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噛み合わない昼下がり
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王都の貴族間で密やかに噂が広まっている。
病弱で公式の場にあまり顔を出さない王太子が、最近顔色もよくすっかり元気になられたのは伝説が関係しているのではないかと。
万病に効く奇跡の血を飲んだためではないかと囁かれている。
最も伝説は信憑性など全くないのだが、生命の危機まで危ぶまれていた王太子がほんの1ヶ月の間にみるみる元気になっていく様を、皆奇跡のように感じていた。
あながち伝説は嘘ではないのかもしれないと、密やかに噂されていた。
「ちょっと!サラ様。
いい加減になさいませ!」
「いいじゃありませんか、アリア様。
私と一緒にお茶してください!」
今日も今日とてサラ様は王宮に出没する。
伯爵家のご令嬢がそんなに簡単に出没できるはずはないのだが、城の警備はいったいどうなってんだ?
サラ様にお会いしたいセフィル様の配慮で、顔パスにでもなってるのかしら?
というかサラ様、何故私を追いかけ回してるの!?
「貴女はセフィル様とお茶を飲めばよろしいのですわ!」
「私は大好きなアリア様とご一緒したいのです!」
一体どうしてこうなった………。
彼女もセフィル様が好きではなかったのか?
Qセフィル様の婚約者で貴女を虐めている私を、何故追いかけ回してるんだ!?
A「事あるごとに世話を焼いていたからです。」
あらぬ方向から答えが返ってきた。
私付きの侍女のミアだ。
そんな馬鹿な、世話など焼いていない。
「……無自覚ですか。」
俺がセフィル様の執務室に訪れると、彼にしては珍しくボンヤリ外の景色を眺めていた。
ノックも気づかないなんて、本当に珍しい。
「セフィル様、何を見てらっしゃるのですか?」
「あぁ、フランツか……。」
窓を隔てて見下ろす階下には、サラ伯爵令嬢とアリアが追いかけっこをしているように見受けられた。
サラ嬢の動向が気になるのか?
父の伯爵の思惑は分からないが、少なくとも彼女自身にはセフィル様を籠絡しようとする意志は感じられない。
伯爵も野心家ではなかったはずだ。
だがアリアと婚約したタイミングで、何故急に接近してきたかが非常に気になる。
セフィル様も何か勘ぐっているのかもしれない。
「なあフランツ、アリアは俺に不満があるのではないか?」
「は?」
いきなりこの方は何を言っているんだ?
セフィル様オタク?マニア?愛好家?寧ろ熱狂的な信奉者と言ってもいい、あのアリアを捕まえて不満ですか?
一体何を見てそんなことを?
「セフィル様、眼の検査をお勧めします。」
「は?」
あのアリアに不満などあろうはずがない。
ハッ!
まさかアリアのヤツ、思い余って遂に押し倒したりしたのか!?
不満があるとしたら、セフィル様がアリアに手を出さないことだ。
「妹がとんだ粗相を……。」
「は!??」
なんだ、違うのか?
「お、おい、さっきから何の話をしている?」
「セフィル様こそ意味が分かりません。」
どうにも噛み合わない男達の午後だった。
病弱で公式の場にあまり顔を出さない王太子が、最近顔色もよくすっかり元気になられたのは伝説が関係しているのではないかと。
万病に効く奇跡の血を飲んだためではないかと囁かれている。
最も伝説は信憑性など全くないのだが、生命の危機まで危ぶまれていた王太子がほんの1ヶ月の間にみるみる元気になっていく様を、皆奇跡のように感じていた。
あながち伝説は嘘ではないのかもしれないと、密やかに噂されていた。
「ちょっと!サラ様。
いい加減になさいませ!」
「いいじゃありませんか、アリア様。
私と一緒にお茶してください!」
今日も今日とてサラ様は王宮に出没する。
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サラ様にお会いしたいセフィル様の配慮で、顔パスにでもなってるのかしら?
というかサラ様、何故私を追いかけ回してるの!?
「貴女はセフィル様とお茶を飲めばよろしいのですわ!」
「私は大好きなアリア様とご一緒したいのです!」
一体どうしてこうなった………。
彼女もセフィル様が好きではなかったのか?
Qセフィル様の婚約者で貴女を虐めている私を、何故追いかけ回してるんだ!?
A「事あるごとに世話を焼いていたからです。」
あらぬ方向から答えが返ってきた。
私付きの侍女のミアだ。
そんな馬鹿な、世話など焼いていない。
「……無自覚ですか。」
俺がセフィル様の執務室に訪れると、彼にしては珍しくボンヤリ外の景色を眺めていた。
ノックも気づかないなんて、本当に珍しい。
「セフィル様、何を見てらっしゃるのですか?」
「あぁ、フランツか……。」
窓を隔てて見下ろす階下には、サラ伯爵令嬢とアリアが追いかけっこをしているように見受けられた。
サラ嬢の動向が気になるのか?
父の伯爵の思惑は分からないが、少なくとも彼女自身にはセフィル様を籠絡しようとする意志は感じられない。
伯爵も野心家ではなかったはずだ。
だがアリアと婚約したタイミングで、何故急に接近してきたかが非常に気になる。
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「なあフランツ、アリアは俺に不満があるのではないか?」
「は?」
いきなりこの方は何を言っているんだ?
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