正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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322.人間が壊れたときに、壊れた人間を構う者はいない。壊したものは、壊した後に興味がない。壊れた詩人は、壊れたまま彷徨い始めて?

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「自作の詩をそらんじるだけなら、人との会話は必要ない。

詩人は、話したいこと、伝えたいことを詩にして、同じ詩を色々な参加者に聞かせ続けて。

一方的に詩を聞かされる方は、詩人を煙たがった。」
とメグたん。

「参加者は詩人を見つけると、詩人を避けるようになった。」
とツカサ。

詩人が避けられる情景を想像することは、難しいことではない。

詩人の思いの丈の詰まった詩を聞かされることは、正義が勝たないデスゲームに参加している他の参加者の利益には繋がらなかった。

詩人の詩が、他の参加者にとって娯楽になるようなものだったならば?

詩人が避けられることはなかったかもしれない。

詩人が、芸術家として誰かの内面に響くものを作れていた過去があったとしても。

正義が勝たないデスゲームの参加者の一人になっていた頃の詩人に。

自身の思いの丈を他人の娯楽に昇華して届けられるほどの思考の柔軟さは保たれていたか?

「避けられるようになった詩人は、聞き手のいない詩を一人で諳んじていたか?」

詩人の行動は、俺の予想しないものだった。

「避けられるようになった詩人は、積極的に人を殺すようになったわ。」
とメグたん。

「詩人は、参加者から避けられた苛立ちを、避けてくる参加者にぶつけたのか?」

詩人が諳んじる詩を聞かせようとしなければ、他の参加者に避けられることはなかった。

詩人が会話ではなく、諳んじる詩の聞き手を求めたのは、他者と会話するだけの能力が詩人から失われていたからで。

詩人が、他者と会話する能力を失ったのは、正義が勝たないデスゲームに参加する前に、支援団体から受けた迫害が原因。

詩人を追い詰め、詩人から他者を遠ざけた支援団体は、何の痛みも負っていない。

俺は詩人と関わりがなく、当事者ではない。

当事者ではないからこそ、俺は、支援団体のしたことがたまらなく不愉快だ。

「人を殺すことにためらいがないと認識されたら、他の参加者は詩人に怯えて無視することはなくなる、と考えてのことよ。」
とメグたん。

「詩を作るわりには、攻撃性に振り切っていないか?」

メグたんは、俺の疑問に答えをくれた。

「詩人は、正義が勝たないデスゲームの外にいる間に、力でねじ伏せられてきた結果を身を以て学習していた。

詩を諳んじるだけでは、誰からも相手にされないという環境を変えようとした詩人は、正義が勝たないデスゲーム内で、これまでの人生で学習した成果を活かしたのよ。」
とメグたん。

「詩人が学習成果を活かした結果、詩人の詩に耳を傾ける参加者はできたのか?」

「詩人を避ける参加者はいなくなったわ。」
とメグたん。

「人を積極的に殺した甲斐があったのか。」

詩人がしたことは、誰が誰を殺したかが分かる正義が勝たないデスゲーム内では、有用な対策だった、ということになる。

「詩人を見ると、他の参加者は逃げ出すようになった。」
とツカサ。

ツカサは、かすかに眉を動かす。

「他の参加者は、避けるから逃げるに方針を変更したか。」

詩人は、力と恐怖で他の参加者を従わせることに失敗した。

逃げるという選択肢を選ぶ参加者ばかりだったのは。

詩人からは逃げることが可能だから逃げれば済む、と他の参加者は詩人の攻撃性を認識していたことになる。

「詩人が他の参加者と向き合える時間は、他の参加者を捕まえられたときのみ。」
とメグたん。

「捕まえられた参加者は、詩人から逃げようとしたり、詩人を騙そうと言葉を並べたり、助けを呼んだり、詩人に反撃しようとする。」
とツカサ。

「詩人が、捕まえた参加者を恐怖で動けなくするような相手でなければ、抵抗されるだろう。」

何も不思議ではない。

「捕まえた相手に詩人が詩を諳んじても、誰も詩人の詩を聞いていなかったわ。」
とメグたん。

「詩人を見て嫌がる反応はしても、詩人の詩には誰も反応しない。

詩人に捕まった中に、詩人の詩に関心を持って聞こうとした参加者はいなかったよ。」
とツカサ。

「詩人が言葉を吟味して、伝えたいことをまとめた詩に、興味を持つ参加者はいなかった。」
とメグたん。

「自作の詩に関心を持たれていないと気づいた詩人は、詩を聞かせるための作戦を変えた。

捕まえた相手を殺すときに、詩をそらんじるようになった。

死ぬ間際でも、まだ死んでいないなら、何がしかの反応が返ってくるからね。」
とツカサ。

「詩人に殺されそうになっている参加者は、詩を聞いて反応していたのではなく、殺されることへの恐怖から反応を示していたのではないか?」

「詩人は、詩に対する反応を欲しがった。

参加者が最後まで意識を失わないような方法で殺すことに、詩人は執着していったわ。」
とメグたん。

「反応が欲しくて詩を聞かせようとしたした詩人は、次第に、殺さなくてもいい参加者を殺そうとし始めた。」
とツカサ。
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