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第五章
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「アイリーン、あなたを心から愛してる」
一番欲しかった言葉をもらったアイリーンは涙を流しながら微笑んだ。
「わたしも同じ気持ちです。エドガー様を愛しています」
「二度とあなたを離したりしない」
決意を込めた口調で言い、エドガーはアイリーンの瞳を覗き込んだ。美しい翡翠色の瞳に見入っているうちに、自然と唇が重なり合った。
気遣うような優しい口づけのあと、唇を離す。頬を赤らめてとろんっとした瞳で見つめるアイリーンと目が合うなり、エドガーの喉仏が上下した。その瞳には隠し切れない欲情をはらんでいた。
再び吸い寄せられるように唇を奪われる。エドガーはアイリーンの首の後ろに手を添えて何度も角度を変えて甘いキスを繰り返した。
「んっ……っ……はぁっ」
たまらず熱い吐息を漏らしたアイリーンに気付いて、エドガーはようやく彼女を解放した。
「まずいな、俺は今猛烈に浮かれている。このままではここであなたを押し倒しかねない。嫌ならこれからは遠慮なく俺を拒んでくれ」
「そんな……。エドガー様に触れられるのは嫌ではありません。これからもこうやって触れ合いたいのです」
互いの気持ちを確かめ合うように抱きしめあったり、想いを伝えるように唇を重ねたりしたい。長椅子に二人で座り、手を繋いで静かな時間を過ごすのも悪くない。
「アイリーン、その言葉が俺をどれほどまでに煽っているのか自覚しているのか?」
「え……?」
「俺は、あなたの全てに触れたいんだ」
「わたしの全てですか?」
アイリーンが首を傾げるとエドガーは「ふっ」と笑顔を浮かべた。
「やはり無自覚か。まあ、いい。正式に結婚すれば嫌でも自覚するだろうしな」
エドガーはそう言ってにやりと意地悪な笑みを浮かべる。
「ようやく俺たちの間にはなんの障壁もなくなったんだ。今日は時間の許す限り、二人で過ごそう」
「はい。あっ……でも……」
「継母たちのことが心配か?」
「ええ。どんな手を使ってでもわたしをクルムド家に連れ戻そうとするはずです。もしそうなったら……」
アイリーンは表情を曇らせた。今日はエドガーに屋敷を追い出されて渋々帰路についたものの、執念深い継母がこれで諦めるとは思えない。
「そのことならば、心配はいらない。アイリーンは絶対に渡さない」
「エドガー様……」
「こちらが大人しくしているのを良いことに、散々侮辱して攻撃してきたからな。アイリーンと血の繋がりはなくとも、クルムド子爵家の人間だからと多少の恩情はかけてきたつもりだ。だが、もうそれも必要はない。そうだろう?」
エドガーが何を言いたいのかはっきりと理解した。こちらがどんなに歩み寄ろうと努力しても散々裏切られてきた。継母もソニアも、アイリーンの存在は道具同然だ。使うだけ使って、いらなくなれば無慈悲に捨てる。二人はそういう人間だ。
「ええ、もう必要ありません」
決意を込めて頷く。
「分かった。後のことはすべて俺に任せてくれ。だが、ひとつだけアイリーンに協力してもらいたいことがある」
「協力ですか?」
「ああ。あなたにしか頼めないことだ。受けてもらえるか?」
「ええ、わたしにできることでしたらなんでもします」
「ありがとう。次はこちらが攻撃する番だ」
エドガーの瞳は静かな怒りに燃えていた。
一番欲しかった言葉をもらったアイリーンは涙を流しながら微笑んだ。
「わたしも同じ気持ちです。エドガー様を愛しています」
「二度とあなたを離したりしない」
決意を込めた口調で言い、エドガーはアイリーンの瞳を覗き込んだ。美しい翡翠色の瞳に見入っているうちに、自然と唇が重なり合った。
気遣うような優しい口づけのあと、唇を離す。頬を赤らめてとろんっとした瞳で見つめるアイリーンと目が合うなり、エドガーの喉仏が上下した。その瞳には隠し切れない欲情をはらんでいた。
再び吸い寄せられるように唇を奪われる。エドガーはアイリーンの首の後ろに手を添えて何度も角度を変えて甘いキスを繰り返した。
「んっ……っ……はぁっ」
たまらず熱い吐息を漏らしたアイリーンに気付いて、エドガーはようやく彼女を解放した。
「まずいな、俺は今猛烈に浮かれている。このままではここであなたを押し倒しかねない。嫌ならこれからは遠慮なく俺を拒んでくれ」
「そんな……。エドガー様に触れられるのは嫌ではありません。これからもこうやって触れ合いたいのです」
互いの気持ちを確かめ合うように抱きしめあったり、想いを伝えるように唇を重ねたりしたい。長椅子に二人で座り、手を繋いで静かな時間を過ごすのも悪くない。
「アイリーン、その言葉が俺をどれほどまでに煽っているのか自覚しているのか?」
「え……?」
「俺は、あなたの全てに触れたいんだ」
「わたしの全てですか?」
アイリーンが首を傾げるとエドガーは「ふっ」と笑顔を浮かべた。
「やはり無自覚か。まあ、いい。正式に結婚すれば嫌でも自覚するだろうしな」
エドガーはそう言ってにやりと意地悪な笑みを浮かべる。
「ようやく俺たちの間にはなんの障壁もなくなったんだ。今日は時間の許す限り、二人で過ごそう」
「はい。あっ……でも……」
「継母たちのことが心配か?」
「ええ。どんな手を使ってでもわたしをクルムド家に連れ戻そうとするはずです。もしそうなったら……」
アイリーンは表情を曇らせた。今日はエドガーに屋敷を追い出されて渋々帰路についたものの、執念深い継母がこれで諦めるとは思えない。
「そのことならば、心配はいらない。アイリーンは絶対に渡さない」
「エドガー様……」
「こちらが大人しくしているのを良いことに、散々侮辱して攻撃してきたからな。アイリーンと血の繋がりはなくとも、クルムド子爵家の人間だからと多少の恩情はかけてきたつもりだ。だが、もうそれも必要はない。そうだろう?」
エドガーが何を言いたいのかはっきりと理解した。こちらがどんなに歩み寄ろうと努力しても散々裏切られてきた。継母もソニアも、アイリーンの存在は道具同然だ。使うだけ使って、いらなくなれば無慈悲に捨てる。二人はそういう人間だ。
「ええ、もう必要ありません」
決意を込めて頷く。
「分かった。後のことはすべて俺に任せてくれ。だが、ひとつだけアイリーンに協力してもらいたいことがある」
「協力ですか?」
「ああ。あなたにしか頼めないことだ。受けてもらえるか?」
「ええ、わたしにできることでしたらなんでもします」
「ありがとう。次はこちらが攻撃する番だ」
エドガーの瞳は静かな怒りに燃えていた。
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