追放された元・最強魔導士、辺境でスローライフを始めたらなぜか国ができました

黒川ねこ

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1章

第35話:共鳴の誘いと、目覚める記憶

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 夜更け、リリアは眠りの中で夢を見ていた。

 冷たい水の底。
 風がささやき、火が揺れ、土が脈動する。
 そしてその中心で、彼女自身が“誰か”に問いかけられていた。

『あなたは、誰のために在るの?』

 現実。
 リリアの枕元に置かれていた“白紙の書物”が、淡く青白い光を放っていた。
 術式が展開され、無音のまま周囲に魔力の揺らぎが広がっていく。

 それはまるで、心の中に直接語りかけてくるような――“誘導”。

 一方、広場で夜警をしていたセラがその違和感に気づく。

「……なに、この……気持ち悪い空気……!」

 すぐさま魔力探知を展開し、リリアの部屋の方向に集中する異常を察知。

「リリアのとこ……!」

 飛び出そうとした瞬間、既に動いていた影がひとつ。
 ユリウスだった。

 リリアの部屋。
 彼女の身体は浮かび、術式に包まれていた。

 その紋章は、古代の巫女にしか宿らない【封印型精霊因子・同調展開式】。
 目には見えぬ“記憶”の中へ、彼女の意識は引き込まれていた。

 夢の奥、リリアの意識の中。

 風が渦巻く異空間で、一人の女性の影が現れる。

 その姿はリリアと酷似していたが、目の色だけが違う――金色の瞳。

「……ようやくここまで来たのね、私」

「あなたは……誰?」

「私は、あなたの過去であり、未来。
 “門の巫女”としての記憶。そして……“扉を開く者”」

 現実。
「術式、外部からの干渉ではない……リリアの中にある因子が共鳴している!」

 ユリウスが結界を展開し、リリアの魔力暴走を抑制するために陣を敷く。

「これは……精霊の契約者たちがかつて封じた“継承記憶”……!」

 カレンが目を見開く。

「つまり……リリアはただの適性者じゃない。
 ――本物の、巫女の血族だってこと……!?」

 その瞬間。
 リリアの身体が光に包まれ、彼女は静かに目を開いた。

 その瞳には、普段の柔らかさに加えて――どこか別の誰かの意志が宿っていた。

「……私は、大丈夫です。けれど……覚えてしまいました。
 この“門”が何のために存在していたのか」
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