《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
633 / 673
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

633.ミーレ長官の息子さんは、祝言の料理開発に協力しています。ミーレ長官夫妻と息子さんの距離は?

しおりを挟む
オレとクロードと女神様の三人で、まず、カズラくんのグラスにお酒を注ぐ。

次に。
オレとクロードとカズラくんの三人で、女神様の盃にお酒を注いだ。

「オレとクロード、カズラくんと女神様。

全員、誰とも血の繋がりはない。

この先も、オレ達四人に血の繋がりはないことは変わらないが、この盃をもって、オレ達四人は親族となる。」

「女神様、私、ヒサツグ、カズラの四人は、親族固めの盃をもって、親族という関係をこれからも続いていく。

ヒサツグの合図で賛同の意を表せ。」
とクロード。

「女神様、クロード、オレ、カズラくんの親族固めに乾杯。」

部屋の中にいる全員で、グラスを空ける。

全員飲み干したところで。

「今からの時間は、思い思いに食事をとるがいい。」
とクロード。

立食パーティーならではの料理がテーブルに並んでいる。

冷めても美味しい。

一口で食べられる。

汁が垂れない。

味付けは濃すぎることなく。

匂いも強すぎない。

誰の胃にも胃もたれしない。

この後に人に会う約束があっても安心して食べられる料理が揃っている。

オレ、クロード、カズラくん、女神様は、思い思いに、料理へと手を伸ばす。

女神様は、早速、しいたけ昆布のおにぎりを頬張っている。

オレは、いなり寿司に紅しょうがを乗せて食べている。

今回の料理の提案をしてくれたのは、ミーレ長官の息子さん。

ミーレ長官の息子さんは、マウンテン王国にある旧ケレメイン公爵家の王都邸で今のケレメイン大公国大使館でヤグルマさんに師事しながら、ケレメイン大公国が立食パーティーを開催するとき用に、服や手を汚さない料理を、料理人と一緒に試行錯誤してきた。

「大きすぎず、硬すぎず、軟らかすぎない肉団子。」
とカズラくん。

「手で摘んで食べられて、手が汚れないのはいい。」
と話すクロードが食べているのは、梅肉きゅうり巻。

カズラくんが日本から取り寄せた梅に似た果実や紫蘇を探して、梅干しを作り、きゅうりと一緒に巻いてある。

さっぱりとして美味しいと、試食段階からクロードには好評。

女神様の世界にも、手で摘んで食べられる料理はある。

ミーレ長官の息子さんの食生活は、マウンテン王国のケレメイン大公国大使館に行ってから豊かになった、と本人から聞いている。

『何が入っているか分からないような食べ物で、家族が作っていないものは、出されても食べないようにしていました。

安全のために。』
と、ミーレ長官の息子さん本人から聞いたとき。

オレが生きていこうとしている場所は、一服盛られるのが当たり前にある世界だったんだ、と認識を改めた。

今までオレが毒殺されなかったことをオレは不思議に思っていたんだけど、最近、なぜだかが判明した。

クロードがオレの尻穴にかけていた、クロード以外のモノをオレに侵入させないという魔法が、尻穴以外からの異物の侵入を防いでいた。

お尻からお口まで。

あなたの体内への侵入を阻みます。

オレの頭の中で、そんな歌が流れたこともあったなー。

オレの加護によって女神様が顕現していたときは、オレの具合が悪くなると、女神様の顕現に障りが出る。

顕現していたいと考えた女神様は、オレの健康が損なわれないようにしていた、らしい。

オレの食事が安全であるように何かした、という言い方じゃなかったんだよな。

毒殺の危険性なんて頭になかったオレは、食べ物に毒があるかないか、なんて疑いもせずに食べていた。

ミーレ長官の息子さんの食にまつわる苦労や、毒殺への恐怖はなかったことにはならない。

ミーレ長官の息子さんは、今、毒殺される危険性がないだけ。

そもそも毒殺自体が、世界からなくなったわけじゃない。

『ヤグルマさんのところでは、出される食べ物や飲み物に警戒しなくて良いので、食に興味がでてきました。

美味しく食べたいと思っても、既存の食べ物は、どうしても不安で。

誰も知らないような新しい食べ方なら、安心して食べられます。』

ミーレ長官の息子さんが、女神様の世界になかった料理作りに意欲的なのは、安心して食べられるものを欲しているからなんだろうな。

ミーレ長官の息子さんが開発に協力したレシピは、オレ、クロード、カズラくんは、共有しているけれど、ミーレ長官夫妻には共有できないようにしてある。

ミーレ長官の息子さんは、ミーレ長官夫妻にレシピが渡ったら、他の人にもレシピが知られるから、いつ食べても安全とはいえない食べ物になると思っている。

祝言に出している食事は、マウンテン王国にあるケレメイン大公国大使館では食べられても、ケレメイン大公国内では、オレ、クロード、カズラくんが自炊するときにしか、食べられない。

ミーレ長官夫妻は、息子さんが二人から離れてのびのびしているのを見て、変わりように驚いていた。

ミーレ長官夫妻の様子を見て、カズラくんはオレに助言をくれた。
『驚く、で終わっているから、まだ親子を離しておくといいよ。

親元にいたときから変わった息子を見ても、息子に対してどうすれば良かった、と考えるところまでは、まだ長そう。』
とカズラくん。

『気を張り詰めていて苦労させた、とか。

今はのびのびとできる環境に身を置けて良かった、とか。

ミーレ長官夫妻からは、そういう感想が欲しかったな。

欲を言えば。』

ミーレ長官夫妻から、息子さんへの感情の部分が漏れてこない。

血筋によるしがらみもあったんだろうけれど、義務を果たすにも、義務を果たすだけの愛情を感じることが先なんだよな。

ミーレ長官夫妻と息子さんの場合、子どもから親に向ける愛情の方が大きかったから、家族としての愛情のかけ方が歪だったんだろうな。

『家族という枠の中にいるときと社会に向いているときで、人は人格も思考も使い分けるからね。』
とカズラくん。

『仕事仲間として一緒に仕事する分には、ミーレ長官もミーレ長官の奥様も、問題ない人物なんだよなー。』

『ぼくの父も、本妻も、本妻の息子も、仕事の上では問題なかったよ。

ぼくの母は、働く気がなかったから、母に関してはなんとも言えないけどね。』
とカズラくん。

カズラくんは、そんな風に日本にいる血縁について会話の端に混ぜるようになった。

オレとクロードは、カズラくんにとって、気持ちや言葉を飾らずに話せる人になった。

女神様に対しては、飾る言葉を使う習慣がないから、変わらないかな。

愛こんにゃく家は、こんにゃく同伴で祝言に参加している。

だから、本日の料理に、田楽はない。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜

せるせ
BL
王都の騎士団に所属するオメガのセルジュは、ある日なぜか北の若き辺境伯クロードの城で目が覚めた。 しかも隣で泣いているのは、クロードと同じ目を持つ自分にそっくりな赤ん坊で……? 「お前が産んだ、俺の子供だ」 いや、そんなこと言われても、産んだ記憶もあんなことやこんなことをした記憶も無いんですけど!? クロードとは元々険悪な仲だったはずなのに、一体どうしてこんなことに? 一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士 ※一応オメガバース設定をお借りしています

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました

藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。 ================= 高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。 ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。 そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。 冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで…… 優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

【完結】水と夢の中の太陽

エウラ
BL
何の前触れもなく異世界の神という存在に異世界転移された、遠藤虹妃。 神が言うには、本来ならこちらの世界で生きるはずが、まれに起こる時空の歪みに巻き込まれて、生まれて間もなく地球に飛ばされたそう。 この世界に戻ったからといって特に使命はなく、神曰く運命を正しただけと。 生まれ持った能力とお詫びの加護を貰って。剣と魔法の世界で目指せスローライフ。 ヤマなしオチなし意味なしで、ほのぼの系を予定。(しかし予定は未定) 長くなりそうなので長編に切り替えます。 今後ややR18な場面が出るかも。どこら辺の描写からアウトなのかちょっと微妙なので、念の為。 読んで下さってありがとうございます。 お気に入り登録嬉しいです。 行き当たりばったり、不定期更新。 一応完結。後日談的なのを何話か投稿予定なのでまだ「連載中」です。 後日譚終わり、完結にしました。 読んで下さってありがとうございます。

処理中です...