やがて神Sランクとなる無能召喚士の黙示録~追放された僕は唯一無二の最強スキルを覚醒。つきましては、反撃ついでに世界も救えたらいいなと~

きょろ

文字の大きさ
19 / 75

第19召喚 僕はとても後悔しました

しおりを挟む
 最早自分では到底計り知れないスケールの話に、リリアもどう対応した良いかと頭を抱え出した。しかし、そんな事を考えたところで自分には関係ない。そう思ったリリアは今までと何ら変わりなく、ひたすら獲物に狙いを定める狡猾な猛獣の如き視線でアーサーを見る。そしてアーサーはこのタイミングで、ハンターランクの昇格テストを受けたいとリリアに告げたのだった。

「あら、やっと受ける気になったのね。分かったわ。じゃあ昇格テストの申請を出しておくわね」
「ありがとうございます」
「今のアーサー君なら力を持て余すわね。その上の炎Cランクも受ける? とは言っても人Dランクに合格してフロア20~49を攻略してからになっちゃうけど」

 炎Cランク――。
 正直今のアーサーならば昇格テストを受けても余裕で受かるレベル。だが現状、アーサーが最も優先しようとしているのは他ならぬバットへの反撃。下準備が整ったアーサーは今すぐにでも『黒の終焉』に乗り込んでやろうと思っていたが、ふと冷静になった彼はある事を思いつく。

(そうか。折角ここまで強くなったんだから、どうせならハンターランクもバットと同じにして目にもの見せてやる。散々見下していた僕と同列になった挙句、力でもぶっ飛ばされたら相当なダメージになるだろう。よし、決めた!)

 1人大きく頷いたアーサーは再びリリアに伝える。

「リリアさん。そうしたら先ずはやっぱり人Dランクの昇格テストを受けます。それで1週間に以内に全フロア攻略して、そのまま炎Cランクの昇格テストを受ける事にします!」

 バットとの因縁にケリを着けるのは1週間後。
 全てが完璧に整った状態で、今度こそ全てを終わらせる。
 アーサーはそう決心したのだった。

「了解。明日にでも昇格テストを受けられると思うから頑張ってね。受かったらお姉さんが思いっ切り抱き締めてあ・げ・る」

 単純な手法だと分かっていながらも、やはり凄まじい破壊力の色気と妖艶なバイオレンスさで攻撃されたアーサーは危うく昇天しかけた。だが紙一重で正気を保ったアーサーはブンブンと頭を振って雑念を取っ払うと、突然何かを思い出す。

「あ! 忘れるところだった」
「どうしたの?」

 そう言ったアーサーは何やら鞄から小包を取り出すと、それをリリアへと渡した。

「ん? なにかしら」
「いや、なんて言うか……。僕がハンターになった頃からずっとリリアさんにはお世話になっていたし、お祝いも貰ってこのスキルの事についても相談に乗ってもらっていたので、大した物ではないですけど僕からの感謝の気持ちです!」

 そう。リリアに渡した物はアーサーからのささやかな御礼の気持ち。
 女性に贈り物などした事がないアーサーはここ数日ずっと悩み、結果普段から使える日用品と、リリアが以前から好きだと言っていた甘い食べ物を選んだ。

 何でも高価な物であれば良いとは限らないが、それでもアーサーはここ1カ月フロア周回で手に入れた魔鉱石と召喚したアーティファクトを換金し続け、当初の想定を遥かに上回る2,000,000Gという大金を稼ぎ出していた。

 だからこそ誰よりも1番お世話になっているリリアに対し、今まででのアーサーであれば絶対に買えなかった少し贅沢な値段の物をリリアに贈った。少しでも恩返しが出来ればと。

(やだ……。これってもうアーサー君も私を“そういう対象”として見てるって事よね? もう我慢できないかも――)

 危険な妄想を広げるリリアを他所に、無事感謝の気持ちを渡したアーサーは彼女に手を振ってダンジョンを後にするのだった。

**

 しかし。

 アーサーは後に強く自身を恨む事となる。今日のこの決断が間違っていたと――。

 アーサーが虎視眈々と“奴”を狙う裏で、“奴”もまたアーサーの知らないところで不穏な動きを見せていた。

 何故あの時動かなかったのだろう……。
 何故こんな事になってしまったのだろう……。






 何故“エレイン”がこんな目に遭ってしまったのだろう。










 「もうアイツはマジで許さない。僕を本気で怒らせたな……“バット”――!」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...