追放された元・最強魔導士、辺境でスローライフを始めたらなぜか国ができました

黒川ねこ

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1章

第34話:覚悟の光と、試される絆

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 リリアは朝陽の差す小道を、一人で歩いていた。
 その背筋はまっすぐで、どこか凛としていた。

 封書の言葉――「お前の価値はお前のものではない」
 その挑発に、彼女はただ一つの答えを出した。

 「私は、私の意志でここにいる」



 その日の村の集会で、リリアは自ら皆の前に立った。

「……私は帝国にとって“研究対象”です。
 今も、観察という名の干渉が続いています。
 ですが、私は逃げません。この村の一員として、共に暮らし、共に守ります」

 その言葉に、一瞬の沈黙。だがすぐに、セラが大きく手を上げて言った。

「当たり前でしょ。逃がさないよ。あんたがいないと、村が淋しくなるから!」

 笑い声が漏れる。
 その輪が、少しずつ、だが確かに村中に広がっていく。



 ユリウスはそれを遠くから見ていた。
 その隣で、カレンがぼそりとつぶやく。

「強い子ね。
 私だったら、あの状況でそんな風に言えなかったと思う」

「だからこそ、守る価値がある」

「……それ、昔私に言ってくれた言葉と、よく似てる」

 ユリウスは何も言わなかった。
 けれど、それだけでカレンには十分だった。



 そして夜。
 リリアが自室に戻ると、またしても机の上に置かれた“何か”があった。

 今度は、封書ではなかった。

 一冊の小さな書物。
 開くと、中は空白。だが、表紙にはこう書かれていた。

《あなた自身の“記録”を綴るために》



 ヴィエラ=クロイスはその頃、自らの宿で魔導記録を整理していた。

「……この子、面白い。
 “測定”にすら抗う精神。観測不能という名の魅力。
 なら、次は――“共鳴”を起こしてみましょうか」

 彼女の掌に浮かぶ、薄い金属の術式片。

 それは、かつて精霊の巫女たちに施された、“同調因子誘導装置”。

「あなたの中に眠る本当の“力”を、少しだけ――目覚めさせてあげる」
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