【R18】聖女の思春期奇行列伝 ~創造主は痛みを快楽に変える変態を創り出す~

ももちく

文字の大きさ
24 / 202
第3章:怠惰

第3話:バーニング・グーパン

しおりを挟む
 ベリアルは最初、アンドレイ=ラプソティの言葉をキョトンとした顔つきで聞いていた。しかし、あることを思い出すきっかけともなり、ベリアルの表情は『憤怒』の色に染まり上がることになる。

「ソドムとゴモラの街を『塩の柱』と化した貴様たちと創造主:Y.O.N.Nが、どの口でその言葉を発しているのだっ! 我輩が地上に新たな楽園を創ったというのに、貴様たちがそれを破壊したのだっ!」

「ニンゲンは堕落のみを享受する生き物ではありません。創造主:Y.O.N.N様は幾度もニンゲンの訴えを聞きました。しかし、貴方があの街の住人たちを一人残らず『堕落』させたのです。その責を創造主:Y.O.N.N様に押し付けること自体が間違いです!」

 ソドムとゴモラの街を『塩の柱』とする前に善なるニンゲンが、創造主:Y.O.N.Nを止めようとした。その善なるニンゲンは創造主:Y.O.N.Nに何度も確認して、ついには『全住人の内、わずかひとりでも善人が残されていれば、街全体を救う』という約束と取り交わしたのだ。創造主:Y.O.N.Nはニンゲンたちの約束を守る。ニンゲンたちにとっては約束は所詮、約束程度だと思う不届き者がいる。

 しかし、創造主:Y.O.N.Nと地上界のニンゲンとの約束は『契約』と同義なのである。『契約』は『約束』よりも遥かに拘束力が発揮されるのだ。そして、創造主:Y.O.N.Nといえども、ニンゲンと結んだ『契約』は忠実に履行する。ソドムとゴモラの街の悲劇はまさにここにあった。ソドムとゴモラの街には『善人はひとりもいなかった』のである。創造主:Y.O.N.Nは善なるニンゲンとの契約を破棄したのではない。忠実にその契約を護ったがゆえに起きた『悲劇』なのだ。

 もし、あの時、善なるニンゲンが創造主:Y.O.N.Nとの契約において、もう少し知恵が回ることを言っておけば良かったのかもしれない。創造主:Y.O.N.Nから見て、ソドムとゴモラの街には『善なるものはひとりもいなかった』のだ。これが事実であり、真実でもある。そして、ソドムとゴモラの街には『天界の十三司徒』が遣わされる。一晩も経たずにこの世の『堕落』を謳歌していたその街には静寂が訪れるのであった……。

 アンドレイ=ラプソティとベリアルがバチバチと火花を散らす中、コッシロー=ネヅはおろおろと戸惑うしかなかった。アンドレイ=ラプソティとベリアルを止めるべきなのか、アリス=アンジェラの支援に回るべきなかをだ。アリス=アンジェラは絶賛、未だに身体に巻き付こうとしてくる触手群に対して、光り輝く手刀で叩き落とし、同時に光る足先で触手群を蹴り飛ばしていた。

 しかしながら、アリス=アンジェラは非常に興奮状態に陥っており、今、アリス=アンジェラへ助力をしようものなら、コッシロー=ネヅも一緒に手刀を叩きこまれ、さらには蹴り飛ばされそうな予感がしてならなかった。

 それならば、アンドレイ=ラプソティとベリアルの間に割って入って仲裁しようとすれば、どちらからも神力ちから呪力ちからが籠った右のこぶしを顔面にぶち込まれそうな気もしてしまう。どうしたものかと思い悩んだコッシロー=ネヅは2人の注意が互いの方向へと向かっているのを、無理やり、アリス=アンジェラに釘付けさせようとする。

「ほ、ほら。アリスちゃんが頑張っているのでッチュウ。アンドレイ様、アリスちゃんに応援を送るのでッチュウ」

「そう……ですね。天使と悪魔がわかり合えるわけがないのに、つい、熱くなってしまいました。アリス殿、そいつの再生力は私とベリアルでも難儀しているのです! 間髪入れずにトドメの一撃を入れるんです!」

「ったく……。上手くはぐらかされた気がするぜ。まあ良い。アンドレイ、アリス嬢ちゃんに加勢するぞっ!」

 コッシロー=ネヅは一触即発であったアンドレイ=ラプソティとベリアルの気が上手く逸れたと思うしか他無かった。一時的な共闘関係は再度、構築し直されることになる。アンドレイ=ラプソティとベリアルは神力ちから呪力ちからを溜める構えを取り、一気呵成の呼吸をもってして、その神力ちから呪力ちからを引き絞った上から突き出した両腕の先から光線ビームを発射する。

 銀色の神力ちからと紫黒い呪力ちから光線ビームが謎の肉塊の塔の中央部にぶち当たり、肉塊の塔を大きく振動させる。アリス=アンジェラはそのふたつの光線ビームが一点に集中しているのを見るや否や、空中でグルングルンと右腕を何度も大きく振り回す。

 アリス=アンジェラが右腕を回転させるごとに、右手に神力ちからが凝縮さていく。そして、アリス=アンジェラの右手を包む紅い光のサイズが30倍にまで膨れ上がったところで、アリス=アンジェラは右腕を振り回すのを止める。そして、巨大化した右のこぶしをアンドレイ=ラプソティとベリアルが一点集中攻撃している部分に向かって、その右のこぶしを振り下ろす。

「バーニング・グーパンをお見舞いしマス! これは『怒り』ではありまセン! 真の愛に目覚めてほしいがための『一喝』デス!」

 アリス=アンジェラはそう言いながら、謎の肉塊の塔の中央部に右のこぶしを叩きこむ。謎の肉塊の塔は断末魔を上げながらも、それでもその塔の表面から細長い触手を伸ばし、アリス=アンジェラの身に纏わりつく。だが、アリス=アンジェラの肌に振れる触手からは『悪意』は消え去っていた。肉塊のひとつひとつがアリス=アンジェラに対して、感謝の念を伝えてくる。

 アリス=アンジェラは今度ばかりは涙腺が崩壊し、両目から多大な量の涙を流す。それでもアリス=アンジェラは突き出した右のこぶしから神力ちからを緩めることは無かった。謎の肉塊の塔を構成する全ての肉塊が浄化されるまではそれを止めようとはしなかった……。

「任務……完了デス。あなた方の想いは全てこのアリス=アンジェラが引き受けます。創造主:Y.O.N.N様。どうか、彼らに救いの手を差し伸べてくだ……サイ」

 アリス=アンジェラは謎の肉塊の塔が光の柱となり、それが天に昇っていくのを見守っていた。聖女のように両膝を地面に着け、両手を祈りのために握り込む。彼女の身体に巻き付いていた細い肉の触手も段々と光の粒子へと変換されていく。

 肉の触手群はせめてもの詫びとばかりにアリス=アンジェラの肌を光の粒子になりながら、下から上へと撫で上げていく。本当に余計なこととはコレにつきるのであった。アリス=アンジェラは祈りの真っ最中であるのに、うひっ! いひっ! ひゃんっ! と可愛らしい声をあげてしまう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...