18 / 40
第四幕 恋雪
恋雪―4
しおりを挟む
*
そして、迎えた本番当日、十一月八日。夕方の本番に向けて、午前中に行なう最終稽古の真っ最中だった。
今回の衣装は全員が和服で、普段は洋装を着ている花音と雪音も和服姿なので、新鮮だ。娘役は淡い水色の着物で帯は白、どこか儚げな装い。若者の着物は、伽羅色に黒い羽織で、見た目の年齢よりも上の装いにしている。
「雪音、少し動きが硬い」
「すみません」
珍しく雪音が緊張している様子だった。他の芝居では、そつなくこなしているように見えていたのだが、今回はやはり特別なようだ。
「雪音、しゃんとするのですわ」
「姉さんこそ、動きが大きすぎます」
「そ、そんなことありませんわ」
雪音の言う通り、花音は気合いが入っている分、稽古の時よりも大きく動いているように思える。黒髪がふわりと広がっているのがその証拠。琥珀のもう一度、という声に応えて、二人は同じ場面をもう一度演じ始めた。娘が若者の手を振りほどいて、立ち去る場面。
『お願いだ。僕には君の冷たいその手が愛おしいんだ』
『嬉しく思います、でも、わたしは……っ』
娘は、若者から顔を背けて、走り去る。そのまま袖に捌けていく。だが、少し大回りになってしまっている。いつもより舞台の端に近い。――危ない。
「花音ちゃんっ!」
「きゃあ!」
あさぎが慌てて声を上げたが、遅かった。舞台から落下してしまった。ドサっと花音の体が床に落ちる音がした。
「姉さん!!」
雪音が顔を真っ青にして、舞台を降りた。一瞬にして、その場に緊張が走った。
「痛っ……」
花音が足首を押さえて、客席の升の中でうずくまっている。寧々が素早く駆け寄って、状態を確かめる。
「痛いところは?」
「足、ですわ」
「……足首を捻っとるみたいやね。骨の異常はなさそうやし、大事には至らんやろうけど、今日は安静にした方がええな」
「でも! 一週間後にはお母さまが」
「もし今、無茶をすれば、それこそ一週間後の芝居に立てんくなる。それでもええの?」
「……っ」
花音が唇を噛みしめて俯いた。床には、雫がぽたりと落ちて染み込んだ。聞こえるかどうかの小さな声で、申し訳ございませんわ、と呟いていた。悔しいのは、花音自身だろうに。
「琥珀」
「座長」
視線が琥珀に集まる。琥珀がどういう判断をするか、その場の全員が息を呑んで待った。
「……花音」
「はい」
「花音のこの芝居にかける想いが理解しているつもりだ。だから、足が回復すれば一週間後の芝居には出す。だが、今日は代役を立てる」
「分かり、ましたわ」
回復さえすれば芝居には出られる安堵と、今日は出られない落胆が混ざり合った、苦しい表情で、花音は頷いた。
「凪はどこにいる?」
「本家の定例会で呼ばれて、今日は来られへんて言うてたよ」
「ああ、そうだったな。どうするか……」
琥珀が顎に手を当てて、悩んでいる。琥珀は、若者の新しい婚約者の役で、女学生の変化をした状態で出ることになっているため、代役は出来ない。
「寧々さんは?」
あさぎは寧々の名前を上げて提案するが、首を横に振られてしまった。
「雪女は年を取るのが人間より遅いって設定を入れとるんよ、この物語では。やから、若者役の雪音くんよりだいぶ年上に見えてしまうあたしじゃ、矛盾が出てしまうんよ」
琥珀は別役がある、寧々も出られない、佐奈は話すことが出来ないから出られない。となると。
「誰も、いない……?」
「中止に、なりますか」
雪音が落胆したように、そう質問した。が、花音が初めて聞くような鋭い声で遮った。
「駄目ですの! 中止は、駄目ですわ。やはり、わたくしが出ま――くっ」
花音が立ち上がり、一歩踏み出したが、足に痛みが走ったようで顔を顰めた。このままでは、花音が無茶をしてしまう。
中止、という選択肢が迫ってきている。誰もそれを望んでいないが、代役がいなければ、中止するしかないのだ。
――いや、代役が出来る者が一人、いる。ここに。
「私が、やる」
手を固く握りしめて、あさぎはそう宣言した。
「あさぎ? 待て、本番は今日なんだ。稽古の時間はあと少ししかない。そもそも、台詞は――」
琥珀は、そこまで言って、はたと止まった。琥珀の言葉を、雪音が引き取って続けた。
「あさぎは、台詞を全て覚えていますよね。舞台袖で手伝いをしてくれていましたけど、一度も台本を見ていませんでした」
「覚えてる。台詞も、動きも」
あさぎは、力強く頷いた。稽古の様子をずっと見てきた。花音の演技はこの目で見てきたのだ。
『お願いだ。僕には君の冷たいその手が愛おしいんだ』
雪音は、さっきまで稽古をしていた、若者の台詞を口にした。続けてみせるよう、目線で促された。
あさぎは、一度目を閉じる。頭の中で、花音の台詞、口調、表情、動きを探し、引っ張り出した。ゆっくりと目を開ける。
『嬉しく思います、でも、わたしは……っ』
あさぎの口からは、娘役の台詞が紡ぎ出された。嬉しさと躊躇いの表情、そして、走り去る動作。花音の演技を、あさぎは完璧に再現してみせた。
一瞬、その場が静まり返った。全員が、あさぎに視線を注いでいた。いや、目が離せなかった。声を奪われたかのように、誰も声を発することが出来ない。
「あ、あの、やっぱり駄目だった?」
沈黙に不安になったあさぎは、演技をパタリと止めて、皆の様子を窺った。
ようやく声を取り戻した琥珀は、皆の中に満場一致であっただろう決定事項を口にした。
「代役は、あさぎでいく。すぐに稽古をする。時間がない、急げ!」
琥珀は、あさぎの演技に正直驚いた。だが、思い返してみれば、初めて会った時に、初めて見たはずの芝居の台詞を一言一句間違えずに言っていた。稽古で何度も見ているからか、先ほどは、台詞はもちろん、花音独特の言い回しや指先までの細かな表現、舞台上を歩く歩数まで完璧に再現していた。
「まさか、ここまで出来るとはな」
客席からの見え方を確認するために、琥珀は客席の後方に座っている。そこから、舞台にいる二人に向かって声を張り上げて指示を出す。
「雪音、あさぎ、最後の場面をやってみてくれ」
「分かった」
若者と娘が、別れる最後の場面。雪の降る中で交わされる言葉。花音の第六感で実際に雪を降らせるのだが、今、花音は念のため病院に行っているため、不在。とりあえず雪なしで稽古をする。ここが一番重要な場面で、ここが上手くいけば、なんとかなる。
『待ってくれ、家の者は僕がどうにか説得する。だから――』
『あなたは、この降る雪に口付けが出来ますか。降る雪を抱きしめることが出来ますか』
『そ、れは……』
『わたしはこの雪のようなもの。冬の間しか、愛おしい人の傍に居られない。叶わない。ならば、身を引きましょう』
『行かないでくれ、僕は君を、愛している』
『わたしも、愛しています。永遠に……』
娘が捌けて、若者が一人佇む中、幕は下りる。
「そこまで。あさぎ、台詞は完璧で、動きも問題ない。本番は花音が雪を降らせるから、そのつもりでな」
「分かった!」
問題はない、と言ったが一つ気になる点があった。花音の台詞や動きを完璧に再現出来ているのだが、そこにあさぎ自身の感情までは乗っていないのだ。花音は、相手を愛おしいと思う気持ちがあって、あの表情や動きをしている。先に動きから入ったがために、あさぎの感情が演技に乗っていない。
「だが、初めての芝居で、本番はもうすぐ。余計なことをいって混乱させるよりは、ましか……」
初めから通しをしようと声を掛けようとして、雪音が身振りで少し待って欲しいと伝えてきた。琥珀は、頷いてそのまま待った。すると、雪音があさぎの耳元に口を寄せて何かを囁いた。ここからでは何を言ったのかは聞こえなかった。
あさぎの顔が一瞬にして、真っ赤になった。耳まで赤くなって、両手で頬を包み込んで、あわあわしている。
「一体、何を言ったんだ」
つい零れた独り言が、自分の思っていた以上に苛立った声をしていて、驚いた。舞台上では、雪音が柔らかな笑顔をあさぎに向けている。あさぎはまだ顔を赤くして、雪音に何かを必死に言っている。距離が近すぎるように思えるが。
「もういいか」
「はい。座長、もう一度、最後の場面をさせてください」
「分かった」
琥珀の了承を得ると、あさぎと雪音はもう一度先ほどの場面を演じ始めた。
「なっ……!」
あさぎの演技が一変していた。台詞や動きは先ほどまでと同じく完璧。だが、それ以上にその芝居が生き生きとしているのだ。この娘は、目の前の若者に、恋をしている。相手のことが愛おしくて仕方がないという感情が、客席の後ろまで届いてきた。
芝居として、素晴らしいものになった。それは確かなのに、なぜか素直に喜べなかった。あの声で、あの表情で、別の者に愛していると告げるあさぎを見て、心中穏やかではいられなかった。
「くそっ、何を苛ついているんだ、俺は」
そして、迎えた本番当日、十一月八日。夕方の本番に向けて、午前中に行なう最終稽古の真っ最中だった。
今回の衣装は全員が和服で、普段は洋装を着ている花音と雪音も和服姿なので、新鮮だ。娘役は淡い水色の着物で帯は白、どこか儚げな装い。若者の着物は、伽羅色に黒い羽織で、見た目の年齢よりも上の装いにしている。
「雪音、少し動きが硬い」
「すみません」
珍しく雪音が緊張している様子だった。他の芝居では、そつなくこなしているように見えていたのだが、今回はやはり特別なようだ。
「雪音、しゃんとするのですわ」
「姉さんこそ、動きが大きすぎます」
「そ、そんなことありませんわ」
雪音の言う通り、花音は気合いが入っている分、稽古の時よりも大きく動いているように思える。黒髪がふわりと広がっているのがその証拠。琥珀のもう一度、という声に応えて、二人は同じ場面をもう一度演じ始めた。娘が若者の手を振りほどいて、立ち去る場面。
『お願いだ。僕には君の冷たいその手が愛おしいんだ』
『嬉しく思います、でも、わたしは……っ』
娘は、若者から顔を背けて、走り去る。そのまま袖に捌けていく。だが、少し大回りになってしまっている。いつもより舞台の端に近い。――危ない。
「花音ちゃんっ!」
「きゃあ!」
あさぎが慌てて声を上げたが、遅かった。舞台から落下してしまった。ドサっと花音の体が床に落ちる音がした。
「姉さん!!」
雪音が顔を真っ青にして、舞台を降りた。一瞬にして、その場に緊張が走った。
「痛っ……」
花音が足首を押さえて、客席の升の中でうずくまっている。寧々が素早く駆け寄って、状態を確かめる。
「痛いところは?」
「足、ですわ」
「……足首を捻っとるみたいやね。骨の異常はなさそうやし、大事には至らんやろうけど、今日は安静にした方がええな」
「でも! 一週間後にはお母さまが」
「もし今、無茶をすれば、それこそ一週間後の芝居に立てんくなる。それでもええの?」
「……っ」
花音が唇を噛みしめて俯いた。床には、雫がぽたりと落ちて染み込んだ。聞こえるかどうかの小さな声で、申し訳ございませんわ、と呟いていた。悔しいのは、花音自身だろうに。
「琥珀」
「座長」
視線が琥珀に集まる。琥珀がどういう判断をするか、その場の全員が息を呑んで待った。
「……花音」
「はい」
「花音のこの芝居にかける想いが理解しているつもりだ。だから、足が回復すれば一週間後の芝居には出す。だが、今日は代役を立てる」
「分かり、ましたわ」
回復さえすれば芝居には出られる安堵と、今日は出られない落胆が混ざり合った、苦しい表情で、花音は頷いた。
「凪はどこにいる?」
「本家の定例会で呼ばれて、今日は来られへんて言うてたよ」
「ああ、そうだったな。どうするか……」
琥珀が顎に手を当てて、悩んでいる。琥珀は、若者の新しい婚約者の役で、女学生の変化をした状態で出ることになっているため、代役は出来ない。
「寧々さんは?」
あさぎは寧々の名前を上げて提案するが、首を横に振られてしまった。
「雪女は年を取るのが人間より遅いって設定を入れとるんよ、この物語では。やから、若者役の雪音くんよりだいぶ年上に見えてしまうあたしじゃ、矛盾が出てしまうんよ」
琥珀は別役がある、寧々も出られない、佐奈は話すことが出来ないから出られない。となると。
「誰も、いない……?」
「中止に、なりますか」
雪音が落胆したように、そう質問した。が、花音が初めて聞くような鋭い声で遮った。
「駄目ですの! 中止は、駄目ですわ。やはり、わたくしが出ま――くっ」
花音が立ち上がり、一歩踏み出したが、足に痛みが走ったようで顔を顰めた。このままでは、花音が無茶をしてしまう。
中止、という選択肢が迫ってきている。誰もそれを望んでいないが、代役がいなければ、中止するしかないのだ。
――いや、代役が出来る者が一人、いる。ここに。
「私が、やる」
手を固く握りしめて、あさぎはそう宣言した。
「あさぎ? 待て、本番は今日なんだ。稽古の時間はあと少ししかない。そもそも、台詞は――」
琥珀は、そこまで言って、はたと止まった。琥珀の言葉を、雪音が引き取って続けた。
「あさぎは、台詞を全て覚えていますよね。舞台袖で手伝いをしてくれていましたけど、一度も台本を見ていませんでした」
「覚えてる。台詞も、動きも」
あさぎは、力強く頷いた。稽古の様子をずっと見てきた。花音の演技はこの目で見てきたのだ。
『お願いだ。僕には君の冷たいその手が愛おしいんだ』
雪音は、さっきまで稽古をしていた、若者の台詞を口にした。続けてみせるよう、目線で促された。
あさぎは、一度目を閉じる。頭の中で、花音の台詞、口調、表情、動きを探し、引っ張り出した。ゆっくりと目を開ける。
『嬉しく思います、でも、わたしは……っ』
あさぎの口からは、娘役の台詞が紡ぎ出された。嬉しさと躊躇いの表情、そして、走り去る動作。花音の演技を、あさぎは完璧に再現してみせた。
一瞬、その場が静まり返った。全員が、あさぎに視線を注いでいた。いや、目が離せなかった。声を奪われたかのように、誰も声を発することが出来ない。
「あ、あの、やっぱり駄目だった?」
沈黙に不安になったあさぎは、演技をパタリと止めて、皆の様子を窺った。
ようやく声を取り戻した琥珀は、皆の中に満場一致であっただろう決定事項を口にした。
「代役は、あさぎでいく。すぐに稽古をする。時間がない、急げ!」
琥珀は、あさぎの演技に正直驚いた。だが、思い返してみれば、初めて会った時に、初めて見たはずの芝居の台詞を一言一句間違えずに言っていた。稽古で何度も見ているからか、先ほどは、台詞はもちろん、花音独特の言い回しや指先までの細かな表現、舞台上を歩く歩数まで完璧に再現していた。
「まさか、ここまで出来るとはな」
客席からの見え方を確認するために、琥珀は客席の後方に座っている。そこから、舞台にいる二人に向かって声を張り上げて指示を出す。
「雪音、あさぎ、最後の場面をやってみてくれ」
「分かった」
若者と娘が、別れる最後の場面。雪の降る中で交わされる言葉。花音の第六感で実際に雪を降らせるのだが、今、花音は念のため病院に行っているため、不在。とりあえず雪なしで稽古をする。ここが一番重要な場面で、ここが上手くいけば、なんとかなる。
『待ってくれ、家の者は僕がどうにか説得する。だから――』
『あなたは、この降る雪に口付けが出来ますか。降る雪を抱きしめることが出来ますか』
『そ、れは……』
『わたしはこの雪のようなもの。冬の間しか、愛おしい人の傍に居られない。叶わない。ならば、身を引きましょう』
『行かないでくれ、僕は君を、愛している』
『わたしも、愛しています。永遠に……』
娘が捌けて、若者が一人佇む中、幕は下りる。
「そこまで。あさぎ、台詞は完璧で、動きも問題ない。本番は花音が雪を降らせるから、そのつもりでな」
「分かった!」
問題はない、と言ったが一つ気になる点があった。花音の台詞や動きを完璧に再現出来ているのだが、そこにあさぎ自身の感情までは乗っていないのだ。花音は、相手を愛おしいと思う気持ちがあって、あの表情や動きをしている。先に動きから入ったがために、あさぎの感情が演技に乗っていない。
「だが、初めての芝居で、本番はもうすぐ。余計なことをいって混乱させるよりは、ましか……」
初めから通しをしようと声を掛けようとして、雪音が身振りで少し待って欲しいと伝えてきた。琥珀は、頷いてそのまま待った。すると、雪音があさぎの耳元に口を寄せて何かを囁いた。ここからでは何を言ったのかは聞こえなかった。
あさぎの顔が一瞬にして、真っ赤になった。耳まで赤くなって、両手で頬を包み込んで、あわあわしている。
「一体、何を言ったんだ」
つい零れた独り言が、自分の思っていた以上に苛立った声をしていて、驚いた。舞台上では、雪音が柔らかな笑顔をあさぎに向けている。あさぎはまだ顔を赤くして、雪音に何かを必死に言っている。距離が近すぎるように思えるが。
「もういいか」
「はい。座長、もう一度、最後の場面をさせてください」
「分かった」
琥珀の了承を得ると、あさぎと雪音はもう一度先ほどの場面を演じ始めた。
「なっ……!」
あさぎの演技が一変していた。台詞や動きは先ほどまでと同じく完璧。だが、それ以上にその芝居が生き生きとしているのだ。この娘は、目の前の若者に、恋をしている。相手のことが愛おしくて仕方がないという感情が、客席の後ろまで届いてきた。
芝居として、素晴らしいものになった。それは確かなのに、なぜか素直に喜べなかった。あの声で、あの表情で、別の者に愛していると告げるあさぎを見て、心中穏やかではいられなかった。
「くそっ、何を苛ついているんだ、俺は」
0
あなたにおすすめの小説
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる