俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ

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9年後

30.アルフレッド・グリムワルトの思い

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アルフレッドsid

僕の名前はアルフレッド。

アルフレッド・グリムワルト12歳、このグリムワルト王国の第二王子だ。

突然だけど、僕には兄上がいる。

僕より4歳年上のメイル兄上だ。

兄上のお母様と僕のお母様は違うがお父様は一緒だ。

普通仲が悪いと思われがちだけど、実の所僕のお母様と兄上のお母様は大変仲が良く、しょっちゅうお茶会を開いている。

なんでも学生の時から仲が良いのだそうだ。

話は変わるが、僕が生まれた時、兄上は呪いに侵されていて髪の毛が黒かったそうだ。

その呪いを解いたのは誰なのかは知らない

何でも機密事項なのだそうだ

その時の兄上はかなり精神的にまいっていたらしく、家族であるお父様達でさえどう接したら良いか分からず距離を置いていたみたいだ。

そんな時広まっていた噂は僕を王太子にして兄上を廃嫡するというとんでもない噂だ。

僕たち家族の関係性を知っている人ならまずあり得ないと言うだろう、だがその時はその噂が王宮中に広まっており、また丁度僕たち家族が距離を計りかねている時期だったから余計に真実味が増したのかもしれない

とお母様からその時の話を聞いた事がある

結局僕の預かり知らぬところで呪いについても解決しており、僕たち家族もまた以前の暖かな雰囲気に包まれていた。

大好きな兄上の呪いを解いてくれた名の知らぬ人に感謝だ。

けれど、幸せは長くは続かない。

一時期は何の問題もなく穏やかな時間が過ぎていたが、兄上が側近候補の人たちをそばに置き始めた頃から兄上の暗殺未遂事件が多発し始めた。

だけど兄上の側近候補であるイズリル・バードナー殿が暗殺者を捕まえて兄上を助けてくれたらしい。

それも闇ギルドの暗殺者をだ

僕は驚きと同時に憧れもした。この人みたいに強ければ僕は兄上の力になれるだろうか、少なくとも今の無能な僕よりは役に立つだろうなあと漠然と思った事はまちがいない。

そもそもこの暗殺騒ぎは第二王妃であるお母様と第二王子である僕の派閥の一部過激派の人達が行動を起こしているらしくて...

僕は兄上が大好きだ。

兄上の為ならば僕は王位継承権を破棄しても良いと思えるくらいには。

だが、王族がそんな簡単に王位継承権を破棄するなんて言ったらダメなこともわかっている。

僕は本当に無力だな。

そんな時、風の噂でこの王宮にはなんでも幽霊ではなく“麗しの君”と言う人物が何処からともなく現れ、その日見た者は幸運な事が起きるという噂が流れていた。

麗しの君...女の人だろうか、そんな事よりも僕は兄上の側近候補のイズリル・バードナーが兄上の側近候補から外れたという噂の方が気になって仕方がなかった。

兄上の側近候補の中でも最も頭脳と戦闘力が高く、彼がいたから兄上は今までの暗殺未遂で襲撃を受けながらも無事でいられたと言うのに...彼と兄上に一体何があったのだろうか。

そんなことを考えながら歩いているとドンッと前にいた人に当たってしまった。

「申し訳ございません、お怪我はありませんか?」

「私のイズリルに触るな人間」

決して大きい声で話している訳でもないのにスッと通る声と不機嫌そうな低音な声が聞こえ、おずおずと顔を上げると、そこには僕よりずっと背の高いけれどけして威圧的ではない、何と言うか美人だけどミステリアスな雰囲気のある白髪に眼帯をしている人と、その人より更に身長が高く、紺色の切りっぱなしのボブに揺れるピアスが特徴でなんだかお父様とは別の王の風格を持ち合わせた様な人がいた。

そして白髪の人は僕を見てハッとすると僕の目線まで合わせる様に膝をつき挨拶をする

「第二王子、アルフレッド・グリムワルト殿下にご挨拶申し上げます。アリム・バードナー公爵家が息子のイズリル・バードナーと申します。そして隣におりますのは私の遠縁であるオブシディアン・ハーバーで御座います。」

「...」

隣にいるオブシディアン・ハーバー殿はこの白髪の人に無理矢理膝をつかされながらも無言で此方を睨みつけている

どっ、どうしよう!

「あ、頭をお上げくださいイズリル殿、そしてオブシディアン殿!」

「貴様に名前を呼ばれるのは許可していない。」

「ちょっ!ディアン!申し訳ございません、アルフレッド殿下、ディアンは中々他人に心を開かないものでして!」

「い、いえ、気になさらずに...」

「寛大なお心に感謝いたします、アルフレッド殿下」

そう言ってニコリと笑うイズリル殿を見て顔に熱が集まるのが分かる。

そしてこの光景を見てさらにオブ...ハーバー殿の機嫌が悪くなっていっているのが分かる、正直怖い。

しかしイズリル殿がここに居るなら丁度良いかな、何故兄上の側近候補辞めたのか直接本人に聞いてみよう。

「あっ、あの!イ、イズリル殿はあの、あ、兄上の側近候補を辞めた...のですか?」

「あぁ、その事ですか、その通りですよ。」

「何故...」

「ふふっ、それはアルフレッド殿下にも秘密です。ですが完璧に辞めた訳ではありませんよ」

?、どう言う事だろう...

「そこの詳しい事は国王陛下にキチンと許可を貰っているのでご安心を、もし知りたいなら国王陛下にお願いしてみて下さい。」

そ、それは実質無理なんじゃ...

「で、では、イズリル殿は何故王宮に?」

お仕事か何かなのだろうか...

「それは、そうですね、私は付与魔法が使えるのでその魔法の発展の為に研究結果を報告に来た所ですね。」

「付与魔法が...使えるのですか!?」

「そうですよ」

「す、凄い凄い!カッコいいです!」

「えへへ、そうですかねー?」

そう言って照れるイズリル殿。

それに伴い絶対零度の瞳を向けてくるハーバー殿。

そろそろ逃げ出したいけどもっとお話を聞いてみたい!

僕はどうすればいいんだ!

「イズリル、そろそろ研究室に行かないとまずいのではないか?」

「はっ!そうだな。ではアルフレッド殿下、今日はここで失礼致します。」

「あっ、あの!また、お話ししていただけますかっ?」

そう言うとイズリル殿はふわりと笑い勿論と約束してくれた。

そうして去って行く後ろ姿を眺めていると僕付きのメイドが僕を探しにやって来た。

「アルフレッド殿下、お探ししましたよ...ってあれ!麗しの君ではありませんか!アルフレッド殿下、麗しの君とお話しなさっていたのですか?」

「麗しの...君?もしかしてイズリル殿の事を皆麗しの君と呼んでいるの?」

「ええ、そうですよ。バードナー公子と話をするとハーバー様が絶対零度の瞳で見てくるわ話を途中で邪魔してくるわで結構大変なのでバードナー公子の事を名前で呼ぶ者も近付く者も今では少数なんだとか。流石にアルフレッド殿下に対してその様な態度は取られないと思いますが、いかがでしたか...?」

「えーっと...その、あの」

「ま、まさか...」

「うん、そのまさか...かな?」

「こ、怖いもの知らずですね、ハーバー様は。」

怖いと言うか、いや、怖いのだけれど、あれは人を人とも思っていないような...もっと別の得体の知れない何か...の様な気がした。

き、気を取り直してまたイズリル殿を見つけたら話しかけてみよう

そして相談にも乗ってもらうんだ、兄上との今の関係について...!



end
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