追放された元・最強魔導士、辺境でスローライフを始めたらなぜか国ができました

黒川ねこ

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1章

第45話:封じられた力と、目覚めの予兆

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 フェンリース村では、守護者となったリリアを中心に新たな調和が生まれ始めていた。
 人と精霊が手を取り合い、耕作地の拡張、生活圏の整備、防衛陣の再構築――
 精霊たちの加護を受けた村は、かつてないほど安定していた。

「リリア様、この水路、本当に一晩でできてしまうんですね……!」

「精霊に“お願い”するのではなく、“共に動く”という発想が大切なんです」
 リリアは優しく微笑む。

 その姿はもう、かつての「気弱な書庫係」ではなかった。
 村人たちの目にも、精霊たちの目にも――“導く者”として映っていた。
 そんな中、ユリウスは風の便で届いた一報に眉をひそめていた。

「……帝国北東領、ダルシェ砦で不穏な動き。
 “門に近しい地層”が発光し始めている、か」

「それって……リリアの“共鳴”が伝わってるってこと?」
 セラの問いに、ユリウスは頷く。

「門は一箇所ではない。
 世界にいくつか存在し、その“核”に反応している可能性がある。
 問題は――そのうちのひとつが、“暴走寸前”であることだ」

 一方その頃、エルフィアは廃寺のような遺跡に足を踏み入れていた。
 その場所は、彼女の記憶には存在しない。
 けれど、足が自然と向かっていた。
 階段を降りた先、封印術式で閉ざされた扉の前に立つ。
 そして、背後にふと現れた――あのフードの男が口を開いた。

「やはり来たか。“記憶にないのに知っている道”……それが、鍵だ」
「これは……私の中の、何?」
「“巫女”ではなく、“器”としての、お前だ」

 扉が微かに震える。
 エルフィアの胸元にある封印の紋が、淡く、しかし確実に輝き始めていた。

 声が響く。
『……還れ……我が半身よ……』

 その声は、エルフィアにしか聞こえなかった。

 そして、彼女の中で“何か”が――ずっと眠っていた何かが、ゆっくりと、目覚めを始めていた。

「……私は、誰……? 私の中にいる、“私じゃないもの”は――」

 影が揺らぐ。
 もうひとつの真実が、扉の向こうで待っていた。
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