8 / 14
ナンパ男撃退法
しおりを挟む私の日課は城に登城して花嫁修業をすることだ。
一言で花嫁修業といっても色々学ばなければならないことがある。
社交術や茶会の取り仕切り方は勿論、貴族間の情勢、地域ごとの産業、税金の運用など政の知識を叩き込まれるので、いくら時間があってもまるで足りないのだ。
執務は臣下の貴族の仕事なのだが、政の何たるかをを把握しておくのは王族としての義務だ。
最終的に物事を決断するのは王族だからだ。
知識が乏しく、周囲の言いなりになってしまっては只の愚王である。
王を支える王妃とて例外ではない。
元々家で家庭教師を付け勉強はしていたのだが、それでも全然足りないほど王妃とは難しい職業なのだ。
セフィル様のお嫁さん♡キャッ♡とか言って喜んでる場合ではない。
セフィル様とは婚約破棄する予定なので王妃にはなれないが、頑張っている姿勢は見せておかないと不審がられるかもしれない。
勉強を頑張り続けるのは、決してあの方の花嫁の座に未練があるからではない。
ホントダヨったらホントダヨ。
………我ながら女々しいかしら……。
「やぁアリア嬢、今日も美しいね。」
「あら、アイザック様ご機嫌よう。」
今日も今日とて花嫁修業のために登城しているのだが、あまり会いたくない人物に会ってしまった。
彼は公爵家のご嫡男のアイザック様だ。
我が公爵家と違い、前王の弟君が降格し公爵位を賜った王家の血筋の方だ。
この方は何かにつけて私に言い寄ってくるので、正直苦手なのだ。
当然私が好きだからではない。
私がこの国の王妃になる予定の者だからだ。
もし王太子のセフィル様に何かあれば、王位継承権第2位の彼が未来の王となる。
実際は王と王妃の好意で王妃の椅子が用意されたのだが、世間から見たら政略結婚なので、私がどう転ぼうと王妃になると考えているのである。
つまり私をゲット出来れば王位も手に入るんじゃね?とか考えてる甘ちゃんなのである。
残念でした。
セフィル様に何かある未来など私が絶対に許さない。
そして婚約破棄をする予定なので、私は王妃にはならない。
「アリア嬢、今日こそ私とお茶を飲んでくださいますよね?」
(意味・俺様が誘ってやってんだから、いい加減茶くらいしばかれろや)
「アイザック様、わたくし王宮には花嫁修業で参ってますの。
ご自身も政務の途中ではなくて?」
(意味・女の尻ばかり追いかけてないで、働け働けー。)
「政務は一通り方がつきましたよ。
あぁそうだ、東方から珍しい菓子を取り寄せたのです。
是非召し上がってほしい。」
(意味・美味いもん食べさせたるから、着いてこいっちゅーねん。)
「わたくし、花嫁修業の途中ですの。
ご遠慮申し上げますわ。」
(意味・だが断る!)
「つれない方だ。」
(意味・このドケチ!)
意訳に悪意を感じる?
悪意しかありませんよ?
狐と狸の化かしあいも決着が着いたし、さっさと退散しますか。
「ではアイザック様、ご機嫌よう。」
優雅に微笑み、淑女の礼をとった。
その光景を遠目で眺めてる視線があった。
セフィルである。
「アリアはアイザックが好きなのか?」
会話の内容は分からないが、フワリと微笑んだアリアに胸が痛んだ。
彼女は自分の前では決して微笑まない。
いつも何かに耐えるような目をしている。
アイザックを好いているなら婚約を破棄したほうがアリアは喜ぶのかもしれないが、どうしても手放せない自分がいる。
この気持ちを何というのか?
セフィルはまた一つため息を零したのだった。
10
あなたにおすすめの小説
第一王子は私(醜女姫)と婚姻解消したいらしい
麻竹
恋愛
第一王子は病に倒れた父王の命令で、隣国の第一王女と結婚させられることになっていた。
しかし第一王子には、幼馴染で将来を誓い合った恋人である侯爵令嬢がいた。
しかし父親である国王は、王子に「侯爵令嬢と、どうしても結婚したければ側妃にしろ」と突っぱねられてしまう。
第一王子は渋々この婚姻を承諾するのだが……しかし隣国から来た王女は、そんな王子の決断を後悔させるほどの人物だった。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
醜くなった私をあっさり捨てた王太子と彼と婚約するために一番美しくなろうとした双子の妹と頼りない両親に復讐します
珠宮さくら
恋愛
アデライン・マルティネスは、エイベル国でも、他の国でも美しい令嬢として有名になっていた。その噂には色々と尾ひれがついていたが、美しさを利用して、子息を誘惑しては婚約を台無しにするとある一定の人たちに思われていた。
でも、実際の彼女はそんな令嬢ではなかった。そのことを一番理解してくれていて、想いあっていると思っていた相手が、実は一番酷かったことを思い知ることになった。
それを知ることになったきっかけは、妹によって美しい顔を台無しにされたことから始まるとは思いもしなかった。
月の光はやがて仄かに輝く
白ノ猫
恋愛
私より妹が愛されたこの世界で、唯一私を見てくれた人がいた。婚約者であるその人は私を「愛している」と、そう言ってくれたが、ある日突然事故に遭い、記憶に異常が出た。
人間関係について混乱してしまった彼に、妹を可愛がる両親は嘘を伝える。妹が貴方の婚約者なのだと。
なら、もう、いい。妹が愛されたこの世界で、私ばかり見ていた彼が変だったのだ。それならば私はこの現実を受け入れよう。
そうすることで家族がシアワセでいてくれるなら。
※小説家になろう様でも掲載しております。改稿している部分がございます。内容に変更はありません
※全八話で本編完結致します。その後四話番外編更新
〘完結〛ずっと引きこもってた悪役令嬢が出てきた
桜井ことり
恋愛
そもそものはじまりは、
婚約破棄から逃げてきた悪役令嬢が
部屋に閉じこもってしまう話からです。
自分と向き合った悪役令嬢は聖女(優しさの理想)として生まれ変わります。
※爽快恋愛コメディで、本来ならそうはならない描写もあります。
婚約破棄を宣告した王子は慌てる?~公爵令嬢マリアの思惑~
岡暁舟
恋愛
第一王子ポワソンから不意に婚約破棄を宣告されることになった公爵令嬢のマリア。でも、彼女はなにも心配していなかった。ポワソンの本当の狙いはマリアの属するランドン家を破滅させることだった。
王家に成り代わって社会を牛耳っているランドン家を潰す……でも、マリアはただでは転ばなかった。
私は婚約破棄をされ好い人と巡り会いました。
SHIN
恋愛
忙しい年末年始に現れたのはめったに顔を遭わせない男でした。
来た内容はえっ、婚約破棄ですか?
別に良いですよ。貴方のことは好きではありませんでしたし。
では手続きをしましょう。
あら、お父様。私が欲しいと言う殿方が居ますの?欲しがられるなんて良いですわね。
この話は婚約破棄を快く受け入れた王女が隣国の男に愛される話。
隣国の方はなんと『悪役令嬢をもらい受けます』のあの方と関わりがある人物だったりじゃなかったりの方です。
彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~
プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。
※完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる