正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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392.称賛は受け取るが、有頂天にはならない。正義が勝たないデスゲームに参加した俺への総括がある?

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「勿論。

正義が勝たないデスゲームに参加する前の面談での新人くんがどうだったか、自分ではもう思い出せないかい?」
とケンゴ。

ほんの数日前のことだ。

忘れるわけがない。

「今の俺は、知らないでいることや、無関心でいることは、俺の首を絞めると知っている。」

「最初の面談での新人くんは、俺との会話から情報だけをもらい、自分一人で全部解決するしかないという考えに凝り固まっていた。」
とケンゴ。

俺の立場に立って物事を考えないから、俺が不出来に見えるだけ。

俺のやっていたことは、至極真っ当だ。

「拉致された後、見ず知らずの人間に、どうたらこうたらと説明されたところで。

親しみなど覚えるか?」

説明役がケンゴではなくメグたんだったら、親しみは持てなくても、興味は持てた。

メグたんの前では、言わないが。

「親しみはないにしても、はじめましてのときに、嫌悪感を持たせることはないようにはしているよ。」
とケンゴ。

「はじめましての席か。

嫌悪感を持つ持たない以前に、ケンゴは俺の興味を持つ対象にならなかった。」

「人の観察はするのにかい?」
とケンゴ。

「ケンゴを個人ではなく、俺を誘拐した中の一人くらいで認識していたから。」

「今の新人くんは、俺とも打ち解けた。

俺と探り合い目的の会話も出来るところまで、成長したよ。」
とケンゴ。

成長と言っていいのか?

「ケンゴは、俺を褒めようとしているのか?」

正面切って俺を褒めるやつが、佐竹ハヤト以外に、まだ、いたのか。

目から鱗だ。

「正義が勝たないデスゲームに参加する前の新人くんは。

自分の殻を破って外に出ることなく、一人で生きていこうとしていなかったかい?」
とケンゴ。

「正義が勝たないデスゲームに参加する前の俺は、自分の殻に閉じこもっていて、正義が勝たないデスゲームを経験した俺は、自分の殻を破って出てきたとケンゴは言いたいのか?」

言われていることは、分からないでもない。

面と向かって言われたくはないが。

俺のムッとしている感情を嗅ぎ取ったのか、ケンゴは殻を破った俺について、それ以上は言及しなかった。

「新人くんの成長を助けたのは、新人くんの素直さだ。」
とケンゴ。

「ケンゴの忠告を素直に聞き入れたから、俺は成長した、とケンゴは言いたいのか?」

ケンゴの自画自賛か?

「新人くんは、忠告されると、ひねくれた解釈をしてみせる。

しかし、言われた言葉は言葉通りに吸収して、言葉自体をねじ曲げて解釈しようとはしない。」
とケンゴ。

「言葉の受け取り方についてなど考えたことはない。」

ひねくれた受け取り方は、思考の癖または、性格に起因する。

生来の気質に環境がプラスして、ひねくれ具合は完成する。

「新人くんは、相手の言葉を自分に都合よく解釈して一喜一憂したり、相手を責めることをしなかった。」
とケンゴ。

「そんな会話が成立しなくなるようなことをするやつ、いるか?」

自ら、人間とのコミュニケーションを不自由にして。

苦労したがりか?

「ショウタが思うよりも、いる。」
とツカサ。

俺の周りにはいらない。

「難癖のときもあるわ。

自身の希望的観測が希望にもならなかったときの八つ当たりのときもある。」
とメグたん。

「難癖も八つ当たりも、やられた方は、巻き込まれ事故だが?」

「正義が勝たないデスゲームの参加者の中には、自身の命を賭けながら、人を殺す日常で平常心を維持しようとして、攻撃的になる人もいるわ。」
とメグたん。

「溜まった鬱憤を嫌がらせで発散する目的がある参加者は、喧嘩を装って暴力を振るったりするためだから、自分より弱そうだったり、一人でいる参加者をターゲットにするよ。」
とケンゴ。

「その参加者は、放置か?」

「都度、始末するわ。」
とメグたん。

「正義が勝たないデスゲームの娯楽性を損なう参加者は不要だよ。」
とケンゴ。

「サバイバルゲームで、俺とメグたんがそれぞれ殺した、二人の男の参加者はその典型だね。」
とツカサ。

「新人くんは自身と世界という立ち位置で、正面から世界に向き合ってきただけある。」
とケンゴ。

「俺の何を褒めようとしている。」

「世間ずれすることなく、すくすく育った、新人くんの素直さを褒めようとしているよ。」
とケンゴ。

今、俺を素直と言ったか?

「素直さへの称賛か。

どの部分が、素直と判定されたのか俺には見当もつかない。」

「素直なのにかい?」
とケンゴ。

「ケンゴの褒め言葉が、皮肉ではないと分かってはいる。」

「慌てることはないよ。」
とケンゴ。

「ショウタのこれからの人生が、これまでの積み重ねの上に続いていくことには変わらないわ。」
とメグたん。

「積み重ねた先に進む道が、変わっていくんだね。」
とツカサ。

「新人くんとの最初の面談のとき。

俺がしたのは、忠告だけだ。」
とケンゴ。

今さら、改めて何だ?

「忠告はありがたく聞いた。役に立った。」

「正義が勝たないデスゲームに参加した新人くんの総括を聞くかい?」
とケンゴ。

「総括があるなら、聞かせろ。

正義が勝たないデスゲームに参加したことについて何かを言われる機会があるなど、想像していなかった。」

「新人くんは、他の参加者を利用するのではなく、他の参加者から学んだことを吸収して、強みに変えていった。」
とケンゴ。

「改めて言葉でまとめられていると、前向きなコメントに聞こえる。」

「前向きに受け取っていいわ。」
とメグたん。

「裏の意味などないから。

言葉通りだからね。」
とツカサ。

前向きな称賛を聞くのは、心地よい。

「裏の意味がある可能性は、別の機会に考える。」

俺は、有頂天にはならない。

「他の参加者から吸収したことを自身の成長へ繋げていなければ、新人くんはサバイバルゲームをクリアしていない。」
とケンゴ。

俺の人生の経験値が急上昇したことは、否定しない。

「コメント入力を辞めようとして、誘拐されて以来。

これまでの人生では得られなかった人生の経験値を積めるだけ積んだ。」
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