外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!

東導 号

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第627話「これからも業務の傍ら、広い世界を見て、数多を学び、自分を成長させたいと思います。それがイエーラ国民の幸せにもつながりますから」

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リオネルとヒルデガルド、イェレミアスの打合せは、午前中から始まり、
お昼の休憩をはさんで、約8時間以上に及んだ。

農場主達からのクレームを始め、公社のスタートと運営など、
様々な問題、課題が山積していた為である。

問題、課題に関して、とりあえず施策はまとまった。
ワレバッドから帰還しての当日でもあり、本日の打合せは終了となった。

行うべき事は多いが、優先順位をつけて、
かつテキパキと片付けていかねばならない。

「そうそう! おじいさまに、素敵なおみやげがありますわ」

「私に? 素敵なおみやげ?」

「はい! 私、ワレバッドのホテルで寝起きして、人間族の作ったベッドの寝心地の良さに感動致しました! ですから、リオネル様とご相談し、おじいさま用のベッドを購入して参りました!」

「おお、それはそれは!」

「はい! ワレバッドのお店で購入し、リオネル様の空間魔法で仕舞い、運んで参りました。広々としたトリプルサイズなので、思いっきり手足を伸ばして眠れますわ。 おじいさまも旅の途中で、人間族のベッドを経験したとは思いますが、ぜひ使って良き睡眠をとって頂きたいです」

愛孫の心遣いを聞き、イェレミアスは本当に嬉しそうである。

「うむ! それは楽しみだ! 早速今使っているベッドと取り換えよう」

……という事で、リオネルとヒルデガルドは、イェレミアスの私室へ移動。

リオネルは、現在使用中のベッドを収納の腕輪へ「搬入」し、入れ替わりに、
ワレバッドで購入した、巨大トリプルサイズのベッドを搬出した。
サイズの問題もあり、枕以外、寝具も取り換えとなった。

「おお、凄いな! デザインもシンプルだし、クッションも適度で、寝心地は相当に良さそうだ」

イェレミアスはベッドを端から端まで、じ~っと見て感嘆の声を漏らすと、
クッションの具合も、直接触って確かめた。

そんな祖父を見て、ヒルデガルドは本当に嬉しそうである。

「うふふ、良かったです! 失礼して、私、お手洗いに行って来ますね」

そう言い残して、笑顔のヒルデガルドが席を外してから……

リオネルは、イェレミアスへ声をかける。

「イェレミアスさん、ちょっとお話ししてもいいですか」

「は、はい、大丈夫です、リオネル様」

「あの……俺とヒルデガルドさんとの事、多分とても気になっているでしょうから、お伝えしておきますね」

「は、はいっ! お、お聞き致しますっ!」

リオネルの指摘、イェレミアスが気になっている事とは、
ずばり、リオネルとヒルデガルドの『仲』である。
ふたりきりで旅行し、寝起きをともにし、どうなったのか……
旅立つ前よりも更に仲が良くなり、関係が深まっているように見えるが……

リオネルは気を利かせ、自分から切り出したのである。 

「そちらからは、とても聞きにくいと思いましたし、時間がないので、とりあえず、ご報告しますが、俺とヒルデガルドさんは一線を越えてはいませんし、キスすらも、してはいません」

「む、むむ! 一線を越えていない!? キスさえもしていない!?」

恋人、もしくは夫婦のように仲睦まじいリオネルとヒルデガルド。
しかし、驚く事に男女の仲にはなっていないと言う……

それを聞き、イェレミアスは安心したような、不安なような、
不可思議な気持ちとなった。

複雑な表情のイェレミアスへ、リオネルは更に告げる。

「はい、ただヒルデガルドさんからは、真剣な愛の告白を受けました」

「そ、そうですか! ヒルデガルドから、真剣な愛の告白を!」

「はい、その上で、お互いの気持ちを確かめ合いました」

「お互いの持ちを確かめ合った……」

「ええ、俺もヒルデガルドさんに好意を持ってはいます。ですが、彼女の気持ちに応え、愛を育むには、もう少しお互いを分かり合ってから先の事を考えようと答えました」

「な、成る程」

「その際に、俺がヒルデガルドさんと結ばれるにあたり、アールヴ族と人間族の寿命の違いと、アールヴ族の純血主義という、ふたつの大きな問題がある事も併せて伝えました」

「ふうむ、寿命の違いとアールヴ族の純血主義ですか。それは確かに重要で大きい問題ですな。で、ヒルデガルドは、何と言いましたかな?」

「はい、どんな問題があろうと、どう言われようと、自分の気持ちは変わらないと。そして、ふたつの問題からも、目をそむけず、ヒルデガルドさんは、しっかりと受け止めていましたよ」

「むううう……」

「この件に関しては、ゆくゆくはイェレミアスさんも交え、ご相談したいと思います。ヒルデガルドさんも賛成してくれました」

「な、成る程……」

「はい、そろそろヒルデガルドさんも戻って来ます。ここまでの経緯と現在の状況に関しては、また改めて詳しくご説明をしますよ」

話を聞いて……
誠実なリオネルは、自分を慕うヒルデガルドをとても大事にしている事が分かった。
そして祖父であるイェレミアスを、決してないがしろにしない事も。

「あ、ありがとうございます、リオネル様。ヒルデガルドと私へのお気遣い、アールヴ族へのお気遣い、本当に感謝申し上げます」

感極まったイェレミアスは、深く深く頭を下げたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

リオネルとイェレミアスの間で、そんな会話が交わされたとはつゆ知らず。

ふたりの会話が終わってからまもなくして、
ヒルデガルドは、にこやかに微笑みながら戻って来た。

「うふふふふ、失礼致しましたあ、戻りましたわ」

そして、

「おじいさま! ちょっとベッドへ寝転んでみてくださいな。感想をお聞きしたいです」

「わ、分かった!」

ヒルデガルドの言葉に従い、イェレミアスは巨大なトリプルサイズデッドに寝転んだ。

適度なクッションが身体に心地良い。
ヒルデガルドが自分の為に選んでくれたと思えば尚更である。
愛する孫娘には、絶対に幸せになって貰いたいと心の底から願う。

「おお、広々として、適度に固く、とても良い寝心地だ!」

「でしょう? リオネル様と私も自分用のベッドを購入して来ましたわ」

「そうか!」

「他にサンプル用のベッドをいくつも購入しましたから、それを見本にして、アールヴ族の職人達にイエーラ産のベッドを作らせ、公社で売るように致しますわ」

「ははははは、成る程。私はモニターでもあるのだな?」

そう言うと、イェレミアスは半身を起こした。

そんな祖父へ、ヒルデガルドは更に告げる。

「はい、その通りですわ。おじいさまと私のお墨付きの人間族型ベッドを量産化し、リーズナブルな価格で国内外において大々的に売り出すのです。食と睡眠が、生活の根源だと、今回の旅で改めて実感し、認識致しましたから」

「うむうむ、単に、ベッドがおみやげだけの話ではないのか? しっかりしているな。ヒルデガルド、頼もしいぞ」

「いえいえ、私はまだまだ未熟者です。全てがおじいさまとリオネル様のご指導の賜物です」

「うむ!」

「今回の旅で私は大きく成長する事が出来ました。これからも業務の傍ら、広い世界を見て、数多を学び、自分を成長させたいと思います。それがイエーラ国民の幸せにもつながりますから」

きっぱりと言い切ったヒルデガルドは、リオネルに寄り添い、
しっかりと彼の手を握っていたのである。
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