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第一章 ギャップ萌えって、いい方向へのギャップじゃなきゃ萌えないよね。
15 アイスとジャージと豪雨について、自由人と論争してみた。
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前田との会話は置いといて、まあ飲めばそれなりに話も弾み、わいわいと賑やかに時間が過ぎていく。前田はいつもの憎まれ口はどこへやら、ときどきぼーっとどこかを眺めたり、みんなの会話を聞いたり、ご飯を食べたりして、それはまあおとなしくしていたが、
「……あ」
何か思いついたような顔をしたかと思えば、おもむろにリュックから携帯用キーボードとスマホを取り出し、猛烈なスピードで何やら打ち込みはじめた。
その集中力たるや、声をかけるのがためらわれるほどである。ほとんど瞬きもせずにタカタカとキーボードを叩きつづけていたかと思えば、ふう、と満足げな吐息をついた。
呆気に取られて見ていた他のメンバーも、それに合わせて、つられて止めていた息を吐き出す。
「……何よ急に」
もう済んだらしいと察して声をかけると、前田はキーボードとスマホをしまいながら答えた。
「いや、別に。思いついたからメモしただけ」
ああ、あれか。プログラミング的なやつか。SEはほとんど芸術家に近い。発想の柔軟さが求められ、プログラムには美しさがあるーーらしい。私には分からないけど。
「だから、自由人とか言われるのね」
納得してぽつりと言うと、前田はむっとした顔で私を見返した。
「吉田さんの方が自由じゃない。昼休みに溶けたアイス食べたり」
「あーれーはー!わざと溶かしたわけじゃないし!自分へのご褒美的なものだし!あんたに何か言われる筋合いないでしょ!」
「ジャージ貸したから言ってもいいと思う」
「そんな交換条件あるなら意地でも借りんかったわ!ゲリラ豪雨に濡れたのをそのまま乾かして返してもいいのか!」
「え。今日外干ししてたの?天気予報でゲリラ降るって言ってたじゃん」
「私は私の直感を信じるの!」
「いや科学的根拠とプロの予見参考にしようよ」
またしても始まる言い合いに、レイラちゃんが首を傾げる。
「アイス?ジャージ?何のこと?」
「……どうぞ」
「いや……何でもない」
前田から説明を譲られ、私は目を反らした。
同期たちは顔を見合わせて瞬きを繰り返した。
「……あ」
何か思いついたような顔をしたかと思えば、おもむろにリュックから携帯用キーボードとスマホを取り出し、猛烈なスピードで何やら打ち込みはじめた。
その集中力たるや、声をかけるのがためらわれるほどである。ほとんど瞬きもせずにタカタカとキーボードを叩きつづけていたかと思えば、ふう、と満足げな吐息をついた。
呆気に取られて見ていた他のメンバーも、それに合わせて、つられて止めていた息を吐き出す。
「……何よ急に」
もう済んだらしいと察して声をかけると、前田はキーボードとスマホをしまいながら答えた。
「いや、別に。思いついたからメモしただけ」
ああ、あれか。プログラミング的なやつか。SEはほとんど芸術家に近い。発想の柔軟さが求められ、プログラムには美しさがあるーーらしい。私には分からないけど。
「だから、自由人とか言われるのね」
納得してぽつりと言うと、前田はむっとした顔で私を見返した。
「吉田さんの方が自由じゃない。昼休みに溶けたアイス食べたり」
「あーれーはー!わざと溶かしたわけじゃないし!自分へのご褒美的なものだし!あんたに何か言われる筋合いないでしょ!」
「ジャージ貸したから言ってもいいと思う」
「そんな交換条件あるなら意地でも借りんかったわ!ゲリラ豪雨に濡れたのをそのまま乾かして返してもいいのか!」
「え。今日外干ししてたの?天気予報でゲリラ降るって言ってたじゃん」
「私は私の直感を信じるの!」
「いや科学的根拠とプロの予見参考にしようよ」
またしても始まる言い合いに、レイラちゃんが首を傾げる。
「アイス?ジャージ?何のこと?」
「……どうぞ」
「いや……何でもない」
前田から説明を譲られ、私は目を反らした。
同期たちは顔を見合わせて瞬きを繰り返した。
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