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5.ドラゴン、来たよ。お前の目覚めが俺でないなら忘れていていいよ。という幼馴染が、当たり前すぎて伝えていなかった愛の言葉を伝えてくる。
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現状、俺が暴れた拍子に幼馴染の足を踏みつけようものなら、辺境伯家の次男に危害を加えたとして、この場で叩き切られてもおかしくない身分差が、俺と幼馴染にはある。
幼馴染が俺を庇ったら、叩き切られることは免れるが、その後のことを考えると庇われないようにしたい。
幼馴染によって、このまま辺境伯家に連れて行かれた挙げ句に、辺境伯家で貰い受けますから、男爵家には返しませんという手紙を送り付けられでもしたら?
その上で男爵家に正式な婚約の申し入れをされたら?
こんなはずじゃなかったのに、という言葉が頭の中でぐるぐるしている。
俺は、配偶者ではなく、気心の知れた幼馴染として生涯を終えるつもりで生きていた。
幼馴染は、何にもない男爵家の跡継ぎでもなければ、これといった強みもなく、ただそのへんで生きて死んでいくだけの俺とは違う。
次世代最強という評判通り。
辺境伯家が代替わりした後も、幼馴染がいるから安心できる。
そんな風に思わせてくれるような男が、俺に構っていていいのかよ?
「騒いだら危ないよ。」
と幼馴染。
「危ないわけあるか。うちの領地は、何もないのがウリなんだ。俺が一人騒いだところで何も起きない。」
「うちのドラゴンが、俺達を迎えに来ているんだけど。」
と幼馴染。
辺境伯家は、代々、ドラゴンと仲良し。
辺境伯家の領地をゆうゆうと飛ぶドラゴンは、強さと安心の象徴でもある。
「お前のうちのドラゴンをうちの領地に入れるなよ!」
ドラゴンは強い。
辺境伯家は人間も強いから、ドラゴン以外の動物も住んでいる。
一方、辺境伯家のお隣の男爵家の人間は、辺境伯家ほど強くないため、ドラゴンが来ると、他の動物はいっせいに逃げ出してしまう。
領地から動物がいなくなるのは、男爵家にとって死活問題。
男爵家の俺から抗議していい仕打ちだ。
「入れていないよ?ほら?」
と幼馴染。
領地の境目に築山ができた?
築山が動いたよ?
横向きに寝そべっていたドラゴンは、頭を持ち上げると、俺と幼馴染の方を向いた。
「築山かと思ったら、日向ぼっこ中のドラゴンじゃないか!」
「ドラゴンも、お前のことを分かっているから。」
と幼馴染。
築山に擬態していたのは、顔見知りのドラゴンだった。
「俺が飛びついてもよじ登ろうとしても、振り落とさない貴重なドラゴンが、築山に擬態している。」
「ドラゴンによじ登りたくなっていない?」
と幼馴染。
俺と幼馴染は、体高五メートルほどのドラゴンをよじ登る遊びに没頭していたことがある。
「今日は、登らない。」
持ち上げていた長い首を地面にぺたーんと伸ばすドラゴン。
築山に擬態していたドラゴンは、地球に昔住んでいた首長竜のような形をしている。
長い首と、小さい頭。
丸みを帯びた胴体の形は、餃子か三笠焼きに近い形をしている。
胸ビレのような形の翼。
長い尾。
俺は、初めてこのドラゴンを見たとき。
プレシオサウルスだと思いこんで、本物に会えた、と感激しながら突撃した。
プレシオサウルスのようなドラゴンは、俺を攻撃しなかった。
俺がドラゴンに突撃して攻撃されなかったのは。
餌でも敵でもなく、じゃれついてくる無害な小動物にしか見えなかったからだろうと、後日、聞かされた。
俺が突撃した日以降、このプレシオサウルス型ドラゴンが、俺を認識していることは誰にも言っていない。
何もない領地に住む男爵家の三男が、調子にのって辺境伯家のドラゴンを手懐けたなんて噂が出回ったら良くない。
辺境伯の家の戦力の一つでもあるドラゴンを操れると思われたら。
その時点で俺の人生は終わる。
「安全のために、ピクニックにドラゴンも連れてきた。」
と幼馴染。
「ピクニック中の安全は確保できていたから、さっさとドラゴンを連れて帰れ。」
「俺達は一緒に帰るんだよ?」
と幼馴染。
「何でだよ。」
「誰の安全のためにドラゴンを連れてきていると思っている?」
と幼馴染。
「俺じゃないことは確かだ。」
男爵家の三男の安全と比較しようもないくらい重要人物が、俺の目の前にいる。
「俺には護衛がいて、俺自身も戦えるよ。」
と幼馴染。
強さ自慢なら、俺もしておこう。
「俺に護衛はいないけれど、自分のところの領地だから俺には地の利がある。
あと、俺、体力には自信ありだから。」
うちの領地は、金目のものがなさすぎて物盗りも素通りするという噂がたったことがあるくらい何もない。
走り回っていたら、足腰は前世よりも丈夫になった。
「万一のことがないように、俺の警戒の範囲外には行かせないよ。」
と幼馴染。
「お前の愛情が、ドラゴンに伝わっているといいと思うよ。」
「俺が行かせないと言っているのは、ドラゴンじゃないと分かっているよね?」
と幼馴染。
「俺の安全のため、なんて、なおさら必要ないだろう。」
「精通した日、覚えている?」
と幼馴染。
「何で、最初に戻るんだよ?」
「俺は、はっきりと覚えている。」
と幼馴染。
「俺は忘れた。俺は、覚えていないからな?」
「忘れていていいよ。お前は、俺じゃないんだよね?」
「お前じゃなかったのは確かだ。」
「なら、これからも忘れていてよ。」
と幼馴染。
幼馴染は、ニコッと笑った。
「そうする。」
これ以上、幼馴染の何かを刺激してはいけない気がする。
「毎日俺に抱かれているうちに、俺といるだけで興奮するようになるよ。」
と幼馴染。
「なってたまるか!」
妄想の世界から戻ってこい!
「なってほしいんだけど。今からでも。」
と幼馴染。
一言物申してやる!
「好きだから、でも、愛しているからでもなく、抱きたいから結婚したいなんて言われて、誰がうんと言うんだよ!」
「そういえば。俺には当たり前すぎてお前に言っていなかった言葉があった。」
と幼馴染。
「何を?」
精通話からのプロポーズに続いて、まだ隠している球があるのなら、さっさと投げきってほしい。
「大好きだから、離れていたくない。愛しているから、毎日愛したい。」
と幼馴染。
「お前。」
そんな、後出しを。
「いいよね?行くよ。」
と幼馴染。
「いいわけあるか!離せ!」
ドラゴンに、幼馴染を連れて帰ってくれと思念を送ってみた。
振り向きさえしなかった。
分かっている。
ドラゴンは賢いんだ。
ドラゴンは、俺と幼馴染が遊んでいるから待ってやろうぐらいのノリで寝そべっている。
幼馴染が俺を庇ったら、叩き切られることは免れるが、その後のことを考えると庇われないようにしたい。
幼馴染によって、このまま辺境伯家に連れて行かれた挙げ句に、辺境伯家で貰い受けますから、男爵家には返しませんという手紙を送り付けられでもしたら?
その上で男爵家に正式な婚約の申し入れをされたら?
こんなはずじゃなかったのに、という言葉が頭の中でぐるぐるしている。
俺は、配偶者ではなく、気心の知れた幼馴染として生涯を終えるつもりで生きていた。
幼馴染は、何にもない男爵家の跡継ぎでもなければ、これといった強みもなく、ただそのへんで生きて死んでいくだけの俺とは違う。
次世代最強という評判通り。
辺境伯家が代替わりした後も、幼馴染がいるから安心できる。
そんな風に思わせてくれるような男が、俺に構っていていいのかよ?
「騒いだら危ないよ。」
と幼馴染。
「危ないわけあるか。うちの領地は、何もないのがウリなんだ。俺が一人騒いだところで何も起きない。」
「うちのドラゴンが、俺達を迎えに来ているんだけど。」
と幼馴染。
辺境伯家は、代々、ドラゴンと仲良し。
辺境伯家の領地をゆうゆうと飛ぶドラゴンは、強さと安心の象徴でもある。
「お前のうちのドラゴンをうちの領地に入れるなよ!」
ドラゴンは強い。
辺境伯家は人間も強いから、ドラゴン以外の動物も住んでいる。
一方、辺境伯家のお隣の男爵家の人間は、辺境伯家ほど強くないため、ドラゴンが来ると、他の動物はいっせいに逃げ出してしまう。
領地から動物がいなくなるのは、男爵家にとって死活問題。
男爵家の俺から抗議していい仕打ちだ。
「入れていないよ?ほら?」
と幼馴染。
領地の境目に築山ができた?
築山が動いたよ?
横向きに寝そべっていたドラゴンは、頭を持ち上げると、俺と幼馴染の方を向いた。
「築山かと思ったら、日向ぼっこ中のドラゴンじゃないか!」
「ドラゴンも、お前のことを分かっているから。」
と幼馴染。
築山に擬態していたのは、顔見知りのドラゴンだった。
「俺が飛びついてもよじ登ろうとしても、振り落とさない貴重なドラゴンが、築山に擬態している。」
「ドラゴンによじ登りたくなっていない?」
と幼馴染。
俺と幼馴染は、体高五メートルほどのドラゴンをよじ登る遊びに没頭していたことがある。
「今日は、登らない。」
持ち上げていた長い首を地面にぺたーんと伸ばすドラゴン。
築山に擬態していたドラゴンは、地球に昔住んでいた首長竜のような形をしている。
長い首と、小さい頭。
丸みを帯びた胴体の形は、餃子か三笠焼きに近い形をしている。
胸ビレのような形の翼。
長い尾。
俺は、初めてこのドラゴンを見たとき。
プレシオサウルスだと思いこんで、本物に会えた、と感激しながら突撃した。
プレシオサウルスのようなドラゴンは、俺を攻撃しなかった。
俺がドラゴンに突撃して攻撃されなかったのは。
餌でも敵でもなく、じゃれついてくる無害な小動物にしか見えなかったからだろうと、後日、聞かされた。
俺が突撃した日以降、このプレシオサウルス型ドラゴンが、俺を認識していることは誰にも言っていない。
何もない領地に住む男爵家の三男が、調子にのって辺境伯家のドラゴンを手懐けたなんて噂が出回ったら良くない。
辺境伯の家の戦力の一つでもあるドラゴンを操れると思われたら。
その時点で俺の人生は終わる。
「安全のために、ピクニックにドラゴンも連れてきた。」
と幼馴染。
「ピクニック中の安全は確保できていたから、さっさとドラゴンを連れて帰れ。」
「俺達は一緒に帰るんだよ?」
と幼馴染。
「何でだよ。」
「誰の安全のためにドラゴンを連れてきていると思っている?」
と幼馴染。
「俺じゃないことは確かだ。」
男爵家の三男の安全と比較しようもないくらい重要人物が、俺の目の前にいる。
「俺には護衛がいて、俺自身も戦えるよ。」
と幼馴染。
強さ自慢なら、俺もしておこう。
「俺に護衛はいないけれど、自分のところの領地だから俺には地の利がある。
あと、俺、体力には自信ありだから。」
うちの領地は、金目のものがなさすぎて物盗りも素通りするという噂がたったことがあるくらい何もない。
走り回っていたら、足腰は前世よりも丈夫になった。
「万一のことがないように、俺の警戒の範囲外には行かせないよ。」
と幼馴染。
「お前の愛情が、ドラゴンに伝わっているといいと思うよ。」
「俺が行かせないと言っているのは、ドラゴンじゃないと分かっているよね?」
と幼馴染。
「俺の安全のため、なんて、なおさら必要ないだろう。」
「精通した日、覚えている?」
と幼馴染。
「何で、最初に戻るんだよ?」
「俺は、はっきりと覚えている。」
と幼馴染。
「俺は忘れた。俺は、覚えていないからな?」
「忘れていていいよ。お前は、俺じゃないんだよね?」
「お前じゃなかったのは確かだ。」
「なら、これからも忘れていてよ。」
と幼馴染。
幼馴染は、ニコッと笑った。
「そうする。」
これ以上、幼馴染の何かを刺激してはいけない気がする。
「毎日俺に抱かれているうちに、俺といるだけで興奮するようになるよ。」
と幼馴染。
「なってたまるか!」
妄想の世界から戻ってこい!
「なってほしいんだけど。今からでも。」
と幼馴染。
一言物申してやる!
「好きだから、でも、愛しているからでもなく、抱きたいから結婚したいなんて言われて、誰がうんと言うんだよ!」
「そういえば。俺には当たり前すぎてお前に言っていなかった言葉があった。」
と幼馴染。
「何を?」
精通話からのプロポーズに続いて、まだ隠している球があるのなら、さっさと投げきってほしい。
「大好きだから、離れていたくない。愛しているから、毎日愛したい。」
と幼馴染。
「お前。」
そんな、後出しを。
「いいよね?行くよ。」
と幼馴染。
「いいわけあるか!離せ!」
ドラゴンに、幼馴染を連れて帰ってくれと思念を送ってみた。
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