正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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44.紅一点、オーちゃんの激闘と男リーダー、タツキ。ナイフが腹に刺さっていたら、咄嗟に何ができる?

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ナイフを持ってオーちゃんを狙っている二人のうち、体躯の大きい方が、オーちゃんにぶつかろうとしてきた。

オーちゃんにぶつかりそうになって、体躯の大きい方が、両腕を、人一人分広げた。

オーちゃんは、ぶつかられる直前で、タツキと体の位置を入れ替えた。

体躯の大きい方は、オーちゃんにぶつかり、ぶつかられてバランスを崩すオーちゃんを羽交い締めにする気だったのだろう。

体躯の大きい方は、勢いよく、中腰の姿勢のタツキにぶつかって、タツキの体ごと倒れそうになった。

オーちゃんは、ぶつかられるのを躱しながら、ぶつかってきた男の勢いを殺さないように、倒れそうになった男の腹にナイフをえぐるよう突き立てた。

野球してそうな男が、その瞬間を目撃して叫んだ。

「刺さっている!」

腹にナイフを刺された体躯の大きい方は、痛みと、こんな筈じゃなかったという予想外の展開に、すぐに持っているナイフで反撃することができず、刺す前に、オーちゃんを逃がしてしまった。

「やられた。俺が?俺がやられるなんて?」
体躯の大きい方は、腹に刺さったナイフに絶望している。

腹に刺さったナイフに気を取られる一瞬。

体躯の大きい方は、手にしていたナイフを落とした。

オーちゃんが叩き落としたのだ。

オーちゃんは、体躯の大きい方が落としたナイフを危なげなくキャッチ。

刺したナイフを抜くのは後回しにしたオーちゃん。

新しいナイフを手に、ナイフを構えている野球してそうな男の元へ向かうオーちゃん。

「人殺しなんて、一生しない、と言っていたのに、嘘つき。」
とオーちゃんは、野球してそうな男をなじる。

「俺の指を切るようなやつに言われたくない!」
と野球してそうな男は、へっぴり腰で、掌で支えたナイフの刃をオーちゃんに向けた。

オーちゃんは、野球してそうな男のナイフを持っているナイフで弾き落とした。

「あっ。」
と野球してそうな男が、しまったという顔になったときには、横に来たオーちゃんから横っ腹にナイフを刺された後。

オーちゃんは、野球してそうな男の手から弾いたナイフを拾うとタツキの元へ。

オーちゃんは、中腰の姿勢でぶつかられて体勢を崩し、床に倒れて痛がっていたタツキの側に立った。

「タツキ。もう大丈夫。」
とオーちゃん。

連戦したオーちゃんの声には疲れが滲んでいた。

オーちゃんは、肩で息をしている。

オーちゃんは、本来、動き回れるような状態じゃない。

倒れないようにしてギリギリで立っているのは、矜持か、警戒心か。

オーちゃんは、自分が助からないことを自覚させられている。

デスゲーム運営が、オーちゃんを消すと決めた以上、オーちゃんは、今日、死ぬ。

オーちゃんは、自分の終わりを知っていて、動いていた。

オーちゃん以外の、デスゲーム参加者も、オーちゃんが助からないことは承知しているだろう。

オーちゃんの喉に刺さったナイフままのナイフは、一度引き抜かれて、また差し込まれたまま。

刺さったままでいることで傷をふさぐ効果はあるのか。

タツキは、オーちゃんにお礼や労いをするんだと、俺は思っていた。

ナイフを構えていた二人は、タツキではなく、オーちゃんを狙っていたけれど、タツキには標的が分からなかった。

自分がナイフで刺し殺されると思ったタツキは、オーちゃんに、自分の代わりに人を殺して、自分を助けろと依頼した。

オーちゃんは、言葉巧みにタツキを騙して、タツキに人殺しを依頼させた。

オーちゃんは、直接手を汚さなくても、人殺しに無縁ではいられないことをタツキに知ってほしかった?

自分には人を殺せないけど、オーちゃんには、自分の代わりに人殺しになれ、と臆面もなく言えるタツキ。

オーちゃんが、人を殺すことをどう感じているか、をタツキは気にしていない。

何を思って人を殺そうとするのか、は。

オーちゃんには、タツキへの好意があり、タツキは、オーちゃんの好意に乗っかたということだろう。

タツキは、自身が人殺しをしなくて済むように、ということ以上は考えていない。

オーちゃんに話しかけられたタツキには、オーちゃんと殺し合った二人が死んだものと思っている。

人を殺したばかりのオーちゃんが、タツキの近くに平然と立っているように、タツキは感じている。

オーちゃんの動き、オーちゃんが次に何をするかを、タツキが警戒している様子は、画面越しでも俺に伝わってくる。

タツキは、オーちゃんから少しずつ距離をとるつもりか、床に倒れたまま、オーちゃんの立っている位置から、ずりずりと横にズレていく。

オーちゃんは、ずりずりと距離を開けていくタツキを見ていた。

両目を切られているタツキに、オーちゃんの表情は見えない。
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