3 / 8
3. どうして?
しおりを挟む結婚式を途中で退席してから数日が過ぎた。
何故か我が家にエルド様のご両親が来ている。
エルド様本人は姿がない。
「この度は娘がご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。本来はこちらから謝罪に行くところなのに来て頂けるとは思ってもいませんでした」
「いや、こちらも悪いのだから気にしないで下さい」
相変わらず優しいですねお義父様…いえ、もう違うんでしたわ。
「エルドにもいろいろと複雑な事情があって…詳しくは言えないのが苦しいところなのですが…」
お義母様…昔からそれを言っていますね。
一体何なのでしょうか複雑な事情とは。
百歩譲って事情があるとしても話くらいはできると思うのですが…間違っていますか?
「エルドとの事を考え直してもらえないかしら」
まさかの話です。
「理由は言えないんだがエルドはクレアさんと一緒になりたいと思っているんだ」
そんなのは感じた事ありませんでした。
「本当に可哀想な子なのよ…。あの魔女さえ…」
お義母様が何かを言いかけたらお義父様がその言葉を遮りました。
「止めるんだ!」
珍しいですね、普段は温厚なお義父様が大声をあげるなんて…。
「あっ、申し訳ありませんでした」
お義母様は口を押さえて黙ってしまいました。
さっき、魔女と言っていませんでしたか?
魔女が何か関係しているのですか?
…気になります。
「今日はもう帰ります。しかし、もう一度考えて欲しいのです」
そう言い残してお二人は帰られました。
エルド様との事をもう一度考える…。
今は無理そうですわね。
しかも、今日は私の婚約破棄を聞いた貴族の方が会いに来られるみたいですし…。
普通は結婚式から逃げ出した花嫁なんて後妻に行くか歳のはなれた人の所にお嫁に行くかしないといけないのですが、ありがたい事に以前に縁談を断った方々からまた連絡がきているのです。
私のどこが良いのかは分かりませんが…。
世の中には結構物好きな方々がいらっしゃる様です。
噂をすればなんとやらで、どなたかが到着されたみたいですわ。
侍女が私を呼びに来ました。
今は人に会いたくはないんですけど…仕方ありませんね。
我儘ばかりを言っていたらバチがあたりますね。
私は訪ねてきてくれた貴族の子息に会いに向かった。
その途中になぜかエルド様の事を考えた。
エルド様は今頃何をされているのかしら?
いつもなら私と会ってお茶をしている時間よね…。
「クレアお嬢様どうされたのですか、ボーとされて大丈夫ですか?」
侍女が心配して声をかけてきます。
「ごめんなさい。大丈夫よ…」
どうして私はこんなにエルド様の事が気になるのかしら…。
423
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の婚約解消理由
七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。
婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。
そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。
しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。
一体何があったのかというと、それは……
これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。
*本編は8話+番外編を載せる予定です。
*小説家になろうに同時掲載しております。
*なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
【完】婚約者に、気になる子ができたと言い渡されましたがお好きにどうぞ
さこの
恋愛
私の婚約者ユリシーズ様は、お互いの事を知らないと愛は芽生えないと言った。
そもそもあなたは私のことを何にも知らないでしょうに……。
二十話ほどのお話です。
ゆる設定の完結保証(執筆済)です( .ˬ.)"
ホットランキング入りありがとうございます
2021/08/08
さよなら 大好きな人
小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。
政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。
彼にふさわしい女性になるために努力するほど。
しかし、アーリアのそんな気持ちは、
ある日、第2王子によって踏み躙られることになる……
※本編は悲恋です。
※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。
※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。
某国王家の結婚事情
小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。
侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。
王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。
しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。
完結 やっぱり貴方は、そちらを選ぶのですね
ポチ
恋愛
卒業式も終わり
卒業のお祝い。。
パーティーの時にソレは起こった
やっぱり。。そうだったのですね、、
また、愛する人は
離れて行く
また?婚約者は、1人目だけど。。。
【完】貴方達が出ていかないと言うのなら、私が出て行きます!その後の事は知りませんからね
さこの
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者は伯爵家の次男、ジェラール様。
私の家は侯爵家で男児がいないから家を継ぐのは私です。お婿さんに来てもらい、侯爵家を未来へ繋いでいく、そう思っていました。
全17話です。
執筆済みなので完結保証( ̇ᵕ ̇ )
ホットランキングに入りました。ありがとうございますペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+*
2021/10/04
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる