秘密の多い令嬢は幸せになりたい

完菜

文字の大きさ
32 / 105
第二章 貴族としての生活

2-4

しおりを挟む
 キャスティナとエヴァンは、一週間振りに一緒に食事をした。キャスティナは、この一週間で、異母弟のルイスと話が出来て、手紙を出すことを約束した話をした。

「弟君とは仲良かったのかい?」

「昔はよく、お義母様に隠れて一緒に遊んだりしてたんです。最近は、お互い無関心を装ってましたが……でも、最後だからと思ってきちんと話をしたら弟と姉の関係に戻れました。これも、エヴァン様のお陰です」

「キャスティナが、優しいお姉様だからだよ」

 エヴァン様は、そう言ってくれたけどきっかけをくれたのはやっぱりエヴァン様だもの。後で、どうして私を選んでくれたのかお聞きしないと。もしかしたら、本命の女性がいるのかも知れないし。勘違いには、気を付けなくちゃ。

 お昼を食べた後は、別宅の案内をエヴァン様がしてくれた。こちらでは、エヴァンの部屋とキャスティナの部屋が繋がっていた。エヴァン様が休みの日は、こっちの別宅で過ごして普通の日は、本宅で過ごす事になると話してくれた。

 屋敷を案内してもらった後は、居間でお茶とお菓子を頂きながら色々話をした。
 まず、エヴァン様の仕事について。第一騎士団に所属していて、基本的には第一王子の護衛が主な仕事なんだって。お休みは一週間に一度しかなく、毎日朝早く出て帰って来るのも遅いらしい。だから、ここで過ごすよりもみんながいる本宅で過ごした方が寂しくないだろうと言う配慮なんだって。月に三日ほど、夜勤の日があってその日は出勤が夕方なんだそう。でもこれからは、出来るだけ早く帰って来たいって言ってくれた。

 お義父様が仕事ばかりって、さっきおっしゃってた意味がわかった気がする。本当に忙しい方なのね。お疲れの時は、少しでも疲れを取って欲しいな。あと、さっき考えてた事聞かなくちゃ‼キャスティナは、勇気を振り絞って声を出した。

「あの、エヴァン様お聞きしたい事があるのですが……いいですか?」

「なんだい?」

「えっと……エヴァン様は……何で私だったんですか?もっと他に綺麗で素敵な女性がたくさんいると思うんですが……」

 キャスティナは、納得がいっていないようなどうして?と訴える顔をしている。

「そうだね。ちゃんと説明していなかったね。キャスティナ、私はね……」

 エヴァンが、キャスティナに出会った日の事を語り出した。

 あの日は、連日の王宮での夜会の準備に追われててろくに休みも取ってなかったんだ。本当は、殿下の警護につく予定だったんだけど殿下にも両親にも客側で出席しろってしつこく言われてね。私もいい年だからいい加減、結婚相手を探せって煩くて。客で出席したら、夜会に出席するのが久しぶりで令嬢からのアピールがそれは凄くて……只でさえ疲れてるのに誰も助けてくれないしイライラしてきて、頭を冷やそうと庭に出てあの場所に行ったんだよ。そしたら、お茶とお菓子を持ち込んで薔薇を見て楽しんでいる君がいたんだよ。

 私が座ったら、じーっと私を見てきてこの子もアピールが始まるのか?って思ったら疲れてますねって言われてびっくりしたんだよ。そしたら、お茶とお菓子を持って来てくれて、お茶を飲んだらなんだかホッとして、今まで会った女の子達と全然違うと思ったら興味が出たんだよ。この子どんな子なんだろう?って。もっと知りたいなって。あの時のキャスティナは、前髪で目も隠れてたし飾り気のないドレスだったし、目を見て話してみたい。綺麗に着飾ってあげたいって自然に思って、プロポーズしちゃったんだよ。

 今思うと、強引だったけどね。でも私の直感は正しかったよ。あの後は、もう夜会に用はないって思ってすぐ家に帰って。フィルに、キャスティナの事を調べてもらって。両親にもすぐに、話をして。それで、次の休みにキャスティナに会いに行ったんだよ。キャスティナの事を調べてもらったら、心配になって早く会いたくてしょうがなかったよ。キャスティナの事ばっかり考えてて、自分でもびっくりするくらいだったよ。エヴァンが、恥ずかしそうにキャスティナを見た。

「あの……えっと……そんな風に思って貰えたなんて凄くうれしい。でも、私エヴァン様に色々してもらったのに……私はエヴァン様に何もしてあげられないです……」

 キャスティナは、残念そうに俯く。

「キャスティナ、最初に会った日に疲れてた私を気遣ってくれたのはキャスティナだけだよ。凄くホッとして癒されたんだ。これからも、私を癒してくれるだろう?」

 そう言ってエヴァンは、キャスティナを引き寄せて抱きしめた。キャスティナもエヴァンの背中に腕を回した。

「エヴァン様。私、癒すことならちょっと得意です。疲れたら、私がエヴァン様を癒しますね」

「うん。ありがとう」

 二人はしばらく、そのまま優しい時間を楽しんだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係

ayame@コミカライズ決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

召喚先は、誰も居ない森でした

みん
恋愛
事故に巻き込まれて行方不明になった母を探す茉白。そんな茉白を側で支えてくれていた留学生のフィンもまた、居なくなってしまい、寂しいながらも毎日を過ごしていた。そんなある日、バイト帰りに名前を呼ばれたかと思った次の瞬間、眩しい程の光に包まれて── 次に目を開けた時、茉白は森の中に居た。そして、そこには誰も居らず── その先で、茉白が見たモノは── 最初はシリアス展開が続きます。 ❋他視点のお話もあります ❋独自設定有り ❋気を付けてはいますが、誤字脱字があると思います。気付いた時に訂正していきます。

【完】瓶底メガネの聖女様

らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。 傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。 実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。 そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

Mimi
恋愛
 若様がお戻りになる……  イングラム伯爵領に住む私設騎士団御抱え治療士デイヴの娘リデルがそれを知ったのは、王都を揺るがす第2王子魅了事件解決から半年経った頃だ。  王位継承権2位を失った第2王子殿下のご友人の栄誉に預かっていた若様のジェレマイアも後継者から外されて、領地に戻されることになったのだ。  リデルとジェレマイアは、幼い頃は交流があったが、彼が王都の貴族学院の入学前に婚約者を得たことで、それは途絶えていた。  次期領主の少年と平民の少女とでは身分が違う。  婚約も破棄となり、約束されていた輝かしい未来も失って。  再び、リデルの前に現れたジェレマイアは……   * 番外編の『最愛から2番目の恋』完結致しました  そちらの方にも、お立ち寄りいただけましたら、幸いです

処理中です...