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終章
第65話:「無神域への到達と、空白世界の真相」
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目の前に広がったのは、空と大地がひとつに溶け込んだような灰色の世界だった。空はどこまでも静止し、風も流れもなく、光さえぼんやりと霞んでいる。
これが――無神域。
「……まるで、時が止まってるみたい」
セラがぽつりと呟く。
「空間そのものが不安定なの。魔力の流れも、精霊の気配も……一切、存在しない」
エルフィアが足元の地面に手を触れ、眉をひそめる。
「ここでは、精霊術も封印術も通用しない。つまり、私たち“巫女”の力が意味を持たない場所ということ」
「でも、それでも……行くしかない」
リリアは前を見据えた。
「この奥に、アルティナがいる。そして――この世界の“始まりの秘密”があるはずだから」
彼女たちは歩き出す。何もない空間を、一歩一歩確かめるように。
そのとき、空が波打つように揺れた。
「……これは、“記憶”の反応……?」
ユリウスが空間構造を観測しながら言う。
次の瞬間、周囲に像が浮かび上がった。
かつて失われた古代都市の光景。
そして――その中心に、幼いアルティナと、彼女の母と思われる女性がいた。
『精霊と共に歩めば、きっと未来は明るいよ。……そう、信じてるから』
『でも、ママ。もし、それでも争いが止まらなかったら?』
『そのときは――あなたが、きっと“新しい道”を見つけてくれる』
映像は、そこまでで途切れる。
「これは……彼女の記憶……。無神域が“世界の記録庫”でもあるという伝承は、事実だったのね」
エルフィアの言葉に、リリアは静かに頷く。
「アルティナは、ここに来た理由を隠していた。再構成のため――それだけじゃない。“この場所に来なければ知り得ない何か”を探していたんだ」
そして、霧の奥から――現れた。
漆黒の衣に身を包み、けれどどこかその姿が“幼く”見える少女。
「……来たのね、リリア。エルフィア。……やっぱり、止めに来たんだ」
「アルティナ……」
リリアは一歩、前に出る。
「あなたがここで何を求めているのか、まだ全部は分からない。でも、もしそれが“ひとりで抱えている苦しみ”なら――私たちに、少しは分けてほしい」
アルティナは静かに、目を伏せる。
「……ここで見つけたんだ。“世界が初めて生まれた瞬間”の構造記録。それを使えば、世界そのものを“再定義”できる。すべてを、苦しみも、記憶も、“最適化”できる」
「でもそれは、すべてを“忘れる”ということじゃないの?」
エルフィアが問いかける。
「そうかもしれない。でも……そうすれば、誰も悲しまない世界に――」
言いかけた言葉が、喉に詰まる。
リリアはそっと手を伸ばす。
「悲しんだ記憶ごと、無くしてしまうことが本当に正しければ……私たちはもう、ここにいない」
そして、その手がもう少しで届く――
世界が震えた。
これが――無神域。
「……まるで、時が止まってるみたい」
セラがぽつりと呟く。
「空間そのものが不安定なの。魔力の流れも、精霊の気配も……一切、存在しない」
エルフィアが足元の地面に手を触れ、眉をひそめる。
「ここでは、精霊術も封印術も通用しない。つまり、私たち“巫女”の力が意味を持たない場所ということ」
「でも、それでも……行くしかない」
リリアは前を見据えた。
「この奥に、アルティナがいる。そして――この世界の“始まりの秘密”があるはずだから」
彼女たちは歩き出す。何もない空間を、一歩一歩確かめるように。
そのとき、空が波打つように揺れた。
「……これは、“記憶”の反応……?」
ユリウスが空間構造を観測しながら言う。
次の瞬間、周囲に像が浮かび上がった。
かつて失われた古代都市の光景。
そして――その中心に、幼いアルティナと、彼女の母と思われる女性がいた。
『精霊と共に歩めば、きっと未来は明るいよ。……そう、信じてるから』
『でも、ママ。もし、それでも争いが止まらなかったら?』
『そのときは――あなたが、きっと“新しい道”を見つけてくれる』
映像は、そこまでで途切れる。
「これは……彼女の記憶……。無神域が“世界の記録庫”でもあるという伝承は、事実だったのね」
エルフィアの言葉に、リリアは静かに頷く。
「アルティナは、ここに来た理由を隠していた。再構成のため――それだけじゃない。“この場所に来なければ知り得ない何か”を探していたんだ」
そして、霧の奥から――現れた。
漆黒の衣に身を包み、けれどどこかその姿が“幼く”見える少女。
「……来たのね、リリア。エルフィア。……やっぱり、止めに来たんだ」
「アルティナ……」
リリアは一歩、前に出る。
「あなたがここで何を求めているのか、まだ全部は分からない。でも、もしそれが“ひとりで抱えている苦しみ”なら――私たちに、少しは分けてほしい」
アルティナは静かに、目を伏せる。
「……ここで見つけたんだ。“世界が初めて生まれた瞬間”の構造記録。それを使えば、世界そのものを“再定義”できる。すべてを、苦しみも、記憶も、“最適化”できる」
「でもそれは、すべてを“忘れる”ということじゃないの?」
エルフィアが問いかける。
「そうかもしれない。でも……そうすれば、誰も悲しまない世界に――」
言いかけた言葉が、喉に詰まる。
リリアはそっと手を伸ばす。
「悲しんだ記憶ごと、無くしてしまうことが本当に正しければ……私たちはもう、ここにいない」
そして、その手がもう少しで届く――
世界が震えた。
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