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第16話
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バグマルス王国が危機に瀕していることを知ってから、一ヶ月の時が流れた。
『もう何があろうとあんな国には戻らない』と決意した私だったが、やはり故郷の行く末は気になるもので、新聞にバグマルス王国の情報が載ると、必ず目を通している。
結論から言うと、バグマルス王国は、この世から消滅した。
ウルナイト王子をはじめ、王族が全員死亡し、実際に政治を動かしていた大臣たちも全滅したからだ。民衆たちも、実に三分の二が死んでしまった。……しかし、三分の一の民衆は、生き残ることができた。
生き残った民衆の話によると、破壊神のごとく暴れ狂っていた魔獣が、突然話しかけてきて、バグマルス王国に生きる人々の、身勝手で欲深い生き方を責めたのだという。
その魔獣の責めに聞く耳を持たなかったり、言い訳がましいことを言ったものは、皆ことごとく殺されてしまったそうだ。表面上は従順に頭を下げて魔獣を欺こうとしたものも、すぐに心の内を見透かされ、殺されたとのことである。
そして、生き残った人たちが、心の底から悔い改め、『自分たちの生き方が間違っていました』と平伏すると、魔獣は『思いやりを持ち、正しく生きなさい』と、それだけ言って、霧のように姿を消してしまったらしい。
ひとまず危機が去ったことで、生き残った人たちは安堵したが、同時に、新たなる危機に気がついた。……それは、バグマルス王国の周囲にはびこっている、凶悪な魔物たちの存在だ。
聖女の結界がなく、魔獣の守護もない今、魔物たちは、いつ攻め込んできてもおかしくない。自分たちはいまだ、大いなる惨禍の中にいる。危機はまだまだ去ってはいない――
そう思い、震えあがった民衆たちだったが、泣きわめいたり、誰かに助けを乞うばかりではなかった。彼らは皆、手作りの武器や鎧で武装し、民兵となって、魔物の襲来に備えたのである。『思いやりを持ち、正しく生きなさい』という魔獣の言いつけを守り、老人も、病人も、子供も、誰一人見捨てることなく、手を取り合って。
その民兵をまとめ上げたのは、もうずっと昔にバグマルス王国を追放された、あのハーディン隊長だ。……しかし、いかにハーディン隊長が指揮をとっても、凶悪な魔物が一度に襲来すれば、民兵の力では太刀打ちできるはずもない。
民兵たちも、その現実を分かっていたが、逃げ出す者はいなかった。
魔獣によって国そのものが裁かれたことも、国を守護する存在がいなくなってしまったのも、すべては自分たちの身勝手さが招いたことだと理解し、その結果、魔物に襲われて死ぬのなら、それもまた神の与える罰だと、受け入れることにしたのだ。
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バグマルス王国が危機に瀕していることを知ってから、一ヶ月の時が流れた。
『もう何があろうとあんな国には戻らない』と決意した私だったが、やはり故郷の行く末は気になるもので、新聞にバグマルス王国の情報が載ると、必ず目を通している。
結論から言うと、バグマルス王国は、この世から消滅した。
ウルナイト王子をはじめ、王族が全員死亡し、実際に政治を動かしていた大臣たちも全滅したからだ。民衆たちも、実に三分の二が死んでしまった。……しかし、三分の一の民衆は、生き残ることができた。
生き残った民衆の話によると、破壊神のごとく暴れ狂っていた魔獣が、突然話しかけてきて、バグマルス王国に生きる人々の、身勝手で欲深い生き方を責めたのだという。
その魔獣の責めに聞く耳を持たなかったり、言い訳がましいことを言ったものは、皆ことごとく殺されてしまったそうだ。表面上は従順に頭を下げて魔獣を欺こうとしたものも、すぐに心の内を見透かされ、殺されたとのことである。
そして、生き残った人たちが、心の底から悔い改め、『自分たちの生き方が間違っていました』と平伏すると、魔獣は『思いやりを持ち、正しく生きなさい』と、それだけ言って、霧のように姿を消してしまったらしい。
ひとまず危機が去ったことで、生き残った人たちは安堵したが、同時に、新たなる危機に気がついた。……それは、バグマルス王国の周囲にはびこっている、凶悪な魔物たちの存在だ。
聖女の結界がなく、魔獣の守護もない今、魔物たちは、いつ攻め込んできてもおかしくない。自分たちはいまだ、大いなる惨禍の中にいる。危機はまだまだ去ってはいない――
そう思い、震えあがった民衆たちだったが、泣きわめいたり、誰かに助けを乞うばかりではなかった。彼らは皆、手作りの武器や鎧で武装し、民兵となって、魔物の襲来に備えたのである。『思いやりを持ち、正しく生きなさい』という魔獣の言いつけを守り、老人も、病人も、子供も、誰一人見捨てることなく、手を取り合って。
その民兵をまとめ上げたのは、もうずっと昔にバグマルス王国を追放された、あのハーディン隊長だ。……しかし、いかにハーディン隊長が指揮をとっても、凶悪な魔物が一度に襲来すれば、民兵の力では太刀打ちできるはずもない。
民兵たちも、その現実を分かっていたが、逃げ出す者はいなかった。
魔獣によって国そのものが裁かれたことも、国を守護する存在がいなくなってしまったのも、すべては自分たちの身勝手さが招いたことだと理解し、その結果、魔物に襲われて死ぬのなら、それもまた神の与える罰だと、受け入れることにしたのだ。
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