追放された元・最強魔導士、辺境でスローライフを始めたらなぜか国ができました

黒川ねこ

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終章

第69話:閉じる術式、開かれる未来

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無神域に響いていた術式の光が、完全に消えた。
空が静かに戻り、大地に優しい風が吹いた。

「……終わった、のよね」

エルフィアがポツリと呟く。
祭壇跡に立ち尽くしたままのアルティナは、深く息を吐いた。

「術式核は崩壊した。もう“再構成”は不可能よ。……この世界は、“そのまま”続いていく」

「だからこそ、ここから“どう在るか”が問われるんだと思う」

リリアはゆっくりと歩み寄り、空を見上げた。

「痛みも悲しみも、簡単には消えない。けれど……それでも、笑い合える未来を選び続けたい」

風がそっと吹き抜ける。

精霊たちは、無神域の境界から静かに現れた。
彼らはもう、恐れていない。
リリアたち三巫女が、力ではなく意志で世界を救ったことを、見届けていたから。

「……戻ろうか。世界が待ってる」

ユリウスの声に、誰もが頷いた。

帰還した彼女たちを待っていたのは、各地から寄せられた祝福と再出発の準備だった。
ヴァレムでは復興作業が始まり、エラグリスの結界は少しずつ癒え、精霊たちは徐々に人々のそばへと戻り始めていた。

フェンリースの村でも、子どもたちの笑い声が響く。

「私、また“魔導記録官”に戻ろうと思ってます」

リリアはそう笑った。

「この世界の今を、きちんと残していきたい。“選ばれた誰かの記録”じゃなく、“ここにいたみんなの記憶”として」

「……なら、私はその“新しい歴史”を守る巫女になろうかな」

エルフィアが、照れくさそうに言う。

「私も、ちゃんと“学び直し”たい。もう力だけで突っ走るのは終わりにするわ」

アルティナもまた、肩の力を抜いた顔で笑った。

三巫女の物語は、終わった。
でも、それぞれの人生は、ここからまた始まっていく。

そして、世界はようやく、“少しだけあたたかい風”を取り戻していた。
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