正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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39.凶器を持っているときは、凶器の取り扱いに最新の注意を払うこと。まかり間違っても、手放してしまったら?

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オーちゃんを一刺ししたのは、一番手、美人枠、メグたん、ただ一人。

二番手の、男リーダー、タツキが、オーちゃんの手から逃れて、無事に刺すのを待つのか?

時間が経てば、オーちゃんの体力が先に尽きるだろうけれど、それまで、オーちゃんとタツキはこのまま?

不自然ではない。

不自然ではないけれど。

一人一刺しは、いつすると決まっていなかった。

オーちゃんへの一人一刺しは、参加者が見せ場を作るチャンスだと、テニス経験者っぽい男は、言っていなかったか?

一人一刺しが、オーちゃんの逆襲にとって変わった?

オーちゃんの逆襲は、予定調和なのか、イレギュラーなのか。

予定調和なら、タツキには、やられ役という見せ場を用意したことになる。

オーちゃんの逆襲は、長引かなくても、オーちゃんに勝ち目がない。

喉奥までナイフを差し込まれたままのオーちゃんが、体を動かして、長く保つとは思えない。

オーちゃんの逆襲の勝者は、最初から男リーダー、タツキに決まっている。

俺が引っかかっている点は、一つ。

やられ役が逆転すると分かりきっているシナリオのやられ役を、シナリオ通りに演じたところで、デスゲームの見せ場になるか?

どうなんだ?

体育館の中は、動と静に二分されている。

動きがあるのは、オーちゃんと男リーダー、タツキ。

女リーダーチームは、リーダーを筆頭にメンバー全員が静かだ。

静かだけど、無関心なわけではない。

無関心ではないけれど。

紅一点、オーちゃんとタツキの修羅場を見ている周囲からは、どちらに対しても感情を移入した視線が一つもない。

女リーダーのチームメンバーは、女リーダーも含めて全員が、オーちゃんと男リーダー、タツキに冷めた目を向けている。

ソロ出演の槍玉に上がったのは、紅一点、オーちゃんだけ。

男リーダー、タツキの集団が、デスゲーム内の他の参加者から、どういった感情を向けられていたか。

露骨な嫌悪感は、互いに顕にしないまでも、好ましくないと思う空気感は共有されてきたのだろう。

思い返すと。

ドッジボールのチームメンバーを決めるときに、男リーダー、タツキが、自分の周りにいた仲間を指名するのは、予想通りで分かりやすかった。

男リーダーチームのメンバーは、男リーダー、タツキを中心に最初から結束していた。

女リーダーチームは、寄せ集めにしか見えなかった。

女リーダーは、男リーダーチームのメンバーを、自分から指名しようとはしなかった。

遠慮がある、とか、取り決めがあるとか、頼まれていた、とか、ではなく。

女リーダーは、男リーダー、タツキの仲間を取り込みたくなかった、のか。

ドッジボールという勝負に勝つための判断か。

感情的な判断か。

男リーダー、タツキの仲間と同じチームになると、足を引っ張る、勝負に負ける。

もしくは、地獄行きに巻き込まれる。

女リーダーは、賢明にも、戦略的に、男リーダー、タツキの仲間を指名しなかった?


オレが考えている間に、画面では動きがあった。

男リーダー、タツキは、両腕を振り回すのを止めた。

男リーダー、タツキは、オーちゃんの指が食い込む喉仏を救出しようと、ナイフを持っていない方の手で、オーちゃんの指を引き剥がそうとしている。

オーちゃんは、負けじと、自由になっている指に力を込めたのが分かった。

ギリギリと、喉を絞められて、男リーダー、タツキは、持っていたナイフを足元に落とし、片手でオーちゃんの指を、もう片方の手でオーちゃんの腕を掴んだ。

オーちゃんは、男リーダー、タツキが落としたナイフの軌道に目を向けた。

オーちゃんは、男リーダー、タツキが落としたナイフを、素早く靴で踏む。

男リーダー、タツキは、ナイフを落とした後、また拾えばいいか、ぐらいの考えだったのだろう。

ナイフを落としたとき、落としたナイフの心配をしなかった。

落としたナイフが、どうなるか、の心配を。

紅一点、オーちゃんは、男リーダー、タツキの性格をよみきっていた。

タツキが、ナイフを凶器として重視しない、ということを。

ナイフが、タツキの手から離れた瞬間に、オーちゃんは落下地点を確認して足を動かし、ナイフを確保した。

凶器を持って、誰かを襲おうとすれば、凶器を奪われて、誰かから襲われる可能性がイーブン。

紅一点、オーちゃんは、凶器を手に入れるという確率の勝負に勝った。

今のオーちゃんの体を押さえるのは、片手と肩の二人だけ。

オーちゃんは、オーちゃんの指を引き剥がそうとしているタツキの脛を、ナイフを踏んでいない方の足で蹴り、タツキの喉仏を掴んでいた手を激しく上下に動かした後、手を離した。

よろけて、たたらを踏んだタツキは、激しく咳き込んでいる。

紅一点、オーちゃんは、靴で踏んでいたナイフを蹴り上げて、自由になっている方の手にナイフを握る。

タツキが先程まで、オーちゃんに刃を向けていたナイフは、オーちゃんの手に渡った。
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