正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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320.骨の髄までしゃぶり尽くされ、漂う塵にもなれず、残りの人生を濡れ落ち葉として踏みつけられ続ければ、強制終了されることは救いにならない?

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「支援団体に利用された全員を正義が勝たないデスゲームに参加させて消す計画は、対象者が多すぎて、目標未達にならないか?

正義が勝たないデスゲームへの参加予定者の数が、多すぎる。

支援団体に利用される人も利用しようと支援団体に近づく人も、この先減ることはない。」

ツカサは、ははは、と笑った。

「支援団体は、周りを巻き込んで関係者を作るのがうまいよ。」
とツカサ。

「付き合い方にもっと気をつけていたら。

適切な距離を保ったままでいれば。

望まれるままに利を与えておけば。

この三つの文には、全て同じ言葉が続くわ。」
とメグたん。

同じ言葉、か。

誰の?

「タケハヤプロジェクトの参加者。

正義が勝たないデスゲームの参加者。

佐竹ハヤト。

支援団体と支援団体の協力者。

支援団体を摘発しなかった人達。

このうちの誰かの発言か?」

俺とメグたんとツカサの会話の中で、メグたんが取り出した言葉から何を読み取るか。

メグたんは、問いかけを発しても、カガネがしたような答えもヒントも俺には与えない。

俺が、分からないことや、気づいていないことを教えてやろうとはしない。

「何も残らない、何も残さない、何も残せない。

そんな終わり方をする人のために悔恨という言葉は存在するわ。

今のは、正義が勝たないデスゲームに参加しても長生きしない参加者の口癖よ。」
とメグたん。

「長生きしない参加者?

長生きしない参加者は、正義が勝たないデスゲームでは、珍しいのか?」

正義が勝たないデスゲームが、長生きできるような場所か?

という疑問を俺は飲み込んだ。

「長生きかどうかというのは、体感だからね。」
とツカサ。

「期間ではないのか?」

体感など、人それぞれではないか。

体感で語るとなれば、長生きかどうかなど、メグたんの感想ではないか。

「正義が勝たないデスゲームに参加している参加者が、いずれ死ぬことに変わりはないとしても。」
とツカサ。

ツカサは、何かを確認したいのか?

「いよいよ死にそうというとき。

死に物狂いで抵抗しながら死ぬ参加者もいれば。」
とツカサ。

死に物狂いで抵抗して、生き延びたとならないのが、正義が勝たないデスゲーム。

「やっぱり自分は助からないと絶望して、ろくな抵抗もせず死んでいく参加者もいる。」
とツカサ。

モエカのパターンか。

モエカは、もう助からないと思い込んでいた。

「助けて、助けてと助けを求めるだけで自分では何もしようとしない参加者は、助けを求めながら死んでいく。」
とツカサ。

助けてと言えば、助けてもらえると信じているから、助けてが言えるような人が、正義が勝たないデスゲームに参加していたのか。

「自分だけ死ぬのはたまらないと、道連れを増やそうとする参加者もいたよ。」
とツカサ。

死にたくない、という感情が、自分一人だけでは死にたくないに進化したか。

「ツカサがあげた参加者は、メグたんの体感では長生きしない参加者で、全員同じ悔恨の気持ちを吐露して死ぬのか?」

ツカサとメグたんの話を合わせてみた。

「本人の死ぬ直前ではなく、正義が勝たないデスゲームの中に死が実在すると知ったときね。」
とメグたん。

「参加者として、誰か他の参加者が死ぬのを見たときか。」

正義が勝たないデスゲーム内で参加者として死ぬ人を見るということは、人が殺し合う現場を見たということか。

同じ部屋にいる参加者が、別の参加者を殺す場面を目撃すれば。

命の危機を感じて、正義が勝たないデスゲームに参加するまでは他人だった他の参加者に打ち明け話や、人生の後悔を語りたくなった、ということもあるかもしれない。

他人に弱みを握らせるのを好まない俺はやらない。

たとえ、正義が勝たないデスゲームを脱出する意欲を失っていたとしても、やらない。

正義が勝たないデスゲームを脱出後に個人を特定されるような個人情報を他人に話すなど、軽薄すぎるというのが、俺の基本的な思考だ。

正義が勝たないデスゲームを脱出することに成功しても、正義が勝たないデスゲームに参加していたことに加え、個人情報を掴んでいる他人が生きているなど、先行きに不安しかないではないか。

俺の未来を俺自身で暗くする行為をする発想は、微塵も浮かばなかった。

自分で自分を破滅させる行為をすることを自殺行為というが、正義が勝たないデスゲームにおいては、言葉通りの意味になるだろう。

「正義が勝たないデスゲームに参加しながら、自らの個人情報を他の参加者へ話した参加者と俺との違いは、正義が勝たないデスゲームを脱出する意欲を持っていたか否か、か。」

「ある詩人が言うにはね。

支援団体と関係した人には、骨の髄までしゃぶり尽くされる未来しかないと気づく瞬間があるんだよ。」
とツカサ。

「詩人か?どこから湧いて出てきた?」

ツカサは、訝しむ俺に頓着しない。

「骨の髄までしゃぶり尽くした後には、濡れ落ち葉のように踏みつけられ続ける。

踏みつけれるために生まれたわけではないと思っても、何者にも顧みられない。

濡れ落ち葉の悲鳴などに、誰が耳をこらす?

漂う塵は、日の光を反射してそこにあると知らしめる。

生きていくことに希望がなく、居場所もない。

濡れ落ち葉は地面に張り付き身動きできず、踏まれるのを待つのみ。

支援団体と関係を持たずにいた未来が眩しいものであるかのような蜃気楼をみる。」
とツカサ。
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