元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ

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現代の常識学

最古のエルフと神代の魔王

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時は数十分ほど前の話である。

「久々に動くと少々疲れるのだわな。」

儂が少女を送り出して少したった頃だ。

誰が見ても明らかに異常な量の大発生をしていたD~Bランクのモンスターを殲滅して、一息ついた時だ。

『ふん。この程度で音を上げるなど、貴様らしくない。』

そう言って、儂の中に居るがため息をつく。

「たわけ!儂が音を上げるわけがないのだわなっ!そもそも、主人と共に戦うのが、お主との契約なのだわな!」

『ほう?この程度で音を上げるだけでなく、我に手を貸せとな?こんなもの、貴様にとっては準備運動にもならんはずなのだがなぁ?』

「全く…お主はいつもああ言えばこう言うのだわな。」

『どこぞのエルフにでも似たんだろ。』

「はぁ…まあよい。お主が出ないのは、儂の実力もまだまだ衰えてはおらぬと言うことなのだわな。」

『ふん。言ってろ。』

儂が魔王と言い合っていると突然周囲の様子が変わる。

とてつもない重圧感を感じる魔力がこちらに向かってきているのを感じる。



『わかっておる。今の貴様では勝てぬ相手だ。我に任せよ。』

「すまんが、頼んだわな。」

とてつもない魔力の持ち主が儂の前に姿を現すと同時に目の前に宝石のように輝く藍白あいじろの長い髪の少女が現れる。

少女がゆっくりとまぶたを上げ、猩々緋しょうじょうひの左眼と葡萄染えびぞめの右眼で相対者を見る。

少女の外見は人間の8歳頃の少女のものと同じであり、見た目では魔族とは到底思えないような可憐な容姿をしている。

服装は透けてしまいそうなほど薄い白い布の袖のないワンピースを着ているだけだった。

少女の姿を見た相対者の男は言う。

「へぇ…この俺様に匹敵する力を持ったやつがいるなんておもしれぇじゃん!」

儂を見た男が閉じられた左眼に傷のある顔でにやりと笑う。

「ふん。舐められたものだな。」

アスタロテは呆れたように言うと空間から鋼の剣を二本取り出して両手に持つ。

左手は刃が後ろ向きになるように、右手は刃が相手を向くようにして持っている。

それを見た男が100点満点のゲス顔で言う。

「おいおい、のくせに俺様に歯向かうつもりかい?」

まずい!その言葉は…!

「…よく聞こえなかったな。もう一度言ってみろ。」

アスタロテの周りの空気が変わる。

のくせに俺様に歯向かうつもりかと言ったぜ。」

「ほう…この我に対しとな…」

アスタロテの表情は笑っているが、眼が完全に獲物を狩る獣の目をしていた。

アスタロテは自身の背丈の倍はある魔力の翼を出現させる。

「ベル、貴様は離れてろ。」

「あまりやりすぎないようにするのだわな」

「手は抜くさ。」

アスタロテがそう言った瞬間にアスタロテの姿が男の目の前に現れると同時に勢いよく左手の剣で男を斬らないようにして、男の腹に拳を叩きこんで男を吹っ飛ばす。

男は少し離れたところの木に叩きつけられる寸前で体勢を立て直す。

「見た目はおチビちゃんだが、拳はカイザーコングだな。ガハッ!」

男が呟くように言うと吐血し、その血を見て男は驚いたように目を見開いた。

「あの一撃で俺様が吐血するだと…あ、ありえねぇ…あんなの身体でそんな筋力が出るわけが…いや、俺様はチビでも怪力になれる方法を知っている。ならば、相手もそれを知っていて当然か…」

男の雰囲気が変わる。

「おチビちゃん…いや、女。お前、名はなんと言う?」

「ふん。礼儀のなっとらん小童こわっぱだ。人に名を聞くなら、まずは自分から名乗るのが礼儀だぞ。」

「…そうだな。俺様は西の国の勇者、ガイアだ!」

アスタロテは少しだけ考えるように斜め上を見る。

「勇者?…ああ、人間の強化個体か…」

思い出したような素振りを見せて、アスタロテが名乗る。

「我はアスタロテ。今はただの魔族だ。」

ガイアが剣を構えて言う。

「アスタロテ…良い名じゃねぇか…俺様に血を吐かせた女。その名は俺様が後世まで語り継いでやるよ。」

「お前に後世が訪れたらの話だろう?」

アスタロテが呆れたように言う。

「んじゃ、仕切り直して…」

ガイアの目の色が変わる。

文字通りに目の色が変わって青い目が赤くなった。

「行くぞ!アスタロテ!俺様の剣の礎となれ!」

音すらも置いて行くほどの速さで斬り掛かるガイアの剣をアスタロテは軽々と左手の剣で防ぐ。

「少し遊んでやろうぞ。」

アスタロテがそのまま左手で押し返すと同時に左手の剣を振るって凄まじい斬撃を発生させる。

押し返されて空中に投げ出されたガイアは空中で体勢を整えると空気を蹴って斬撃を避ける。

背後にある斬撃が通った木が文字通りに一瞬にして粉になる。

「デタラメな力だな。だが、これならどうだ!」

ガイアの魔力が高まる。

「炎よ!爆ぜろ!フレアボム!」

ガイアが剣を振るうと爆発する炎の弾が放たれる。

「脆い…アクア」

炎の弾がアスタロテの周囲に浮かび上がって放たれた小さな水の弾によって相殺される。

「おかわりもくれてやろう。」

アスタロテが左手の剣を全くの同時に2、クロスさせて振るうとX字の斬撃が放たれる。

「健脚を!スピードアップ!」

ガイアが強化魔法を使って速度を上げ、斬撃を避けながら、突撃する。

アスタロテは気がついているのかいないのかわかりにくい動きで左手の剣でガイアの怒涛の連撃を軽く受け流す。

「どうした?勇者とやらは、この程度なのか?」

「なら…」

ガイアの目が一瞬だけ、儂を見た気がした。

「これならどうだ!ホーリーランス!」

それが一瞬でべリュティエールの身体を貫いた瞬間、べリュティエールの姿が消える。

アスタロテが一瞬だけ焦ったような表情をしたが、すぐに心配はないと判断したように元の表情に戻る。

「チッ…外しちまったか…」

ガイアは言葉とは裏腹に当然だなと言いたげな表情をしていた。

「格上の契約魔族を倒すには、その主を殺せば良い。だが…」

アスタロテの中からエルフの少女が現れる。

「儂とて、伊達に長く生きてはおらぬよ。もっとも、今の儂ではお前をやり合うことの出来るほどの力は無いのだがね。」


逆接召喚と呼ばれる特殊な召喚魔法によって、アスタロテの身体の中に自身を召喚し、通常の召喚魔法と同様の方法で自身をアスタロテの隣に召喚する。

逆接召喚を行うだけでもとてつもない技術が必要なのだが、それを容易く使いこなす召喚魔法のエキスパートとも呼べる存在が、このべリュティエールと言うエルフなのだ。

彼女の手にかかれば、どんなに難しい召喚魔法でも寝ていても使えるような簡単な技術となる。

長い間、戦いの場から離れていたため、本人の戦う力はかなり衰えたが、それでもA級の実力を維持出来る能力がある。

召喚魔法は自身の身体能力がC級と同等まで弱くなろうと召喚魔法を使いこなせば、A級の中でもトップクラスの実力になるのだと、べリュティエールは豪語している。

ちなみにこの逆接召喚の技術は大賢者が知らないどころか、この世界の以外の全ての種族が知らないほどの秘術であり、その種族の存在はいつの時代もおとぎ話でしか語られないほどに何もわからない種族だ。

人も神も魔の者も誰もが存在すら知らないが、どの種族も例外なく力を借りている種族…

その種族は妖精フェアル

その姿はほとんどがヒトと変わらない姿であり、たまに精霊族と同じ翼を持つものがいる程度だ。

彼らのみが逆接召喚を知っており、逆接召喚を扱える唯一の種族だ。

しかし、それは妖精としての覚醒をした者に限られるため、今では失われた存在として扱われている。

そして、彼らはこの世界のに強く関係している存在だ。

べリュティエールは妖精では無いが、妖精から技術を受け継いでいる為、逆接召喚を扱うことが出来ている。


アスタロテが魔力を込めながら、呪文をする。

「全ての者はこれを恐れ、これを悪とする。我はこれを受け入れ、これを操りし者…」

黒い魔力によって魔法陣が描かれ始める。

「させるかぁ!」

ガイアが怒涛の連撃をアスタロテに放つがアスタロテは全て左手の剣飲みで軽く受け流していた。

「光ある所に我はあり、我は反逆の化身…悪逆非道も等しく我に還る運命…今宵、汝はこれを知り、これに塗り潰されよう…」

アスタロテがガイアを弾き飛ばすと同時に魔法陣が完成する。

黒く禍々しい魔法陣が不気味な光を放って漆黒の炎で燃えるが取り出される。

「しまっ…!」

「愚かなる人類よ…を思い出すがよい!ダークブレイズ!」

が激しく燃えながら、ガイアの身体に黒い火をつけ、を焼く。

「ガアアアア!暑い暑い暑い暑いアツイアツイアツイアツイアツアアアアアアアアアアアアアアアア………………………」

ガイアが白目を剥いて叫び、やがてその声が消える。

ガイアの身体から黒い炎が消えると同時に糸が切れた操り人形のように膝を着く。

「今のは…」

儂がそう呟くとアスタロテは言う。

「やつのは死んでおらぬぞ。」

儂はその言葉で全てを悟った。

「恐ろしい事をしてくれたのだわな。」

アスタロテがガイアの頭に手を置く。

読取サーチ

そして、その記憶を読み取る。

それはとてもとても不快でとてもとても苦しみを伴いながら、ありとあらゆる記憶を吐き出す呪いとなる。

ガイアの身体が苦痛に顔を歪める。


意識も魂も無い者に感情も苦痛もないはずなのだが、それすら間違いだと思ってしまいそうなほどに、これは苦痛が酷いのだろう。

いつもの事ながらがやることにはゾッとする。


そんなことを考えているとアスタロテがガイアの頭から手を離す。

「還るがよい。」

アスタロテがそう言ってガイアの体を跡形もなく消し去る。

「ベル、あやつは西の国の者では無く、勇者でもなかったぞ。厳密に言えば、勇者の素質はあったが魔と契約し、魔の者になってしまった哀れな抜け殻であった。故にあの体の本来の持ち主に体を還してやった。」

だが、儂の耳では

それを察してか、アスタロテはため息をついて言う。

「貴様にも聞こえたと思うが、あやつの記憶の中では、あやつは西の国の勇者であった。故に事実と異なるが、嘘はついていなかった。これは憶測にはなるが、我らを消そうと目論む者が今回の騒動を引き起こした可能性が高い。」

アスタロテは息を大きく吸って深呼吸すると一瞬だけ動きが止まる。

「ふむ…西の国の侵攻もあるようだな。西の国の王を唆した者がいるのだろう…」

アスタロテは何かを受信したかのように右手の人差し指で頭を指す。

「貴様が送り出したあの小娘…確かシェラと言ったな?」

儂は小さく頷いて肯定する。

「西の国の目的自体はこの国を陥落させ、支配することであるのは間違いないが、その裏にいる者はシェラの魂を狙っておるようだ。これ以上はではわからなかったがな。」

「…これはシェラにもを話してもらう必要があるのだわな。」

儂がそう言うとアスタロテが首を振る。

「その必要は無い。我のの力で見たからな。」

「見た…のだわな?」

儂が首を傾げると不敵な笑みを浮かべたアスタロテが言う。

「あやつは遠い昔、貴様が産まれるよりも昔に存在した大賢者だ。それも転生者として復活した者だ。」

「なんじゃと?!転生魔術なんか2000年以上生きておる儂でも知らないのだわな!?」

儂が驚きの声をあげるとアスタロテは楽しげに笑って、とんでもないことを言う。

「あやつの契約魔族、それもだ。根源の白でありながら根源の白では無い者だが、その力は限りなく根源の白に近いと言える。」

アスタロテはそう言うと見た目相応の可愛らしい笑顔でほんの少し声を上ずらせながら言う。

「フフッ…ブランの力を持つ者がどれだけ強くなるのか…今から楽しみじゃ…」

儂はアスタロテの考えていることが恐ろしいと思ったが、転生魔術を扱う者がこの世界にいた事にも驚いた。

もしそれが儂でも扱えるものなら…

「その時は貴様の願いも叶うだろうな。」

「勝手に主人の考えを読み取るなんて生意気なのだわな。」

「ふん。油断しておる貴様が悪いのだ。それに我にも関係のある事ではあるからな。」

「…それもそうなのだわな。」

アスタロテは「ふわぁ…」と大きな欠伸をすると霧状になって消える。

べリュティエールは自身の中にアスタロテが戻って来たのを感じながらエリアを見回って帰るのであった。
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