《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

286.王女様が帰ろうとしないのも、国王陛下夫妻が鷹揚に構えているのも、そう振る舞うことが正しいという確信を持っているからですか?

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王女様は、ケレメイン大公家の使用人と結託している。

王女様は、ケレメイン大公家の使用人を味方につけている。

味方につける、という表現は、正しくないかも。

ケレメイン大公家の使用人に、大公妃として望まれている自信が、王女様にはある。

王女様が、決して帰ろうとしないのは、王女様に大公妃になってほしいという、ケレメイン大公家の使用人の期待を背負っている自覚があるからだと思う。

国王陛下夫妻が、王女様の好きにさせているのは、ケレメイン大公家の使用人の意向を熟知していて、ケレメイン大公家の使用人が、王女様の意に沿わないことはしないと確信しているからかな?

難しいな。

オレは、どうしたらいい?

クロードの存命中は、大公家の権威で、ケレメイン大公国を引っ張っていく。

クロード亡き後は、住人が頑張るように、今から、住人の意識改革をしていきたいんだ。

ケレメイン大公国の住人には、ケレメイン大公国の外にいる人に依存するんじゃなくて、自分の足で立って、自分の頭を使って、自分で動いてほしいんだ、オレは。

女神様の影響下から外れているケレメイン大公国で生きていくには、偉い人に、全部やってもらう生き方が通用しない。

どうしたら、伝わるかな?

理解して、賛同してもらえるかな?

理解も、賛同も、望み薄かな?

ケレメイン公爵家に仕えることは、ケレメイン公爵領の住人にとっては、エリート街道で、将来安泰だった。

他の住人とは、比較にならないほどの既得権益もあったんだろうな。

俺がクロードと結婚したことで、ケレメイン公爵家は、クロードの死をもって、歴史あるケレメイン家の看板を下ろす。

クロードが、ケレメイン公爵から、ケレメイン大公になったことで、栄華を極める夢を見たケレメイン大公家の使用人は、どれぐらいいるんだろう。

使用人の意向を無視して、オレとクロードの政策を進めることはできない、ということは、招待しなかったのに、押しかけてきた外国の王女様の立ち居振る舞いだけで、身に沁みて分かったぞ。

ケレメイン大公家の使用人は、代々、ケレメイン公爵家に重用されてきた人もいれば、今年から働き始めた人もいる。

文官よりも、大公家の使用人の方が、オレに対して非寛容だ。

文官は、大公家がなくなっても、仕事がある。

ケレメイン大公家がなくなって、他の統治者に変わっても、文官は必要。

文官の仕事自体が、無くなることはない。

文官としての実績を積んでいれば、他所の土地で働くこともできる。

そこが、ケレメイン大公家の使用人との大きな違い。

ケレメイン大公家の使用人は、仕事ができる。

由緒正しきケレメイン家に仕えてきた、という使用人としての矜持と、将来への不安、誇りを持って仕えてきた主家をなくす怒りが、一つにまとまって、オレに向かってきている。

オレには優しくない現実を実感する。

ケレメイン公爵が、ケレメイ大公になったのは、オレとクロードの働きによるものだと知っていてもさ。

『だから、なんだ?
それが、どうした?
ケレメイン公爵がケレメイン大公になったことと、ケレメイン家が無くなることは関係ない。』
と考える人が、使用人の中に少なくないことを知ったから。

クロードが、苦しまないで済む人生を選ぶことを、よしとしない人達。

クロードが英雄になった時点で、今まで通りを踏襲することは、なんの意味もなさない、と理解するのは、難しいことなのかな?

オレは、ケレメイン大公家の使用人の切り崩しをしたい。

主家のためじゃなく、自分のために、主人のクロードに無理をさせることを厭わない無神経さを指摘して、クロードのために、自分を変えようとする人を増やしていく。

それが、オレのすること。

オレの肚は決まった。
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