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第十三話「恋した相手はギャル口調の美少女でした(王子)」
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「よーし☆ 今日は実戦よっ!」
テンション高めに宣言したミレイアは、
ゆる巻き金髪ウィッグ&ゆるふわピンクワンピ姿のクラウスを連れて、街へと繰り出していた。
「“盛れてる姿”ってのはさ~、室内だけじゃ通用しないの! 真の“映え”は街角でこそ試されるのよ!」
「……まさか、女装した姿で人混みに紛れさせられるとは……」
「なに言ってんの?クラウスくん、今めっちゃかわいいんだから!もっと自信持って!ってか、後でプリ撮るから!」
歩くたびに揺れるフリル。
頬に乗せられた淡いチーク。
ピンクのリボンとリップが、完璧に“ギャル映え”している。
「……あまりにも、屈辱だ……」
「いや~?アタシ的には最高の傑作だよ?ほら、“かわいさは正義”ってね!」
⸻
だが、事件はその直後に起きた。
「ミレイア様!ちょっといいですか~!ギャルメイクのことでお話が!」
「うぇ!? ちょ、今“撮影タイム”なんだけど~……」
けれどギャル文化を求める令嬢たちの情熱に負け、
ミレイアは「じゃ、待っててね!」とクラウスを残してその場を離れた。
⸻
残されたクラウスは、人気のない噴水の前にひとり。
恥ずかしさと不安で落ち着かない。
「……なぜ私は、こんな姿で街に立たされているのだ……」
そんな時――
「ミレイア様……?」
声をかけたのは、レティシア・ヴェルディだった。
「あっぶな……!」
咄嗟にクラウスはミレイアの口調を真似、声を少し高くして返した。
「よっ☆ おっひさ~ってカンジ?」
「えっ……あの……どちらさまで……?」
「え~? アタシ、ミレイアちゃんの、親戚~みたいな? てか似てるっしょ~?」
「たしかに……雰囲気がとても……似ていらっしゃいますわね……」
困惑しながらも、レティシアの目は彼(彼女)から離れなかった。
ピンクの頬、上品な仕草、そしてどこかミレイアに似た“自由さ”。
「……あの、お名前を伺っても……?」
「えっ、アタシ? えっとぉ……ミレリーナ☆とかでどお?」
「ミレリーナ様……とても、素敵なお名前……」
(やば……適当に言ったのに、ガチで気に入られてるっぽい……!)
クラウスは内心、顔面蒼白。
だが、レティシアはさらに一歩近づいてきた。
「あなたのような方に出会ったのは、初めてですわ……その、お時間があるなら……ご一緒にお茶などいかがでしょう?」
(まじで!?アタシ今、ナンパされてんだけど!?てっなんで私の頭の中までミレイアを演じないといけないんだ!)
とその時。
「やっほ~レティちゃん!待たせたね☆……って、うわっ……何この空気っ?」
ミレイアが、ギャル令嬢たちを振り切って戻ってきた。
レティシアがハッとして振り返る。
「あっ、ミレイア様……その、こちらの方と……」
「あっはっは~、紹介するまでもないかな☆ うちの子、ちょ~っと変わってるけど、まあ仲良くしてあげて?」
「……え? えっ??」
レティシアの頭が追いつかないまま、ミレイアは“女装王子”の手を取って、強引にその場を去っていった。
「やばばばば……まさかの百合風展開フラグたったまま放置は、まじ危険案件なんだけど~~~!!」
「……お前のせいだろ……」
その日の夜、レティシアは窓の外を見つめながら、ひとり呟いた。
「……どうしてあの方に、心が騒いだのかしら……ミレイア様に似ていたから? それとも――」
自分の恋心の正体が、またひとつ、わからなくなった気がした。
まだ連載します!
テンション高めに宣言したミレイアは、
ゆる巻き金髪ウィッグ&ゆるふわピンクワンピ姿のクラウスを連れて、街へと繰り出していた。
「“盛れてる姿”ってのはさ~、室内だけじゃ通用しないの! 真の“映え”は街角でこそ試されるのよ!」
「……まさか、女装した姿で人混みに紛れさせられるとは……」
「なに言ってんの?クラウスくん、今めっちゃかわいいんだから!もっと自信持って!ってか、後でプリ撮るから!」
歩くたびに揺れるフリル。
頬に乗せられた淡いチーク。
ピンクのリボンとリップが、完璧に“ギャル映え”している。
「……あまりにも、屈辱だ……」
「いや~?アタシ的には最高の傑作だよ?ほら、“かわいさは正義”ってね!」
⸻
だが、事件はその直後に起きた。
「ミレイア様!ちょっといいですか~!ギャルメイクのことでお話が!」
「うぇ!? ちょ、今“撮影タイム”なんだけど~……」
けれどギャル文化を求める令嬢たちの情熱に負け、
ミレイアは「じゃ、待っててね!」とクラウスを残してその場を離れた。
⸻
残されたクラウスは、人気のない噴水の前にひとり。
恥ずかしさと不安で落ち着かない。
「……なぜ私は、こんな姿で街に立たされているのだ……」
そんな時――
「ミレイア様……?」
声をかけたのは、レティシア・ヴェルディだった。
「あっぶな……!」
咄嗟にクラウスはミレイアの口調を真似、声を少し高くして返した。
「よっ☆ おっひさ~ってカンジ?」
「えっ……あの……どちらさまで……?」
「え~? アタシ、ミレイアちゃんの、親戚~みたいな? てか似てるっしょ~?」
「たしかに……雰囲気がとても……似ていらっしゃいますわね……」
困惑しながらも、レティシアの目は彼(彼女)から離れなかった。
ピンクの頬、上品な仕草、そしてどこかミレイアに似た“自由さ”。
「……あの、お名前を伺っても……?」
「えっ、アタシ? えっとぉ……ミレリーナ☆とかでどお?」
「ミレリーナ様……とても、素敵なお名前……」
(やば……適当に言ったのに、ガチで気に入られてるっぽい……!)
クラウスは内心、顔面蒼白。
だが、レティシアはさらに一歩近づいてきた。
「あなたのような方に出会ったのは、初めてですわ……その、お時間があるなら……ご一緒にお茶などいかがでしょう?」
(まじで!?アタシ今、ナンパされてんだけど!?てっなんで私の頭の中までミレイアを演じないといけないんだ!)
とその時。
「やっほ~レティちゃん!待たせたね☆……って、うわっ……何この空気っ?」
ミレイアが、ギャル令嬢たちを振り切って戻ってきた。
レティシアがハッとして振り返る。
「あっ、ミレイア様……その、こちらの方と……」
「あっはっは~、紹介するまでもないかな☆ うちの子、ちょ~っと変わってるけど、まあ仲良くしてあげて?」
「……え? えっ??」
レティシアの頭が追いつかないまま、ミレイアは“女装王子”の手を取って、強引にその場を去っていった。
「やばばばば……まさかの百合風展開フラグたったまま放置は、まじ危険案件なんだけど~~~!!」
「……お前のせいだろ……」
その日の夜、レティシアは窓の外を見つめながら、ひとり呟いた。
「……どうしてあの方に、心が騒いだのかしら……ミレイア様に似ていたから? それとも――」
自分の恋心の正体が、またひとつ、わからなくなった気がした。
まだ連載します!
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