ひめさまはおうちにかえりたい

あかね

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おうちにかえりたい編

閑話 ご愁傷様です。転生が決まりました。

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※長兄の話。


 気がついたら、誰かが欠けている食卓。

 外には出されたことはない。




「ご愁傷様です。貴方はお亡くなりになりました」

 幼女が笑って言う。

「どちらさまで?」

 問うて答えられた名前を考える。どこかで聞いたことがある。

「邪神じゃねぇかっ!」

「あはっ。知ってた?」

「あざといの無理」

「ちっ。というわけで、転生します。確定しました。ファンタジーです。やったね、マスター」

「最後のなんか違う」

「いいのっ! 勢いとノリでいっつとらーい」

「……ダメな気がする。とてもとても嫌な予感しかしないので、お断りします」

「確定しました。なんでさ、人生の最後に転生しますかって項目チェックしたんですか」

「え、ええっ。俺が悪いの」

「ご愁傷様です」

「えええっっ!」

「可哀想に。ホントに正気でいられるの何年ってヤツなのに。可哀想に」

「二回言った!」

「死ぬまでツライ系転生なので諦めて」

「いやーっ!」

「さらに神がひどいからご了承ください?」

「おまえもひどい」

「え、最近は丸いもの(物理)とかになったよ」

「意味がわからん。わざとかっこ物理かっことじと言う意味もわからん」

「肉親が一人ずつ減っていって、せっかく結婚しても自分の子供も減っていくんだ」

「なにそのホラーっ!」

「近隣から食いものにされている国の王族の長男。王族特有の能力があるために、防衛のため王族も実践投入。むしろ死んでこいっていうレベル。長男だから、子作り必須。ハーレムやったね!」

「断固拒否する」

「あははは」

「わらうなっ! 何で俺がそんな目に」

「運? くじ引きみたいな」

「あー、運ないからな」

「そうそう、チートをあげよう。今までと転生先の不幸の前払い」

「……なんだろう。とても嬉しくない。もらうけど」

「まず、わたしの使徒にする。これで、他の神から直接害されることはない。そこら辺歩いているってことはないけど、そこら辺にはいるから神。神界からちょくちょく降りてくるから」

「他には?」

「魂の目減りを代償に、わたしの一部を呼ぶことができる。破格でやってあげよう。十回もしたら消滅するから気を付けるように」

「邪神呼ぶような、そんな回数呼ぶような人生なの? そうなの?」

「あははは。武術全般の才能。過去に見たものを思い出すデータベースへのアクセス権。代償を払うことにより、見たことのない技術も提供しよう」

「代償って」

「うーん、これは他人の魂でもいいよ。魂袋用意しとくね。転生しなくて良いようにすりつぶして良い者を選んで欲しいな。大事な者は、ちゃんと次の生に送ったほうが幸せだよ」

「邪神に幸せ論を語られた。他に何かないの。幸せになりそうなヤツ」

「……邪神のお告げ。最悪だけは避けられる」

「……微妙」

「知っている」

 にこりと幼女は笑った。

「行ってこい」

 死んでこいと聞こえたと後に回想することになる。
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