一途な令嬢は悪役になり王子の幸福を望む

紫月

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ナンパ男撃退法

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私の日課は城に登城して花嫁修業をすることだ。
一言で花嫁修業といっても色々学ばなければならないことがある。
社交術や茶会の取り仕切り方は勿論、貴族間の情勢、地域ごとの産業、税金の運用などまつりごとの知識を叩き込まれるので、いくら時間があってもまるで足りないのだ。
執務は臣下の貴族の仕事なのだが、まつりごとの何たるかをを把握しておくのは王族としての義務だ。
最終的に物事を決断するのは王族だからだ。
知識が乏しく、周囲の言いなりになってしまっては只の愚王である。
王を支える王妃とて例外ではない。
元々家で家庭教師を付け勉強はしていたのだが、それでも全然足りないほど王妃とは難しい職業なのだ。
セフィル様のお嫁さん♡キャッ♡とか言って喜んでる場合ではない。
セフィル様とは婚約破棄する予定なので王妃にはなれないが、頑張っている姿勢は見せておかないと不審がられるかもしれない。
勉強を頑張り続けるのは、決してあの方の花嫁の座に未練があるからではない。
ホントダヨったらホントダヨ。
………我ながら女々しいかしら……。



「やぁアリア嬢、今日も美しいね。」
「あら、アイザック様ご機嫌よう。」 
今日も今日とて花嫁修業のために登城しているのだが、あまり会いたくない人物に会ってしまった。
彼は公爵家のご嫡男のアイザック様だ。
我が公爵家と違い、前王の弟君が降格し公爵位を賜った王家の血筋の方だ。
この方は何かにつけて私に言い寄ってくるので、正直苦手なのだ。
当然私が好きだからではない。
私がこの国の王妃になる予定の者だからだ。
もし王太子のセフィル様に何かあれば、王位継承権第2位の彼が未来の王となる。
実際は王と王妃の好意で王妃の椅子が用意されたのだが、世間から見たら政略結婚なので、私がどう転ぼうと王妃になると考えているのである。
つまり私をゲット出来れば王位も手に入るんじゃね?とか考えてる甘ちゃんなのである。
残念でした。
セフィル様に何かある未来など私が絶対に許さない。
そして婚約破棄をする予定なので、私は王妃にはならない。
「アリア嬢、今日こそ私とお茶を飲んでくださいますよね?」
(意味・俺様が誘ってやってんだから、いい加減茶くらいしばかれろや)
「アイザック様、わたくし王宮には花嫁修業で参ってますの。
ご自身も政務の途中ではなくて?」
(意味・女の尻ばかり追いかけてないで、働け働けー。)
「政務は一通り方がつきましたよ。
あぁそうだ、東方から珍しい菓子を取り寄せたのです。
是非召し上がってほしい。」
(意味・美味いもん食べさせたるから、着いてこいっちゅーねん。)
「わたくし、花嫁修業の途中ですの。
ご遠慮申し上げますわ。」
(意味・だが断る!)
「つれない方だ。」
(意味・このドケチ!)
意訳に悪意を感じる?
悪意しかありませんよ?
狐と狸の化かしあいも決着が着いたし、さっさと退散しますか。
「ではアイザック様、ご機嫌よう。」
優雅に微笑み、淑女の礼をとった。

その光景を遠目で眺めてる視線があった。
セフィルである。
「アリアはアイザックが好きなのか?」
会話の内容は分からないが、フワリと微笑んだアリアに胸が痛んだ。
彼女は自分の前では決して微笑まない。
いつも何かに耐えるような目をしている。
アイザックを好いているなら婚約を破棄したほうがアリアは喜ぶのかもしれないが、どうしても手放せない自分がいる。
この気持ちを何というのか?

セフィルはまた一つため息を零したのだった。
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