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2. 魔女の呪い 〈エルド視点〉

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彼女と出会ったのは僕が12歳の時の誕生会に彼女は母親と一緒にやって来た。

スタッツ伯爵家の長女クレア、光り輝く銀髪に深い緑色の瞳桜色の可愛い頬…手には僕へのプレゼントを抱えていた。

「初めまして、アバナル=エルドです」

「初めまして、スタッツ=クレアと申します。本日はお誕生日会にお招き頂きありがとうございます。これは我が領地で育てているお花です」

クレアは恥ずかしがりながら僕にサクラソウの花束をくれた。

可愛い子だな…。

僕はこの時魔女の言葉を思い出した。

「お前が愛を囁くと相手は死ぬよ…」

身体がブルッと震える。

母が心配し僕に声をかけているみたいだが僕にはもう聞こえなかった。



あれは、僕が8歳の春。

僕は魔女に誘拐された。

魔女は幼児愛者だったらしく、好みの顔をしていた僕を前から狙っていたらしい。

だが、拐われた僕は魔女を怖い人としか認識できなかった。

魔女は追ってが近づいてきたと分かると僕に呪いをかけると言い始めた。

「私を愛さなかった罰を貴方に与えるわ。将来、貴方に本気で好きな相手ができたら絶対に愛を囁いては駄目よ。相手が死んでしまうから…」

魔女は笑いながら言っている。

何を言っているんだ…。

「それにこの呪いの事を好きな相手に知られても駄目よ。貴方はずっと愛を好きな人にだけは囁けないのよ…アハハハ」

大声で笑う魔女が僕は怖かった。

頭に残ったのは僕は愛した人に愛を囁くと死んでしまうということだけだった。

「でも、可哀想だからチャンスもあげるわ、愛を囁かなくても貴方の事を心から好きになりキスする事ができたなら呪いは解ける様にしといてあげる。せいぜい頑張るといいわ。恋をする度私を思い出しなさい!」

そう言いはなった後で魔女は捕まり死刑になった。

僕は両親に魔女の呪いの話をした。

両親は青ざめた顔をして僕を抱きしめた。

「大丈夫、きっと素敵なお相手が見つかるわ。大丈夫…」

まるで自分に暗示をかけるように両親は繰り返し「大丈夫」と言っていた。

だが、僕は人を好きになるのが怖かった。

そう今までずっと…。

だけど、出会ってしまった。

好きになってしまった。

可愛いクレアを…。

しかし、僕は彼女に愛を囁けない…。

それに、何を言えば愛を囁くことになるのかも分からない。

愛してる、好き…はアウトだな。

可愛いもアウトなのか?

そう考えると彼女に何も言えなかった。

僕が下手に何かを言うと愛する彼女は死んでしまうかもしれないから…。

僕は知らなかった愛している人に愛してると言えない事がこんなにも辛い事だったなんて…。

こんな僕は振られてもしかたないのだ…。

しかし、僕はクレアを諦める事ができない。



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