完成した。
一方、三層目の魔法陣を潜り抜けたジエンドにも変化があった。そのボディは黄金色から、虹のような七色に変化して、なお一層光り輝いていた。
互いに進化は完了。ボディそのものが変化したジエンドを見て、『総合的に能力を高めたに違いない』とメガルシフは考えた。対して、全ての適応進化を右腕のみに集約したメガルシフは、そこに勝機を見出しながら、七色のジエンドに腕を向ける。
「魂魄粉砕・エクスオーバードライブ」
メガルシフは全速力でジエンドに接近し、胸の女神の彫像に向けて右腕を放つ。
(木っ端微塵に破壊する。貴様を構成する、もう一つの存在と共に)
メガルシフの攻撃はヒットした。しかし、それは狙った胸部ではなく、防御しようとして伸ばしたジエンドの右手だった。メガルシフのドリルに触れた途端、ジエンドの右手首は、弾け飛ぶようにして消失した。
目標には到達しなかったが、メガルシフに落胆はない。むしろ、攻撃が通ったことで、より勝利を確信した。
(機の進化は奴の防御を上回った。このまま攻撃を続行する)
もう一度、胸部を狙う。だが、メガルシフは攻撃を中断した。中断せざるを得なかった。
ジエンドが、先程弾き飛ばした右手首の切断面をメガルシフに向けていたからだ。
(故意に右手を失わせたのか)
既に切断面をバズーカの発射口のように進化させている。光の粒子が、その発射口に集まっていた。
胸の女神が呟く。
『全時空連続体に波及する存在の破壊……』
その声と重なるように、勇者が裂帛の気合いを込めて叫ぶ。
「マキシマムライト・タキオンループ!」
ジエンドの右腕から、七色の一点集中光線が射出される。ジエンドのカウンター攻撃をどうにかかわそうと即座に浮遊したメガルシフだったが間に合わず、七色の光線を全身に浴びながら上空へと吹き飛ばされた。
分子レベルに及ぶジエンドの攻撃で、メガルシフの体が朽ちていく。それと同時にメガルシフは悟る。この技から逃れる術はない。このまま再生不可能なまで、この体は破壊されるだろう、と。
アルヴァーナの空へと吹き飛ばされながら、それでもメガルシフの目は、まだ光を宿していた。
(貴様に勝利をくれてやる。ただし、この場は)
機械らしい感情の乏しさで、メガルシフは復活を最優先させる。光線で朽ちる前に、メガルシフは手を空間に伸ばした。そして、アルヴァーナと他の世界を分かつ時空壁を確認。瞬時に破壊すると、今まで滅ぼした六の世界全てに、自分を復活させる欠片となる部品を送り込んだ。
(データ転送完了。復活した後、機は今度こそ貴様を上回る)
そうすれば、自爆した時以上の進化が訪れる手筈だった。だが、メガルシフが浴びていた光線の一部が枝分かれする。六条に分かれた光線は、そのまま空間に消える。その途端、メガルシフは知覚する。六の異世界に転送したメガルシフの欠片全てが、時空を突き破った七色の光線を浴びて消失したことを。
(複製六個体、全てに到達された。機の考えを読んでいたのか)
浴び続けている光線で、既に右腕は使い物にならない。ならば、と、メガルシフは残された左腕を別ベクトルの次元へと伸ばす。
(生物が到達不可能な領域にデータを送り込み、その場にて複製を即時作製する)
アルヴァーナの空へと伸ばしたメガルシフの左手の先は、水面に突っ込んだ時のように、とぷんと空間に消える。
(四次元空間に到達完了。後は、機の思念を二つに分かつ)
メガルシフの思念が分裂する。今現在、ジエンドの光線を浴びているメガルシフとは別に、左手を伸ばした先の世界で、もう一体のメガルシフが存在していた。
草場輝久の思念体のように、半透明となったメガルシフは周囲を窺う。そこは不可思議な空間だった。果てなく続く水平線。透き通る湖面の上に、メガルシフは立っている。
精神と思念の世界である四次元空間に侵入できたことを確認すると、更に思考を巡らせる。
「後はこのまま思念を凝結させて、三次元へと実体化。アルヴァーナへと帰還する」
メガルシフは己の計画を呟く。このまま実体化すれば、先程までのジエンドに適応進化。勝利は揺るがない筈だった。
「……無駄よ」
奏でるような美しい声が聞こえて、メガルシフはそちらを窺う。
一体いつから、いたのか。透き通る湖面に、この世の者とは思えない美しい存在が佇んでいた。絹のような金髪が僅かに風に揺れている。
何者か尋ねるまでもなく、その姿を見てメガルシフは直覚した。彼女こそ、もう一対。ラグナロク・ジ・エンドの半身だ。
女神は、白く細い腕をメガルシフへと伸ばした。
「神撃マキシマム・ライト」
穏やかな声とは真逆の獰猛な破壊光線が、半透明なメガルシフを包む。そして、その瞬間、四次元空間内でのメガルシフの意識は消え去り、本体のメガルシフの意識に移行する。アルヴァーナ上空にて、ジエンドの七色の光線を浴びているメガルシフに。
……メガルシフは既に、骨のような外殻部品だけの姿になりながら、地上を見下ろしていた。
剥き出しとなったメガルシフの眼球。映像に乱れのある視界に入るのは、神と人との統合体。6万回を超える、勇者と女神の死と再生が生み出した究極の存在。
(魂は砕け散る寸前。なのに……いや、だからこそ強く、美しい)
「何と……素晴らしい……!」
メガルシフの称賛は誰に聞かれることもなく、最後に残った声帯部品と共に、アルヴァーナの空に溶けた。
時の覇王が言った通り、戦闘し甲斐のある標的だった。もしも自分が、第三、第四の世界を滅ぼした時の能力値であれば、敗北していたかも知れない。だが、メガルシフは適応進化を続け、六の異世界を滅ぼした。ラグナロク・ジ・エンドの構成物質を解析し、それを破壊可能に自らの体を進化させた時、勝敗は決した。事実、目前に佇む標的の体は、所々が陥没。罅割れてショートしている。
それでも、標的は諦める素振りを見せない。
メガルシフは、標的の背後を窺う。脆弱な仲間達が、戦いを見守っている。
ラグナロク・ジ・エンドの本質に、メガルシフは気付いていた。戦闘開始直後、タンバラ国に被害が及ばないよう、異空間に戦場を転移。その後は、仲間をかばうように戦っていた。
(貴様の力は自らの為ではないのだな。世界を救い、仲間を守る、その為の――)
そこまで考えて、メガルシフの脳ともいえるCPU内に、怒りにも似たバイブレーションが発生する。
(くだらぬ。貴様も所詮、その類いか)
これまでに征服した世界で『勇者』と名乗る者を幾度か見てきた。『世界を救う』『仲間を守る』――そういった思念が、ヒトという種の能力値を底上げすることは理解している。要は『愛情』などという、ヒト特有の思念を起点とした、能力の向上だ。
(そのような脆弱な感情を起点とした変化など、たかが知れている)
もはや、確定した勝利に虚無を感じつつ、メガルシフはジエンドの動向を窺う。おそらく、特攻のような攻撃を仕掛けてくるのだろうと推測した。
だが、ジエンドは拳を引いたまま、深く呼吸していた。やがて、胸にある女神の彫像が口を開く。
『階乗にて増大する無秩序……』
メガルシフと似た機械音が木霊した後、本体である勇者が叫ぶ。
「マキシマムライト・オメガ・アクセラレーション!」
その途端、ジエンドの前方の空間に、巨大な円形の魔法陣が出現する。だが、メガルシフは動じない。
「何をしようが、無駄だ」
メガルシフは考える。個を最強たらしめる能力とは『適応能力』である。自然界に於いて、環境に適応できる者が生き残るように、標的の攻撃や防御に適応して、進化できる者が勝利する。そして、自らの能力こそが、それなのだ。進化し続ける者に抗う術などない。
メガルシフは、発現した魔法陣からの攻撃に備えていた。だが、ジエンドは目前の魔法陣を潜り抜ける。魔法陣が消えると同時に、ジエンドの全身が黄金色に変化した。
掌からレーザーブレードを発現させると、瞬時にメガルシフの目前に到達。ジエンドはレーザーブレードを縦横無尽にメガルシフに叩き付ける。攻撃を受けたメガルシフの腕の装甲が剥がれて、導線が露出した。
先刻までのジエンドは、元々ある力を別のベクトルに振っていたと推測する。だが、魔法陣を潜ってからの変化は明らかに異なっていた。攻撃力及び速度が倍化している。
(能力強化か)
メガルシフの頭部に向けて大きく振り払われたレーザーブレードを、両手で受け止めて消失させる。しかし、メガルシフの脇腹にはジエンドの左拳が突き刺さっていた。凄まじい拳の威力で、メガルシフの腹部が爆破されたように砕かれる。
(レーザーブレードは陽動。おそらく、この一撃に全てを懸けたのだろうな)
その証拠に、拳を放った後、ジエンドの攻撃が止まった。メガルシフはその一瞬の隙を見逃さない。粉砕された腹部を、すぐさま金属線が修復。更に、金属線は無数に溢れて、メガルシフの体全体を覆い、瞬く間に新たなボディを形成する。今、喰らったジエンドの拳を耐えうるボディに。
「貴様は限界。だが、機は更なる進化を遂げる」
エンハンスで強化できる能力値には当然、限界がある。限界点に達すれば、いくらエンハンスをしようがそれ以上、能力値は変わらない。それが、進化とエンハンスの違いである。
メガルシフは防御のみならず、攻撃面も同様に進化させた。黒き光を放つ、槍のような右腕『神化金属貫通槍』を左腕にも適用。更に、それを胸の前で一つに合成させて、ドリルのような巨槍を生成した。
「砕け散れ。神化金属破壊槍・エクスオーバードライブ」
確実にジエンドを粉砕できる一撃必殺の技を発現する直前、メガルシフは、ジエンドのすぐ前方に先程のような魔法陣が出現していることに気付く。メガルシフの技が到達したのは、ジエンドが魔法陣と同化するように重なった後だった。
激しい破砕音がした。粉砕の手応えと共に、ジエンドを通過してから、メガルシフは自らの腕を眺める。両腕を一体化させた巨槍の先端が、完全に破壊されて、火花を散らしていた。対して、ジエンドのボディには傷一つない。
エクスオーバードライブは先刻までの奴の防御力ならば、一撃で塵と化す程の攻撃力があった筈。なのに、それを放ったメガルシフの腕の方が破壊されている。
(つまり、三、四倍の防御力を得たということだ)
とすれば、あの魔法陣は、単なるエンハンスではない。潜ることによって、自らの能力を飛躍的にバージョンアップさせているのだ。
「なるほど。貴様も機と同じく、適応進化できるのだな」
久しく感じなかった愉悦に似た感覚が、メガルシフのCPU内に満ちた。メガルシフは呼吸するように排気煙を体から出す。集中しながら破損した腕を再生しつつ、機械の脳で高速演算。ジエンドのボディを次こそ砕けるように、自らを進化させる。
しかし、その最中、仲間の人間達の歓声が聞こえて、メガルシフはジエンドを一瞥した。
ジエンドはまたも新たな魔法陣を発現し、それを通過している。魔法陣が消えた後、ジエンドは黄金の翼を背負っていた。
新たなる進化を果たしたジエンドと視線が合う。そして次の瞬間、ジエンドは既にメガルシフの目前に到達している。
(速い。敏捷さも、これ程まで進化できるとは)
ジエンドの両拳での連打をガードしながら、メガルシフは思う。『それでも問題はない』と。
速度では確かに現況、劣っている。だが、メガルシフは既にジエンドの攻撃に対応済。防御力の進化を果たしている。
その筈なのに、軋む音が聞こえた。ジエンドの拳の雨で、メガルシフは己の体が罅割れ始めていることに気付く。
(速度と同時に攻撃力も進化させていたのか)
危険を察知して、メガルシフは全力を右腕に集中。大きく振った腕で、ジエンドを数十メートル後方まで弾き飛ばす。
距離は取ったが、速度の増さるジエンドは数秒で詰めてくるだろう。その間に、攻撃力、防御力、速度を全て適応進化させる暇はない。ならば、まずはジエンドの速度に対応すべく進化しようと思考した。
だが、吹き飛んでいる最中のジエンドの様子を窺った時、メガルシフの双眸は大きく開かれる。
メガルシフがジエンドを弾き飛ばした方向。その空間に、新たなる魔法陣が発現していた。タイミング、距離、全てが計算通りだといわんばかりに、ジエンドがその魔法陣を通過する。
黄金のジエンドが発光した。その背中には、更に二翼の翼が発現している。
この間、メガルシフも先刻までのジエンドのスピードには対応していた。なのに、視界からジエンドが消える。そして、次の瞬間、既にメガルシフの背後にジエンドがいた。
メガルシフの左肩に強烈な衝撃が走る。ジエンドの蹴りを食らって、今度はメガルシフが吹き飛ばされる。
(機の適応進化が、間に合わぬ)
四翼になって速度が劇的に増したことに加え、今喰らった蹴りで、メガルシフの左肩は完全に破壊されていた。攻撃力も向上していることは明らかだ。
(ほんの僅かで良い。機が進化する為の時が必要だ)
しかし、速度で劣るメガルシフに、その時間がないことは明白だった。
(ならば――)
メガルシフの体が発光。爆発直前のエネルギーを察したジエンドが距離を取る。刹那、メガルシフは閃光と轟音と共に爆散した。
「やった! テルの攻撃が効いたんだ!」
「勇者様の勝ちなのです!」
仲間の人間達の沸き立つ声。だが、男の一人が神妙に言う。
「い、いや……テルの攻撃が当たったというより、自爆したみたいだったけど……」
爆散し、小指の先程の部品となりながらも、メガルシフはその声を聞きながら、思考していた。
その通り。あえて自爆した。欠片ほどの部品さえ残っていれば、メガルシフは再生、復活できる。全ての部品の中に、DNAのようにメガルシフの設計図が組み込まれているからだ。
この時までのメガルシフの適応進化は、元ある体をベースにして行われていた。しかし、自爆することにより、体の99%を破壊。リセットして、ゼロベースからの復活を目論む。
(復活と同時に適応進化を行うことで、攻撃力、防御力、速度の同時アップデートを可能にする)
欠片程度の小さな部品が、増殖するように物質化していく。数秒にも満たない時間で、頭部、胴体、四肢を形成して、メガルシフは完全復活。それと同時に、現在のジエンドに対応できる進化を遂げた。
人間の仲間達の悲鳴のような声を聞きながら、メガルシフは高揚感を覚えていた。
(全能力適応完了。これで仕切り直しだ)
だが、攻撃を仕掛けようとした瞬間、メガルシフの動きが止まる。
ジエンドの目前に、三層の魔法陣が出現していた。そして、既にジエンドは、その一層目を潜っている。
(バカな。まだ進化するというのか)
メガルシフの機械の体に、怖気のような感覚が走った。
……究極の好敵手を求めた。そんな敵と戦うことが、メガルシフにとっては至福であり、最高の目的だった。なのに実際、それを目の当たりにして、歓喜の感覚は失われつつある。
初めて味わう狼狽にも似たバイブレーションが、メガルシフのCPU内を支配し始めていた。
(奴の強さの秘密は、何なのだ)
それでもメガルシフは、機械的な分析作業を試みる。高速演算の最中、草場輝久の思念体であった老人のことが、ふと思い起こされた。『無駄で無意味な、六万回以上の世界』と言ったメガルシフを、草場輝久の思念体は否定していた。
(そうか。機が経験したことのない、極限の生と死の輪廻。その思いの集約か)
それを解析すれば勝機はある、とメガルシフは思考する。
ジエンドは二層目の魔法陣を潜り、更なる進化を果たそうとしていた。だが、メガルシフは、ジエンドの分析こそが勝利への鍵だと確信した。適応進化を一時保留。天動地蛇の円環をも解析した能力で、ジエンドに視線を集中させる。
すると、メガルシフのCPU内に、走馬灯のように限りない世界が連続して見えた。それは、覇王達に殺され続けた、六万回以上の世界。時間にすれば、数百年に及ぶ絶望の歴史。たった一人の人間の心が耐えきれる筈のない、地獄の記録であった。
その中で、メガルシフは『微かな光』を見た。その光こそが、絶え間ない絶望を味わいながらも、草場輝久の精神が、かろうじて崩壊しない理由だと確信する。
『神と人との統合体』。時の覇王が言っていたように、奴は一体で戦っているのではない。ラグナロク・ジ・エンドを構成している、もう一対――それこそが、奴の力の源だ。
ジエンドが二層目の魔法陣を潜り抜けた時、メガルシフは勝機を見出していた。メガルシフの双眸には、ジエンドの胸部にある女神の彫像が映っている。
(あれこれが、奴の第二の脳とも言えるもの。そこを狙う)
ジエンドが三層目の魔法陣を潜った時、ようやくメガルシフは分析を止めて、適応進化を開始する。六万回以上に及ぶ様々な覇王達との戦闘パターンを認識した上で、胸の女神を砕けるように、自らの身体能力を向上させる。
(機の適応進化能力を、次の一撃に集約する)
掲げたメガルシフの右腕は、勇者のボディを貫く攻撃力と、胸の女神を葬る邪気を孕みながら、進化を続ける。やがて、稲光りする漆黒のオーラに包まれつつも回転する、ドリルのような右腕が完成した。
一方、三層目の魔法陣を潜り抜けたジエンドにも変化があった。そのボディは黄金色から、虹のような七色に変化して、なお一層光り輝いていた。
互いに進化は完了。ボディそのものが変化したジエンドを見て、『総合的に能力を高めたに違いない』とメガルシフは考えた。対して、全ての適応進化を右腕のみに集約したメガルシフは、そこに勝機を見出しながら、七色のジエンドに腕を向ける。
「魂魄粉砕・エクスオーバードライブ」
メガルシフは全速力でジエンドに接近し、胸の女神の彫像に向けて右腕を放つ。
(木っ端微塵に破壊する。貴様を構成する、もう一つの存在と共に)
メガルシフの攻撃はヒットした。しかし、それは狙った胸部ではなく、防御しようとして伸ばしたジエンドの右手だった。メガルシフのドリルに触れた途端、ジエンドの右手首は、弾け飛ぶようにして消失した。
目標には到達しなかったが、メガルシフに落胆はない。むしろ、攻撃が通ったことで、より勝利を確信した。
(機の進化は奴の防御を上回った。このまま攻撃を続行する)
もう一度、胸部を狙う。だが、メガルシフは攻撃を中断した。中断せざるを得なかった。
ジエンドが、先程弾き飛ばした右手首の切断面をメガルシフに向けていたからだ。
(故意に右手を失わせたのか)
既に切断面をバズーカの発射口のように進化させている。光の粒子が、その発射口に集まっていた。
胸の女神が呟く。
『全時空連続体に波及する存在の破壊……』
その声と重なるように、勇者が裂帛の気合いを込めて叫ぶ。
「マキシマムライト・タキオンループ!」
ジエンドの右腕から、七色の一点集中光線が射出される。ジエンドのカウンター攻撃をどうにかかわそうと即座に浮遊したメガルシフだったが間に合わず、七色の光線を全身に浴びながら上空へと吹き飛ばされた。
分子レベルに及ぶジエンドの攻撃で、メガルシフの体が朽ちていく。それと同時にメガルシフは悟る。この技から逃れる術はない。このまま再生不可能なまで、この体は破壊されるだろう、と。
アルヴァーナの空へと吹き飛ばされながら、それでもメガルシフの目は、まだ光を宿していた。
(貴様に勝利をくれてやる。ただし、この場は)
機械らしい感情の乏しさで、メガルシフは復活を最優先させる。光線で朽ちる前に、メガルシフは手を空間に伸ばした。そして、アルヴァーナと他の世界を分かつ時空壁を確認。瞬時に破壊すると、今まで滅ぼした六の世界全てに、自分を復活させる欠片となる部品を送り込んだ。
(データ転送完了。復活した後、機は今度こそ貴様を上回る)
そうすれば、自爆した時以上の進化が訪れる手筈だった。だが、メガルシフが浴びていた光線の一部が枝分かれする。六条に分かれた光線は、そのまま空間に消える。その途端、メガルシフは知覚する。六の異世界に転送したメガルシフの欠片全てが、時空を突き破った七色の光線を浴びて消失したことを。
(複製六個体、全てに到達された。機の考えを読んでいたのか)
浴び続けている光線で、既に右腕は使い物にならない。ならば、と、メガルシフは残された左腕を別ベクトルの次元へと伸ばす。
(生物が到達不可能な領域にデータを送り込み、その場にて複製を即時作製する)
アルヴァーナの空へと伸ばしたメガルシフの左手の先は、水面に突っ込んだ時のように、とぷんと空間に消える。
(四次元空間に到達完了。後は、機の思念を二つに分かつ)
メガルシフの思念が分裂する。今現在、ジエンドの光線を浴びているメガルシフとは別に、左手を伸ばした先の世界で、もう一体のメガルシフが存在していた。
草場輝久の思念体のように、半透明となったメガルシフは周囲を窺う。そこは不可思議な空間だった。果てなく続く水平線。透き通る湖面の上に、メガルシフは立っている。
精神と思念の世界である四次元空間に侵入できたことを確認すると、更に思考を巡らせる。
「後はこのまま思念を凝結させて、三次元へと実体化。アルヴァーナへと帰還する」
メガルシフは己の計画を呟く。このまま実体化すれば、先程までのジエンドに適応進化。勝利は揺るがない筈だった。
「……無駄よ」
奏でるような美しい声が聞こえて、メガルシフはそちらを窺う。
一体いつから、いたのか。透き通る湖面に、この世の者とは思えない美しい存在が佇んでいた。絹のような金髪が僅かに風に揺れている。
何者か尋ねるまでもなく、その姿を見てメガルシフは直覚した。彼女こそ、もう一対。ラグナロク・ジ・エンドの半身だ。
女神は、白く細い腕をメガルシフへと伸ばした。
「神撃マキシマム・ライト」
穏やかな声とは真逆の獰猛な破壊光線が、半透明なメガルシフを包む。そして、その瞬間、四次元空間内でのメガルシフの意識は消え去り、本体のメガルシフの意識に移行する。アルヴァーナ上空にて、ジエンドの七色の光線を浴びているメガルシフに。
……メガルシフは既に、骨のような外殻部品だけの姿になりながら、地上を見下ろしていた。
剥き出しとなったメガルシフの眼球。映像に乱れのある視界に入るのは、神と人との統合体。6万回を超える、勇者と女神の死と再生が生み出した究極の存在。
(魂は砕け散る寸前。なのに……いや、だからこそ強く、美しい)
「何と……素晴らしい……!」
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