元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ

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現代の常識学

少女、全身全霊

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『こんな…ところで…』

そんな声が聞こえたと思ったら、主の意識が消えた。

「しまっ…」

私は咄嗟に主の元に駆けつけようとした。

しかし、目の前のモヒカン野郎が荒々しく拳を振り回す。

私は乱暴に振り回された拳を軽々と避ける。

3番チームの少女と少年の2人はディアが一人で相手をしていた。

残りの2人はいつの間にか倒されていたのが視界の隅に見えた。

私は人間用に変換した魔力を少しづつ送りながら主に語りかける。

実は魔族と人間の魔力は少し仕組みが違うのだ。

その為、魔族の魔法は人間の魔力では使えないし、逆に人間の魔法を魔族の魔力では使えない為、それ用に変換する必要がある。

これは魔族は魔力から発生するのに対し、人間は胎児として母から産まれると言う違いのせいでもある。

魔族にはモンスターも含まれ、人間には亜人族も含まれる。

ここで言う亜人族は魔族と龍人以外の人間に近い見た目の胎児性の種族が該当する。

厳密には魔族にもティアラの様な亜人族が存在し、龍人も亜人族の1種だが、こちらはまた少し違うらしい。

しかし、魔法の効能には違いはなく、魔族の回復魔法で人間を回復することも逆に人間の回復魔法で魔族を回復させることも可能だ。

発動のトリガーとなる魔力は合わせないとダメなだけだ。

そして、シェラが扱うのは人間の魔法…

魔族の魔法も扱えることは理解しているが、効率や身体の負担を考えて人間であるシェラには人間の魔法を使ってもらわないとダメだ。

本来なら契約者との魔力のやり取りでは自動で変換された魔力になるのだが、今は契約者であるシェラが瀕死で意識がないため、自力で変換しなくてはならない。

『シェラ様!起きてください!』

しかし、シェラの意識は戻って来なかった。

「くたばれオラァ!」

「うるさいっ!」

私は荒々しく拳を振り回して襲いかかってくるモヒカン野郎の顔面に一発キツいのを叩き込んでぶっ倒す。

モヒカン野郎は気絶して動かなくなった。

(シェラ様の事は絶対に死なせませんよ。)

私はシェラの目の前の筋肉に槍使いの少女が飛びかかり、軽々と弾き飛ばされたのを見た。

「やい!筋肉ダルマ!今度は私が相手ですわ!」

私は鋼のようなカチカチの肉壁に右の拳を叩き込むが、やつには一切ダメージが無いどころか、自分の拳の骨の方が負けて粉砕されたのを感じる。

「何だァ?そのへなちょこパンチは…もっと鍛えてこいや!」

「ガハッ!?」

筋肉ダルマ…もとい、シルバの近距離で放たれた砲弾のような拳が私の腹に叩き込まれ、身体が宙に飛んだ感覚とともに内蔵と骨が粉砕するのを感じる。

しかし、シェラとの契約のおかげで私の肉体的損傷は瞬時に回復する。

「…とは言え、ダメージは大きいですね。」

私は空中で体勢を整えて着地の衝撃を和らげる。

「ほう?骨が折れても受身は取れるようだな。」

シルバが面白そうに笑って言う。

「へっ!あんたのへなちょこパンチなんて痛くも痒くもないですわ!」

私は精一杯の強がりでシルバを挑発する。

「おもしれぇ!なら、ちょっと本気出してやんよ!」

シルバが視界から消えたかと思った次の瞬間には私の目の前で拳を構えていた。

「後悔すんなよ?アクセルアッパー!」

「ッ!?」

もはや、何も感じないレベルのとてつもない衝撃が私の身体の中を木っ端微塵にした感覚を感じる。

契約の力で肉体が修復され始めて初めて痛みを自覚するほどだった。

「ッ!ハッ!」

私は再び空中で体勢を整えながら魔力を高める。

「させねぇよ!」

シルバが空中の私に向かってジャンプで接近する。

「スピリットランス!」

シルバの拳が私の身体に届く寸前でスカーレットの槍を使った突進がシルバの拳の起動を逸らしたが、そのままシルバが腰を捻って腕を振り回す。

スカーレットがギリギリで槍の柄で受け止めると同時に私の身体は重力によって地面に叩きつけられる。

『シェラ様!シェラ様!』

私は必死にシェラに呼びかける。

しかし、シェラの身体のダメージが大き過ぎるのか、感じられるのは僅かな命の残火ざんかだけだ。

(を使ってみましょうか…)

私は自身の身体をふたつに割くようなイメージをする。

そして、自身の魔力と預かっているシェラの魔力の一部と生命力の半分を持った見えない分身を身体の中で生成する。

「ぐあッ!」

スカーレットが吹き飛ばされて壁に叩きつけられて力なく倒れたのが見えた。

「おっと、俺の前で変な事はさせねぇぜ!オラヨッ!」

シルバが地面を掴んで巨大な岩の塊を持ち上げるとそのまま凄まじい勢いで岩を投げ飛ばす。

「ふん!」

私の目の前に現れた白い稲妻の様な少女の左足の蹴りが岩にぶつかると同時に「ドガァ!」ととても岩が砕けただけでは出ないような爆音とともに粉々に砕けて粉塵となった欠片が発生した衝撃波に乗って私の体表に無数の切傷を作る。

私の身体の再生速度よりも僅かに切傷の増加が多かったが、それでも直撃を受けるよりははるかにダメージは少ないし、少し時間が経てば元通りに戻っていた。

少女は特徴的な猫耳を「ピコピコ」と動かして言う。

「ティアラさん、時間稼ぎはボクに任せて…」

カリヤが消えたと思った瞬間にはシルバの顔に右足の蹴りを叩き込んでシルバの身体を僅かにだが吹っ飛ばしていた。

「今のは効いたぜ。まさかこの俺をほんの少しだが、吹っ飛ばせるほどの筋肉マッスルが居たとはなぁ!」

シルバが完全にカリヤをロックオンしたようだ。

「そう…」

カリヤは表情を変えることなく、ただただ短い言葉を返しただけだった。

「カリヤさん…感謝します」

私は魔力として見えない分身を倒れているシェラに送る。

正確に言えば、一部収納になるのだが、今はそんな事はどうでもいい。

『シェラ様!私が必ず貴方をここに呼び戻しますからね!』

私はシェラと契約して目覚めたも試す事にした。

預かっていたシェラの魔力を少しだけ変換する事で私の魔力が高まる。

「スキル…」

「なんだ?あの魔力…!」

「ふん!」

シルバがこちらの変化に気がついたが、カリヤの蹴りがシルバの動きを封じる。

(あと少し…あと少しなのに…!)

魔力が足りない。

私は必死にこの場の魔素をかき集めるが、圧倒的に足りなかった。

私はスキル発動の宣言中は魔力変換が出来ないと言う己の弱点を呪う。

(クッ…シェラ様…)

『ふわぁ…なんか寝てたらやばい事になってるのじゃが…』

そんな聞き慣れた間抜けな声が聞こえてくる。

『シャタルアさん!』

私がその相手の名前を呼ぶと同時に膨大なが送られる。

『ほれ。さっさとねぼすけの大賢者様を起こしてやるのじゃ。』

シャタルアがカリヤの中で魔力を使って、カリヤの身体能力を上げる。

『ありがとうございますっ!』

シャタルアのおかげで能力を発動しても余力を残せるだけの魔力が集まった。

生命の風を引き寄せる途絶えぬ炎インモルタァ・フレア!」

『シェラ様!起きてください!』

私の主の意識が戻って来る感覚を感じる。

「グッ…」

カリヤの身体が吹っ飛ばされるが、しっかりと空中で受身をとって着地する。

「カリヤさん、私も加勢しますよ!」

回復したと思われるスカーレットが再び槍を力強く構えて言う。

「うん!」

カリヤの応答とともにスカーレットの槍がシルバの腹に突き刺さる。

シルバの身体に傷をつけることは適わなかったが、その一撃は強力な一撃だったのは確かだろう。

「グハッ!俺に血を吐かせる…だと?」

シルバが明らかに驚いた様子で言う。

『シェラ様!』

「ふん!」

私はシェラに呼びかけを続けている間にもカリヤの蹴りとスカーレットの槍がシルバの動きを止める。

『声が聞こえたような…』

「…ッ!」

私はついにシェラの応答があったことに驚く。

「ガハッ!」

スカーレットが吹き飛ばさて壁に叩きつけられる。

カリヤが私の様子が変わった事に気がついて少し安心したような表情になる。

「オラヨッ!」

「ふん!」

「ドゴォ!」ととても拳がぶつかって出たとは思えないような衝撃音と衝撃波が発生する。

『起きてください!シェラ様!』

『…ッ!この声は…!』

シェラが意識を取り戻したのを感覚的に理解する。

「グッ…」

凄まじい勢いでカリヤが吹き飛ばされ壁に叩きつけられたのが見えた。

『シェラ様!立ち上がってください!』

『ティアラ…ありがとね』

そんな言葉が聞こえたと同時にシルバが大岩を持ち上げて勢いよく投げ飛ばすとグーパンで岩を粉砕し、その衝撃を利用して粉砕した欠片を飛ばしてくる。

「ぐあああっ!」

私の身体を岩の欠片が貫く。

「せやぁ!」

スカーレットがシルバに槍を振るう。

「チェストォ!」

シルバの拳がスカーレットの槍ごと吹き飛ばす。

私は魔力も生命力も激しく消費した影響で傷の治りが遅くなっているのを感じるが、絶望はしていない。

むしろ、その逆で希望を持っている。

だって、そうでしょう?

私の主は…

なのですから!
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