次世代最強とうたわれている辺境伯家次男の目覚めは、何もないお隣の領地を治める男爵家の三男。幼馴染な関係の平凡男子な俺でした。[完結]

かざみはら まなか

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11.辺境伯と幼馴染の共通認識が、幼馴染が俺を縦抱きにして移動することが最善だとかいう結論。お風呂場には、黄色とピンクの花と緑の葉のアーチ。

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「息子の遊び友達について君が意見するのかな?」
と辺境伯。

「辺境伯と息子さんにはお世話になっている自覚が俺にはあります。」

今の言葉以上は踏み込みません。

辺境伯が、俺を気遣ってくれたことには感謝しています。

ただ、辺境伯からの俺への気遣いが、幼馴染のためにならなかった可能性は考慮されていましたか?

辺境伯には、辺境伯として辺境伯家の次男を育てる考えがあったとは思うから、言わないけれど。

俺が口をつぐんでいると。

「父上。俺の配偶者は、次世代最強の呼び声が高いこの俺の心配をしているのです。」
と幼馴染。

この俺という幼馴染の言い回しが、何か引っかかるけれど、何でだろう。

「家に帰って考えると君は言った。具体的にどうするつもりだった?」
と辺境伯。

「家族に相談を。」

旅に出ますという相談メモを残して。

息子さんが次に俺に会いに来る前に、息子さんに俺以外との結婚を意識してもらう方法を探す旅に出ようか、なんて。

「今日、君以外の男爵家の誰かが家にいたかな?」
と辺境伯。

どうだったかな?と柔和な顔で聞いてくる辺境伯。

俺の心臓は、ドッドッドッと早鐘を打った。

「!」

「君がピクニックに出かける時間帯。君の家族は家にいなかった。」
と辺境伯。

うちの事情が筒抜けだよ!

何を言ったらいいのかが分からない。

黙ろう。

「君が家族に会うには、家族のいる場所まで移動する必要があった。」
と辺境伯。

「はい。」

「君は、もう大人だ。一人じゃ危ないということが分からない年でもない。」
と辺境伯。

大人だから、何が危険か分かっているよね、と言われているのは分かるんだけど、文脈、おかしくない?

「大人なので、危ないことはしません。」

「俺が一緒にいて、安全に手を抜くことはありません。ご心配には及びません。」
と幼馴染。

幼馴染のフォローも文脈がおかしくない?

「大きくなったので、一人で移動できます。領地の中は、お茶の子さいさいです。」

ふむ、という顔をした辺境伯は、俺から幼馴染へと顔を向けた。

「この理解度では、抱き上げての移動もやむなしか。」
と辺境伯。

今の会話は、そんな理解になる流れだった?

「抱き上げての移動が最善です。」
と幼馴染。

そんなわけあるもんか。

最善の意味を間違えて覚えているだろう!

「プロポーズの返事はまだなので、程よい距離感を保とうと。」

抱き上げる距離感ではなく、並んで歩くぐらいの距離感が丁度いいよ?

「新婚なので。」
と幼馴染。

既に結婚している、とやけに強調してくる幼馴染。

「何が危ないかの理解が難しいようだから、君は息子から離れないように。」
と辺境伯。

俺への評価を下げすぎじゃない?

とは言わないけれど、納得いかない。

「息子さんにも大切なご用事が、きっと。」

縦抱き移動を毎日幼馴染に頼むなんて、そんな生活は遠慮したいよ。

「まだ、息子から離れて生きられると思っているのかな。」
と辺境伯。

理解力に乏しいみたいだ、という副音声が辺境伯から聞こえてくる。

辺境伯は、幼馴染の暴走を止める気がない。

結婚に反対しているんじゃなく、俺の頭の中を懸念しているっぽい。

幼馴染と俺は既に結婚しているという認識なら、辺境伯から見た俺は、大人なのに危ないことが自分で判断できない残念な義息子?

現実についていけないんだけど、どうしよう。

「離さないよ?」
と幼馴染は頬をゆるめている。

幼馴染を見下ろしながら、幼馴染の耳を引っ張った。

「俺に分かるようにお前が説明してくれよ!」

「お前が分かるように手取り足取り教えるよ。」
と幼馴染。

手取り足取り?

「うん。」

教えてくれるというのなら、大人しくしていよう、と、大人しくしていたのに。

幼馴染の縦抱き抱っこで辺境伯の部屋を出た後。

そのまま風呂場へ連れて行かれた。

「今から風呂?なんで?」

「辺境伯家の食卓を初めて家族として囲む日だからだよ。」
と幼馴染。

「先に説明が聞きたい。」

風呂場に接している更衣室。

「説明は、少しずつするよ。」
と幼馴染。

「何も分かっていないから、一から全部教えてほしい。」

「あますことなく、教えるよ。」
と幼馴染。

幼馴染は上機嫌。

辺境伯家で風呂の準備ができているというなら、幼馴染と入っておこうと頭を切り替えて、幼馴染と並んで服を脱ぐ。

幼馴染の裸の体を見ても。

俺の分身は昼寝中。

幼馴染は幼馴染枠にいたから、俺の性欲の対象にはなっていなかった。

幼馴染は、俺の体に興奮するというけれど、どのあたりがヒットしたんだろう?

「たくさん見ていいよ。」
と幼馴染。

「うん。」

「俺もたくさん見るよ。」
と幼馴染。

熱のこもった眼差しを向けられると。

自然と顔が赤くなった。

「俺のことはあんまり見ないでいいよ。」

「お風呂の準備はできております。お食事前に汚れを落としましょう。」
と見慣れた侍女に先導されて風呂場へ。

浴室の扉を開けた先には。

お風呂場ワンダーランドが広がっていた。

更衣室から風呂場に入る扉をあけたら、花のアーチが。

「花は、湯気にあたっても平気?」

「今日のための花だから。」
と幼馴染。

お風呂場にアーチを作るとき用に栽培している花?

そもそも、風呂場に花のアーチっている?

「お花のアーチをくぐって、俺達はどこに行くんだ?」

幼馴染は、俺の手を取って、恋人繋ぎにした。

「風呂場だよ。」
と幼馴染。

「風呂場は、洗い場と湯船がある場所だよ。」

花のアーチは、黄色やピンクの可愛い色合いの花に緑の葉っぱの三色で彩られている。

「洗い場も湯船も、花のアーチを抜けた先にある。」
と幼馴染。

「風呂場に花のアーチを作ったのは、お前の趣味?」

「花畑に行くと、お前はいつも走り回っていた。」
と幼馴染。

「花が咲いているのを見て、美しいと愛でるよりも、花が咲いている真ん中を走り抜けたいお年頃だったんだ。」

「お前は、花を愛でるよりも、蜜が吸えないか確認するのが好きだった。」
と幼馴染。

「甘い物がほしかったんだ。」

財政が逼迫していて、甘味が口に入らない時期が男爵家にはあった。

「何でもかんでも、口に含みたがるお前に花を観賞させるのは早かろうと、大人になるまで待つことにした。」
と幼馴染。

「待ってくれて、ありがとう?」

確かに、花は蜜を吸うためのものだと思っている子どもだった。

「風呂場で走り回って転ぶ心配をしないでもよくなったお前となら。」
と幼馴染。

俺はだいぶ心配されていた?

「黄色とピンクの花は、何という花?」

「元気な花嫁をあらわす花だよ。」
と幼馴染。

「元気な花嫁は、どこに?」

「お前のことだよ。」
と幼馴染。

元気は俺の取り柄。

花嫁という単語は聞かなかったことにする。

「色鮮やかな花がたくさん。」

花のアーチを抜けて、洗い場へ。

「風呂場にいるのに、服を着ている人がいるよ?」

侍女が、待機していた。

「洗い残しがないように、洗われてくるといいよ。」
と幼馴染。

辺境伯家で生まれ育ったなら、全身を侍女に洗われることに慣れているかもしれない。

人員ギリギリの男爵家には、風呂専用の人員などいない。

「いや、俺は自分で洗う。」

洗われることを拒否したら。

お風呂上がりに、洗い残しがないかのチェックが幼馴染と侍女から入ることになった。

俺のことをいくつだと思っているんだよ?
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