追放された元・最強魔導士、辺境でスローライフを始めたらなぜか国ができました

黒川ねこ

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1章

第63話:「アルティナの次なる標的と、無神域の真実」

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エラグリスの戦いから三日後。
リリアたちは本拠地へ戻り、急ぎ情報収集と次の展開への備えを進めていた。

「アルティナの投影体が消えた直後、南西領の魔力観測所で強烈な“空白域”反応が記録された」

ユリウスが地図の上に印をつける。

「それが……“無神域”」

「神の手が届かず、精霊も交信を拒む“空の地”。存在は古文書でしか知られてなかったはずじゃ……」

エルフィアが驚きを隠さずに言う。

「そう。記録では“失われた文明の終焉地”とも呼ばれてる。自然法則がねじれ、精霊との繋がりが途絶える場所。けれど――」

「アルティナは、そこに術式を構築しようとしている」

リリアが静かに口を開く。

「ならばそこには、彼女が求める“完全な再構成”の理があるってこと……」

「まさか、アルティナは無神域に眠る“原初術式”を……」

ユリウスが目を見開く。

「古代文明が滅びる直前に到達したとされる、世界の“最初の定義”――精霊も神も存在しない世界を再現するための、禁術」

「それを使えば、“この世界そのもののルール”を組み替えられる可能性がある」

「……でも、それを発動させたら……精霊界そのものが崩壊するかもしれない」

リリアは拳を握った。

「絶対に、止めなきゃいけない。彼女が“正しいことをしようとしてる”のは分かる。でも、それが世界の命を奪うなら、私は――」

エルフィアがそっと言葉を添える。

「私たちは、彼女を救うために戦う。“倒す”ためじゃなく、“手を伸ばす”ために」

「ありがとう、エルフィア。……じゃあ、私たちの最後の旅の始まりだね」

そして、精霊たちも静かに頷く。
風は未来を撫で、水は優しく寄り添い、火は決意を灯し、土は道を整える。

アルティナが待つ最果ての地――無神域へ。
三巫女の物語は、ついに終章へと歩み始める。
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