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第四幕 恋雪
恋雪―3
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「次の芝居は、雪女の物語でいく」
大部屋に集められた座員は、琥珀の決定を聞いた。雪女の物語はすでに上演されている定番のものらしい。
「雪女は乙族だから、周知は問題ないんじゃないの?」
あさぎの疑問に、琥珀は一つ頷いた。あさぎは睡蓮の髪飾りを、買ってもらったときから、ずっと付けている。琥珀はちらりとそれを見て口元だけで笑ってから答えた。
「ああ。周知については問題ないが、雪女の話は人気があって、要望が多く来るんだ。今回は一週間続けての上演にする。頼んだぞ、花音、雪音」
「はい」
「もちろんですわ」
その日から、稽古が始まった。雪女の物語、中心となる役を演じるのは、雪女の妖である花音と雪音。妖の中でも、雪女本人が演じる雪女、として評判となっているらしい。
あさぎは、佐奈に台本を借りて、客席の端で物語を読み込んでいく。雪女の悲恋物語。幼馴染の二人、名家の跡継ぎの若者を雪音、商家の娘を花音が演じる。娘は仕事の都合で冬の間しか若者の前に現れないが、それでも二人は愛し合っていた。ある日、若者が娘に婚約をしたいと伝えると、娘は嬉しそうに笑ったが、拒否をする。
どうしても理由が知りたいと若者が食い下がると、娘は自分が雪女であることを明かす。雪女だから冬にしかここには居られないのだと。幼い頃の出来事から雪女であることを知っていた若者はそれでもいいと言う。次の冬にと娘は去っていく。次の冬に若者の元へ行くと、別の婚約者がいた。若者の家の者が無理やり婚約させたのだが、娘はショックを受ける。雪女の自分には、共に在れないと、身を引いてしまう。永遠に愛していると残して。
「ほわぁ……」
読み終えたあさぎは、言葉になっていない声を零した。悲しい恋の物語だが、だからこそ胸を打つものがある。実際に見るのが楽しみだ。
「そういえば」
あさぎは、この間、仲見世で買った絵草子の中に似たような話があったことを思い出した。楽屋に戻って、絵草子をパラパラとめくる。やはりあった。豪雪地帯に伝わる昔話だった。そこでは、男と雪女は結婚しており、雪女は自分がいない間に再婚した男に怒り狂い、殺してしまうという結末だった。
「佐奈ちゃんらしい脚色。私もこの悲恋の方が好きだなあ」
絵草子を置いて、舞台に戻るとちょうど休憩中だった。
「あら、あさぎ、どこに行ってましたの」
「台本読み終わって、絵草子が気になって楽屋に――って何してるの? それ」
花音と凪、佐奈が不思議な形の置物を中心にして円になって座っている。置物は、三本の棒を組み合わせて三角錐を作り、その不安定な上に盆を置いている。初めて見るが、何か見覚えのあるような。
「学校で流行っているんですのよ。こうして、盆に手を置いて、試験の結果を占うんですの」
「へえー」
「そんなものに頼ったって、仕方ないですよ」
少し離れたところから見ていた雪音が、ため息混じりにそう言った。花音が頬をぷくうっと膨らませた。
「雪音はローマンがありませんわね」
「占いに頼らなくても、姉さんが一番なことに変わりないって言っているんです。それだけの努力をしているんですから」
「!」
雪音の返答は、予想してなかったものだったようで、花音が固まっている。が、次第に嬉しそうに顔をほころばせた。
二人は、学校での成績が一番であることを条件に、ここに来ていると、琥珀から聞いたことがあった。
「家が厳しいんだよね、少しだけ聞いた」
「家が、というよりは僕たちが双子だから、です」
あさぎは、双子だからという言葉の意味が分からず、きょとんとした。凪と佐奈は、やや顔を曇らせている。雪音は円の中に合流して、あさぎに微笑んだ。
「そういえば、あさぎは最初に双子だと言った時も、顔を顰めたりはしませんでしたね。……家の事情で迷惑をかけるかもしれないから、座長と寧々さんには話してあるんですけど、今は皆さんにも聞いて欲しいと思っています。いいですか、姉さん」
「いいですわよ。わたくしも、雪女の物語を久しぶりにやるなら、話しておきたいとは思っていましたもの」
花音と雪音が、少し改まった様子で、並んで座りなおした。つられて、あさぎたちもその場に正座をした。
「昔から、双子は忌み子と呼ばれ、縁起が悪いからと、どちらかは生まれてすぐに殺されていました」
「そんな……」
昔の習慣や伝統とはいえ、そんなことがまかり通っていたことが信じられない。珍しいことであっても、命を奪っていいわけがない。
「昔ほど偏見はなくなってきましたわ。でも本殿は、双子は不吉である、どちらかを殺すべきと竜胆家に言ったそうですの」
「本殿が言ったのは、暴論です。双子を殺すなど、明治の時代に許されていいはずがありません。江戸の頃に中立・不干渉だったとは信じられません。……話が逸れましたね。僕たちが生まれた時、どちらかが殺されそうになったそうです。それを、母が守ってくれたんです」
そう言う雪音の表情が、ほころんだ。と同時に痛みを耐えるような表情にも見えた。花音は、雪音の背中を手のひらで叩いた。決して強くなく、かと言って慰めるようなものでもなく、力を分けたような、優しい活の入れ方だった。
「雪女の間で伝わる、縁起の良い伝説上の花、雪花というものがあります。その花が、僕たちが生まれた時に咲いたらしいんです。そして、名前も雪花から取って、雪音と花音に」
「凄い! そんな貴重な花が咲いたなんて。きっと二人は祝福されてたんだね」
あさぎは、起こった奇跡に感動して声を上げたが、その横で凪が考え込んでいる。難しい顔をして、雪音と花音を見つめた。
「失礼を承知で言うわ。……本当にそんなことが起きるかしら」
「え?」
あさぎは首を傾げたが、花音が小さく笑っている。さすがですわね、と呟いている。
「本当に花が咲いたのか、誰にも分かりませんわ。伝説上の花ですもの、色も形も分かりませんの。花は持って行ったそうですけれど、それが本物か、誰も判別出来なかったそうですわ」
「嘘だと言われなかったの?」
「もちろん、言われたらしいですわ」
「でも、もしも本物だったとしたら。その可能性が捨てきれない限り、伝説の花の名を持つ子を殺すことは、雪女の家系では憚られることでした。たとえ、双子だったとしても」
「わたくしたちは、お母さまの虚構で、生き永らえたんですの」
話し終えた雪音と花音は、どこかすっきりとした顔をしていた。内に抱えていたものを話したことで、あさぎたちがそれを少し持つことが出来て、軽くなったのだとしたらいいな、と思っていた。
「まあ、妖の間では忌み子よりももっと不吉と言われている『混ざり子』がいますから、それよりましだと思われたのかもしれません」
「混ざり子?」
「”二つの種族が混ざった、子どものこと”」
佐奈が、口を動かして教えてくれた。詳しいことは、凪が説明してくれた。要約すると、妖は別種族同士で結婚し、子どもが生まれた場合、必ずどちらかの種族になる。そうなると、必然的に片方の親とは別の家に入ることになるため、妖はそもそも同族同士での結婚を望むのだという。階級が違えば尚更。我が子と離れることになるのだから、気持ちは分かる。
そして、混ざり子というのは、別種族同士の親の両方の特徴を受け継いだ子のこと。花紋も二つ持っているという。生まれるのは非常に稀で、確認されたのはかなり昔のことらしい。
「両方の特徴があるなら、凄いことじゃないの?」
「血が混ざった汚らわしい存在、って教えられているから、そう思ったことはないわね」
凪以外の皆も、頷いていて、同意であることが伝わってくる。双子と同じく、珍しいだけで忌み嫌うものではないと、あさぎは思ったが、それを気軽に口に出来る雰囲気ではなかった。
「ともかく、雪女の芝居をすることは、家への抗議でもあるんですの。未だに双子を恐れる者たちがいて、家では雪音と一緒に居られませんの。食事も別ですわ」
「ここなら、姉さんと一緒に居られますから。後は本殿が信用ならないというのもあります」
妖のため、周知を進めようとしている黄昏座は、本殿に逆らっていると、言われたことがあったが、雪音はそれを承知で、むしろそのためにここにいるのだ。
「もちろん、わたくし自身、この物語が好きですわ。だから全力で、演じますわ」
「僕もです」
花音と雪音の覚悟を聞き、改めてあさぎは気を引き締めた。この二人の芝居が成功するように、しっかりと出来ることをしようと決意した。
稽古をしていたある日、花音と雪音が遅れてきた。走ってやってきた様子で、二人とも息が切れていて、顔が高揚していた。
「どうしたん? 二人とも」
「お母さまが、最終日に芝居を見にいらっしゃるそうですの!」
花音の声には喜びが溢れ出ていた。雪音も、いつもより足取りが軽やかで、全身から喜びが見える。
「母は病気がちなのと、家からの監視もあってあまり外に出ないのですが。許可が出たそうです。ああ、頑張らなくてはいけませんね」
「もちろんですわ。雪音、稽古を始めますわよ」
「はい」
花音と雪音の稽古は、一層気迫が籠っていた。大事な人が見に来るのだから、何としても成功させてあげたい。あさぎは、舞台袖での着替えの手伝いをすることになっていたから、もっと早く出来るように工夫したり、休憩の時にお菓子やお茶を用意したりと出来る限りのことをしようと心掛けた。一生懸命に芝居をする二人は、本当に楽しそうだった。
「次の芝居は、雪女の物語でいく」
大部屋に集められた座員は、琥珀の決定を聞いた。雪女の物語はすでに上演されている定番のものらしい。
「雪女は乙族だから、周知は問題ないんじゃないの?」
あさぎの疑問に、琥珀は一つ頷いた。あさぎは睡蓮の髪飾りを、買ってもらったときから、ずっと付けている。琥珀はちらりとそれを見て口元だけで笑ってから答えた。
「ああ。周知については問題ないが、雪女の話は人気があって、要望が多く来るんだ。今回は一週間続けての上演にする。頼んだぞ、花音、雪音」
「はい」
「もちろんですわ」
その日から、稽古が始まった。雪女の物語、中心となる役を演じるのは、雪女の妖である花音と雪音。妖の中でも、雪女本人が演じる雪女、として評判となっているらしい。
あさぎは、佐奈に台本を借りて、客席の端で物語を読み込んでいく。雪女の悲恋物語。幼馴染の二人、名家の跡継ぎの若者を雪音、商家の娘を花音が演じる。娘は仕事の都合で冬の間しか若者の前に現れないが、それでも二人は愛し合っていた。ある日、若者が娘に婚約をしたいと伝えると、娘は嬉しそうに笑ったが、拒否をする。
どうしても理由が知りたいと若者が食い下がると、娘は自分が雪女であることを明かす。雪女だから冬にしかここには居られないのだと。幼い頃の出来事から雪女であることを知っていた若者はそれでもいいと言う。次の冬にと娘は去っていく。次の冬に若者の元へ行くと、別の婚約者がいた。若者の家の者が無理やり婚約させたのだが、娘はショックを受ける。雪女の自分には、共に在れないと、身を引いてしまう。永遠に愛していると残して。
「ほわぁ……」
読み終えたあさぎは、言葉になっていない声を零した。悲しい恋の物語だが、だからこそ胸を打つものがある。実際に見るのが楽しみだ。
「そういえば」
あさぎは、この間、仲見世で買った絵草子の中に似たような話があったことを思い出した。楽屋に戻って、絵草子をパラパラとめくる。やはりあった。豪雪地帯に伝わる昔話だった。そこでは、男と雪女は結婚しており、雪女は自分がいない間に再婚した男に怒り狂い、殺してしまうという結末だった。
「佐奈ちゃんらしい脚色。私もこの悲恋の方が好きだなあ」
絵草子を置いて、舞台に戻るとちょうど休憩中だった。
「あら、あさぎ、どこに行ってましたの」
「台本読み終わって、絵草子が気になって楽屋に――って何してるの? それ」
花音と凪、佐奈が不思議な形の置物を中心にして円になって座っている。置物は、三本の棒を組み合わせて三角錐を作り、その不安定な上に盆を置いている。初めて見るが、何か見覚えのあるような。
「学校で流行っているんですのよ。こうして、盆に手を置いて、試験の結果を占うんですの」
「へえー」
「そんなものに頼ったって、仕方ないですよ」
少し離れたところから見ていた雪音が、ため息混じりにそう言った。花音が頬をぷくうっと膨らませた。
「雪音はローマンがありませんわね」
「占いに頼らなくても、姉さんが一番なことに変わりないって言っているんです。それだけの努力をしているんですから」
「!」
雪音の返答は、予想してなかったものだったようで、花音が固まっている。が、次第に嬉しそうに顔をほころばせた。
二人は、学校での成績が一番であることを条件に、ここに来ていると、琥珀から聞いたことがあった。
「家が厳しいんだよね、少しだけ聞いた」
「家が、というよりは僕たちが双子だから、です」
あさぎは、双子だからという言葉の意味が分からず、きょとんとした。凪と佐奈は、やや顔を曇らせている。雪音は円の中に合流して、あさぎに微笑んだ。
「そういえば、あさぎは最初に双子だと言った時も、顔を顰めたりはしませんでしたね。……家の事情で迷惑をかけるかもしれないから、座長と寧々さんには話してあるんですけど、今は皆さんにも聞いて欲しいと思っています。いいですか、姉さん」
「いいですわよ。わたくしも、雪女の物語を久しぶりにやるなら、話しておきたいとは思っていましたもの」
花音と雪音が、少し改まった様子で、並んで座りなおした。つられて、あさぎたちもその場に正座をした。
「昔から、双子は忌み子と呼ばれ、縁起が悪いからと、どちらかは生まれてすぐに殺されていました」
「そんな……」
昔の習慣や伝統とはいえ、そんなことがまかり通っていたことが信じられない。珍しいことであっても、命を奪っていいわけがない。
「昔ほど偏見はなくなってきましたわ。でも本殿は、双子は不吉である、どちらかを殺すべきと竜胆家に言ったそうですの」
「本殿が言ったのは、暴論です。双子を殺すなど、明治の時代に許されていいはずがありません。江戸の頃に中立・不干渉だったとは信じられません。……話が逸れましたね。僕たちが生まれた時、どちらかが殺されそうになったそうです。それを、母が守ってくれたんです」
そう言う雪音の表情が、ほころんだ。と同時に痛みを耐えるような表情にも見えた。花音は、雪音の背中を手のひらで叩いた。決して強くなく、かと言って慰めるようなものでもなく、力を分けたような、優しい活の入れ方だった。
「雪女の間で伝わる、縁起の良い伝説上の花、雪花というものがあります。その花が、僕たちが生まれた時に咲いたらしいんです。そして、名前も雪花から取って、雪音と花音に」
「凄い! そんな貴重な花が咲いたなんて。きっと二人は祝福されてたんだね」
あさぎは、起こった奇跡に感動して声を上げたが、その横で凪が考え込んでいる。難しい顔をして、雪音と花音を見つめた。
「失礼を承知で言うわ。……本当にそんなことが起きるかしら」
「え?」
あさぎは首を傾げたが、花音が小さく笑っている。さすがですわね、と呟いている。
「本当に花が咲いたのか、誰にも分かりませんわ。伝説上の花ですもの、色も形も分かりませんの。花は持って行ったそうですけれど、それが本物か、誰も判別出来なかったそうですわ」
「嘘だと言われなかったの?」
「もちろん、言われたらしいですわ」
「でも、もしも本物だったとしたら。その可能性が捨てきれない限り、伝説の花の名を持つ子を殺すことは、雪女の家系では憚られることでした。たとえ、双子だったとしても」
「わたくしたちは、お母さまの虚構で、生き永らえたんですの」
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「まあ、妖の間では忌み子よりももっと不吉と言われている『混ざり子』がいますから、それよりましだと思われたのかもしれません」
「混ざり子?」
「”二つの種族が混ざった、子どものこと”」
佐奈が、口を動かして教えてくれた。詳しいことは、凪が説明してくれた。要約すると、妖は別種族同士で結婚し、子どもが生まれた場合、必ずどちらかの種族になる。そうなると、必然的に片方の親とは別の家に入ることになるため、妖はそもそも同族同士での結婚を望むのだという。階級が違えば尚更。我が子と離れることになるのだから、気持ちは分かる。
そして、混ざり子というのは、別種族同士の親の両方の特徴を受け継いだ子のこと。花紋も二つ持っているという。生まれるのは非常に稀で、確認されたのはかなり昔のことらしい。
「両方の特徴があるなら、凄いことじゃないの?」
「血が混ざった汚らわしい存在、って教えられているから、そう思ったことはないわね」
凪以外の皆も、頷いていて、同意であることが伝わってくる。双子と同じく、珍しいだけで忌み嫌うものではないと、あさぎは思ったが、それを気軽に口に出来る雰囲気ではなかった。
「ともかく、雪女の芝居をすることは、家への抗議でもあるんですの。未だに双子を恐れる者たちがいて、家では雪音と一緒に居られませんの。食事も別ですわ」
「ここなら、姉さんと一緒に居られますから。後は本殿が信用ならないというのもあります」
妖のため、周知を進めようとしている黄昏座は、本殿に逆らっていると、言われたことがあったが、雪音はそれを承知で、むしろそのためにここにいるのだ。
「もちろん、わたくし自身、この物語が好きですわ。だから全力で、演じますわ」
「僕もです」
花音と雪音の覚悟を聞き、改めてあさぎは気を引き締めた。この二人の芝居が成功するように、しっかりと出来ることをしようと決意した。
稽古をしていたある日、花音と雪音が遅れてきた。走ってやってきた様子で、二人とも息が切れていて、顔が高揚していた。
「どうしたん? 二人とも」
「お母さまが、最終日に芝居を見にいらっしゃるそうですの!」
花音の声には喜びが溢れ出ていた。雪音も、いつもより足取りが軽やかで、全身から喜びが見える。
「母は病気がちなのと、家からの監視もあってあまり外に出ないのですが。許可が出たそうです。ああ、頑張らなくてはいけませんね」
「もちろんですわ。雪音、稽古を始めますわよ」
「はい」
花音と雪音の稽古は、一層気迫が籠っていた。大事な人が見に来るのだから、何としても成功させてあげたい。あさぎは、舞台袖での着替えの手伝いをすることになっていたから、もっと早く出来るように工夫したり、休憩の時にお菓子やお茶を用意したりと出来る限りのことをしようと心掛けた。一生懸命に芝居をする二人は、本当に楽しそうだった。
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