元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ

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記憶の断片

少女、猫耳を拾う。

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翌日…

「さて…どうしたものか…」

私は悩んでいた。

想像していたものより遥かに大きな家というにはあまりに豪邸感のある…と言うか、偉い貴族くらいの豪邸の中で悩んでいた。

「とりあえず、一人で住むには大き過ぎるし…かと言って、わざわざメイドなんて雇うわけにもいかないし…いや、前世での私の所業を考えるとメイドとか雇った方が良いのかな…」

とりあえず、何も決まらなかったので、生活魔法の掃除クリーンによって家の中の隅々まで掃除する。

「…ここで悩んでても仕方ないや。とりあえず、外に出て考えよう。」

私は家にあった、エールがくれたドレスやワンピースを見る。

その中から、一着の黒いワンピースを取り出す。

「うん。これなら、普通の町娘っぽいんじゃない?」

私は寝巻きを脱いで、首元に白いリボンのあるワンピースを着る。

クールな黒色と首元の小さなリボンがが少女を美しく彩る。

「よーし!今日は食材や家具を買うぞー!おー!」

冒険者ポーチも腰の辺りにつけて、私は街へ繰り出す。

元々冒険者ポーチには空間拡張魔法が施されている為、見かけからは想像出来ないほど入るのだが、それを私はさらに魔改造して無限収納化と時間停止も付与したのだ。

…まあ、その気になれば、普通に空間に収納して自宅で取り出す事も可能なのだけれどね。

「でも、それだとせっかく普通の格好してても変な目で見られる事は間違いないもんね。今日は普通の可愛い町娘として買い物するんだし!」

シェラ本人は全く気がついていないが、既にシェラ自身の立ち振る舞いが美し過ぎて、の可愛い町娘とは言えない大人びたオーラを放っている。

私はオシャレな麦わら帽子を被る。

「よし!準備OK!楽しんじゃうぞー!」

私は元気よく家を出て、街で買い物をする。



しばらくして…

「ふぅ…ベッドにタンスに食料庫、それからパンやお肉、野菜もたっくさん買っちゃったな♪」

ルンルン気分で街を歩いているとなんだか気になる路地裏を発見する。

「ちょっと探検してみよっと…」

私は路地裏を探検する。

「おや?」

しばらく探検していると何かが蹲っているのを発見する。

私はそれに近づいて言う。

「どうしたの?」

その蹲っていたものはかなり汚れているが、白く長い髪の赤目をした猫の獣人アニマルの女の子だった。

女の子は怯えた様子で言う。

「こ、殺さないで!」

「…え?」

女の子は小さくなって両手で耳を塞いでいた。

よく見ると拘束具と思われる重そうな鉄輪が首と両腕も両足につけられていた。

「これは…まさか…奴隷用の…?」

私は鑑定を使った結果に驚きで言葉も出なかった。


確かに私たちの時代はそれぞれの国同士で戦争状態なのもあって、敵兵を奴隷として扱う事はあったようだが、こんな卑劣な拘束具をつけるまではやらなかった。

それほど、鑑定結果がとても酷いものだった。

なんだよ…「人である事を禁止」って…

クソが!人は物じゃないのよ!ふざけんなっつーの!


私はこれをつけた人間に酷く怒りを覚えた。

「こんなものっ!」

私は女の子の拘束具にかけられた魔法を無力化し、拘束具を跡形もなく破壊する。

「…?」

女の子は私が何をやったのか理解していない様子で不思議そうに私を見る。

「貴方を縛るものは無くなったわ。どう?動けそう?」

女の子は自分の体を見回して、私を見ながら身体を動かす。

「動ける…」

女の子は怖さで震えながらも私を見る。

「私はシェラよ。貴方は?」

「名前無い…奴隷だから…」

「そうなのね…」

どうしたものかと私が悩んでいると女の子が言う。

「あの…ボクを買ってくれません…か?」

「買う?」

「うん…」

私は女の子が何を言っているのか理解した。

「買わないよ。でも、貴方が私と暮らしたいなら、喜んで歓迎するよ。」

「…?どういう事?」

女の子は訳が分からないと言いたげに首を傾げる。

「つまり、貴方は奴隷じゃない。私の家族として、私と暮らすって事よ。」

「家族…?」

「そうよ。」

女の子は訳が分からないと言いたげに言う。

「あのねシェラさん…シェラさんは子供だから分からないかもしれないけど、ボクみたいな奴隷なんか家族にしたらダメだよ…シェラさんが恥ずかしい思いをする事になる…」

「じゃあ、自分の事を奴隷扱いするの禁止ね。」

「…?」

女の子はますます訳が分からない様子だった。

「だから、貴方が自分を奴隷だと言うのは禁止よ。だって、貴方はもう私の家族にするって決めたもん!」

私は胸を張って堂々と言う。

「どうして…?」

女の子は私の顔を見て言う。

「だって、貴方も生きているのよ?人としての心もある。そんな相手を物のように扱えだなんて無理に決まっているわ!全員は救えなくても、私の手の届く範囲にいる貴方くらいは救われてもいいはずよ。」

私が女の子に言うと女の子は涙目で言う。

「そんな事…言われたの初めてで…ボク…」

「おっと、うちの奴隷モノに手を出してもらっては困りますなぁ!」

女の子がビクッと身体を震わせて声の主を見る。

「あ…う…」

声の主は太った男性で、いかにも悪徳貴族だと言わんがばかりの風貌だった。

私は女の子と男性の間に立つ。

「あの拘束具はお前がやったのか?」

「もちろんですとも。だって、奴隷はそうされるのが当たり前なのですから、当然です!それに獣人ごときが飼い主である人間の私に逆らうなんて有り得ませんし、奴隷としてでも生かして貰えていることに感謝していただきたいですね!」

女の子は「もうおしまいだ…」とか言いながら、耳を塞いでいた。

「さあ、早くうちの奴隷を返すのです!」

私は女の子を見る。

「あうう…やっぱり、ボクなんかが…」

女の子は震えながら言う。

私は男性をキッと睨んでハッキリと大きな声で言う。

「断る!」

女の子は驚いた様子で私を見ていた。

「…は?」

太った男性が間抜けな声を出す。

「断ると言った!ここにはお前の言うなど存在しない!」

私は女の子を指さす。

「あの子は私の家族だ。」

男性は愉快に笑う。

「ハッハッハッ!こりゃ面白い冗談です。貴方の目は節穴ですか?そこの獣人ペットは奴隷ですよ。どうやって拘束具を無力化したのかは知りませんが、私の所有物です。邪魔をするなら貴方も私の奴隷にしますよ?」

男性が掴みかかってくる。

「せやぁ!」

私は軽く後ろに身体を逸らして回避して魔力で強化した右の拳で相手の顔をぶん殴る。

「ギャフン?!」

間抜けな声を出して、男性が倒れて動かなくなる。

女の子がそれを見て唖然としながら私を見る。

「大丈夫。気絶させただけだよ。」

私は女の子の頭を優しく撫でる。

女の子は涙を流しながら言う。

「シェラさん…ボク…ボクは…」

「大丈夫。私がついてる。」

「シェラさん…」

女の子はそう言うと幼子の様に泣き始める。

私は女の子が落ち着くまで抱きしめる。



しばらくして騒ぎを聞きつけた警備隊に事情を説明したうえで男性を引き渡して、私たちは家に帰る。

ちなみに奴隷商や奴隷を所持する行為はこの国では問答無用で死刑になるので、男性は拷問によって情報を引き出された後に死刑が執行されるとの事だ。

「ここが私の家だよ。あ、もう私一人の家じゃないんだった。」

私がお風呂の用意をする為に歩き出すと女の子が言う。

「でっけぇ…ボク、こんなうち初めて見た…」

「私も昨日からここに住んでるんだけど、こんなに大きな家…と言うか、屋敷に住むのは初めてよ。」

私はお風呂の用意が出来たので女の子を呼ぶ。

女の子はそっと汚さないようにしながら歩いてくる。

「よーし!気合い入れて洗っちゃうぞー!」

私は女の子と一緒に服を脱ぐ。

女の子の身体はどこも痣だらけで、傷の後も残っていた。

女の子の服はボロボロでもう使えそうに無かったので処分する事にした。

お風呂場に入ってからも女の子は周りをキョロキョロと落ち着かない様子で見ていた。

「ここに座って」

私がシャワーのところに置いた椅子を軽く叩いて呼ぶ。

「は、はい!」

女の子は元気に返事をして椅子に座る。

「今から身体を洗うよ!」

「身体を…洗う?」

女の子が不思議そうに言う。

「そうよ。こうやって洗うの。」

私は石鹸を使って泡立てて自分の身体を洗ってみせる。

「こ、こうかな…」

女の子は石鹸を、そのまま擦る。

「ううん。こうするの。」

私は女の子の手を握って石鹸を泡立たせる。

「この泡を使うんだよ。」

「おおー!すごい!アワ?美味しそう!」

「あっはは!食べたらダメだよ。それで身体を洗うのよ。」

「わかった。」

女の子はそう言うと背中以外を洗う。

「シェラさん…ボク、背中洗えない…」

「なら、私に任せて!」

私は背中を洗った後で背中以外の女の子が洗い残した所をくまなく洗う。

脇の下を洗っていると女の子が震えながら言う。

「ちょっとくすぐったい…」

「でも、ここは皮膚が弱いところだから、ちゃんと綺麗に洗わないとダメよ。今までお風呂に入った事が無いともなれば、尚更綺麗に洗わないと大変な事になっちゃうんだから!」

「うぅ…それじゃあ…頑張って我慢する…大変な事…なって…シェラさんに…迷惑かけられないから…」

女の子はくすぐったいのを震えながら我慢していた。

そうして、綺麗になった女の子の身体は見違えるように白く輝いていた。

「よし、次は髪の毛だね。目を瞑っててね!」

私は女の子の耳の中に水が入らないようにしながら、丁寧に丁寧に洗う。

女の子は耳が立ってる獣人族なので耳に水が入りやすく病気になる可能性も高いので、クリーンで綺麗にする。

そして、綺麗に流した後の女の子の髪は宝石の様に輝く真っ白な髪になった。

痛々しい痣の痕はまだあるが、色白の綺麗な肌に真っ白な髪が映える。

お風呂場から移動して、痣を治療して元の綺麗な白い肌に戻して、私の自室に戻る。

女の子は鏡に映った自分を見て「この人可愛い…」と呟いていた。

「それが貴方の姿よ。」と私が言うと女の子はビックリした様子で目を見開いて鏡に映った自分を見る。

「これが…ボク…なの?」

女の子は自分の身体をペタペタと触りながら、自分の身体を見ていた。

「凄い…シェラさん…凄い!身体…真っ白!痣も痒い所も無くなった!」

「あっはは!貴方、本当に面白いわね♪」

そして、歯磨きのやり方も教えて一緒に歯磨きをする。

「う~ん…ボクがハミガキしてもシェラさんみたいにキレイにならない…」

女の子がしょんぼりと尻尾を下げて、鏡の前で自分の歯を見ている。

「長い間、放置した状態だったら、なかなか汚れも落ちにくいものよ。こればかりは仕方ないわ。」

私は女の子の頬を両手で包む。

女の子は不思議そうに私を見つめる。

「私が良いよって言うまで目を閉じててもらってもいい?」

女の子は不思議そうに私を見つめながらもギュッと目を閉じて待っていた。

私は女の子の口の中を生活魔法の掃除で綺麗にする。

「良いよ!」

「…?にゃんだか、口の中が変な感じがする…」

「口を開けて口の中を見てみなよ!きっとびっくりしちゃうよ!」

女の子は恐る恐る目を開けて鏡で口の中を確認する。

「…?あれ?…あれ?」

女の子はわけがわからないと言いたげに私を見て、鏡の自分を見る。

「…シェラさんみたいに白くて…綺麗になってる?どうして?ボク、歯磨き…あんまり上手に出来なかったのに…不思議だぁ…!」

女の子はとても嬉しそうに鏡の中の自分を見る。

「今回は生活魔法で綺麗にしてあげたんだよ。次からは私が教えた通りにちゃんと歯磨きすれば、綺麗になるよ。」

「すごーい!シェラさん…魔法使いなんだね!ボクもシェラさんみたいに凄い魔法使いになりたいなぁ…」

女の子が憧れの眼差しでシェラを見る。

「じゃあ、今度、ギルドに行こうか?そこで魔法使いに適性があったら、勉強すれば君も魔法を使えるようになるからね。」


今のギルドには職業システムがある。

その為、個人の能力の適性検査を受けて、適性のある職業に着くのが通例なんだとエールも言っていた。

ちなみに私の適性はパラディンでパーティの守りの要となる職業なんだそう。

…まあ、大賢者にとってはどんな職業でも大丈夫なんだけどね。

自分で言うのもなんだけど、中身はなんでも出来る天才大賢者ですからね。


「わーい!ボクもシェラさんみたいに魔法使いになれるといいなぁ~」

女の子はとても嬉しそうに尻尾をピンと伸ばしながら飛び跳ねる。

シェラは「あ、そうだった!」と何かを思い出した様子で手をポンと叩く。

「君、まだ名前無かったよね?ギルドで魔力を見てもらう時にも名前が無いと不便だから、君の名前を考えようか!」

「ほんと?!やったー!生まれて初めての名前だー!かっこいい名前がいいなぁ~♪」

こうして、女の子の名付け大会が始まるのであった…
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