お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します

65. 到着

ふぅ～、何とか新幹線は乗り切れましたわ。

新大阪に到着後はタクシーで移動して、取引先の会社に向かうことになっています。

おじ様とお会いするのは久しぶりなので楽しみですが、何かを企んでいそうな気もするので緊張もしています。

違う意味ではずっと緊張しているのですが…。

隣をチラッとみると島岡さんがタクシーの運転手さんとお話をされています。

あれから新幹線の中では島岡さんの学生時代の話しになり平然を装うのに苦労しましたわ。

高校生の時はサッカー部のキャプテンで全国大会で優勝したこともあるらしいです。スポーツマンだったのですね。その頃の島岡さんを見てみたかったです。

「…藤堂さん、着いたよ」

「は、はい。すいません」

いけません、高校生の島岡さんを妄想してボーとしていましたわ。

「大丈夫？慣れない出張で緊張してる？」

優しい…。

「いえ、大丈夫です。心配してくださってありがとうございます」

タクシーから降り会社に向かう。

そういえば、おじ様のご自宅には何回も行った事があるけど会社に行くのははじめてかもしれないわ。

「着いたよ。ここだ…」

「…大きい会社なんですね」

目の前にあるのは何十階建てか分からないような大きなビルだった。

おじ様ってこんな大きな会社の社長さんだったのね。知らなかったわ。

「さあ、行くよ」

「はい！」

気合いをいれて会社に入る。受付で用件を伝えるが…。

受付の女性が島岡さんに好意を持っているのが私でも分かるくらい凄い…。森本先輩並みです。

頬を赤らめながらお話をしてきます。

この人達が受付で大丈夫なのかしら？

「島岡さんお久しぶりです。暫くお顔を見ることが無かったので寂しかったです」

「私もです。この前にいただいたお菓子とても美味しかったです。今日来られると分かっていたらお返しを渡したのに…」

2人ともお仕事してくださいよ。

「ありがとうございます。所で担当の方はすぐに来られますか？」

島岡さん…対応慣れてるんですね。営業スマイルをしています。いつもの笑顔とは少し違う笑顔です。

「…はい。先程お姿が見えたので連絡しました。もうすぐ降りて来ると思います」

「ありがとうございます」

島岡さんの顔をしっかりと覚えていたからできたことよね。入口からすでに見られていたなんて怖い気もしますが…。

「お久しぶりです島岡さん」

噂をすればなんとやら…で担当の方が降りてきたみたい。

「ご無沙汰しております谷口さん」

谷口さんと呼ばれた男性は歳は島岡さんとあまり変わらないくらいに見えるガッチリとした体格の人だった。