147 / 202
第15章:ダン=クゥガー
第5話:攻守交代
しおりを挟む
ダン=クゥガーとしても、自分の口から発した言霊だけで、今のアンドレイ=ラプソティを止められるとは思っていなかった。それゆえにダン=クゥガーは追加の魔法陣を右手と左手の手のひらに描き出す。両手を叩き合わせることで、その魔法陣の効果を数倍へと引き上げる。魔法陣が巨大化し、大皿ほどの大きさに広がるや否や、ダン=クゥガーは両手の間隔を開ける。
その大皿のような大きさを持つ魔法陣は幾重にも重なっていた。ダン=クゥガーは両手を捻り、その大皿とかした幾重の魔法陣を迫りくるアンドレイ=ラプソティに向かって、次々と発射する。アンドレイ=ラプソティはその飛んできた魔法陣を両手で握る紅き竜の槍で次々と打ち落していく。
しかし、紅き竜の槍で打ち落されるべきである魔法陣は物理の法則を無視し、紅き竜の槍に纏わりつくことになる。アンドレイ=ラプソティはグルルゥ!? と訝し気な獣の声をあげることになる。恰好としては、紅き竜の槍がいくつもの魔法陣を串刺しにしているようにも見えた。
そして、串刺しにした魔法陣が一気にその大きさを縮めていき、それと同時に紅き竜の槍から噴き出していた炎を小さいものにしていくのであった。アンドレイ=ラプソティがその槍をブンブンと振り回しても、その先端から溶岩のような熱を誇る炎を吹きださせることが出来なくなってしまう。これでは、せっかくの紅き竜の槍もただの熱く焼ける金属の棒と同様であった。
グルルルルゥ……と低い獣の唸り声を口から絞り出すアンドレイ=ラプソティであった。自分が手に持つ神具の神力を抑えつけられたことに、一種の危機感を覚えたために、アンドレイ=ラプソティはダン=クゥガーに対する警戒感を一気に高めたのである。
堕天移行状態へと足を踏み込んだために、アンドレイ=ラプソティはダン=クゥガーに対して、とてつもない敵意を抱き、それと同時に、後先考えぬくらいの攻撃的な行動に出ていた。本来なら、ダン=クゥガーは未知の呪力を持っているがために、もっと慎重に相手をせねばならなかった。だが、アンドレイ=ラプソティは身体の奥底から溢れ出す暗い情念に突き動かされて、今の今までダン=クゥガーを攻撃し続けた。
ようやく、ダン=クゥガーと距離を開けるアンドレイ=ラプソティであった。しかしながら、アンドレイ=ラプソティの勇ましすぎる連続攻撃は決して間違いではない。
得体の知れぬ相手と戦う時は、二通りしかないのである。一方的にぶん殴るのがひとつ。詰め将棋をするかのように、自分と相手の手をひとつづつ出し合い、最後の一手で、相手の心臓を貫くという戦い方だ。
もう一度言おう。アンドレイ=ラプソティは猛る心のままにダン=クゥガーを紅き竜の槍でぶん殴り続けたのは決して褒められた戦い方では無かったが、ダン=クゥガー相手には有効的な戦い方だったのである。その証拠に、その状況を嫌がったダン=クゥガーが、アンドレイ=ラプソティの攻撃を止めるために、アンドレイ=ラプソティがその手に持つ紅き竜の槍の神力を封印しようとしたのである。
奥の手を数多く持つダン=クゥガーであるがゆえに、その奥の手を出させないためにも、攻撃をし続けねばならなかったのだ。ダン=クゥガーは同じ土俵にアンドレイ=ラプソティを立たせることに成功したのである。こうなれば、アンドレイ=ラプソティは攻守を交代せざるをえなかった。
ダン=クゥガーは次々と自分の周りに魔法陣を展開させていく。その魔法陣群はそれぞれに独特な色を持っており、実際、そのひとつひとつが違う効果を持っていた。ダン=クゥガーは自分の周囲に展開した魔法陣から、火の弾や、氷のつぶてを飛ばす。アンドレイ=ラプソティはグルルルゥゥゥと獣の唸り声をあげながら、神力が減衰してしまった紅き竜の槍で、それらを叩き落とすことになる。
(よしよし……。ようやくこちらのターンだなっ。クックック……。惑え、惑え。迷いをその心に抱くほど、お前は俺の手のひらで踊ることになるんだよっ!)
余裕を幾分か取り戻したダン=クゥガーは展開している魔法陣のいくつかをアンドレイ=ラプソティの周囲へと移動させる。アンドレイ=ラプソティはその状態を嫌がり、さらにダン=クゥガーから距離を開ける。だが、追尾機能を持っているが如くに、アンドレイ=ラプソティに付き纏う魔法陣群であった。それを紅き竜の槍で叩き落とそうとするが、まるで蝿が舞うかのように、するりと紅き竜の槍を躱してしまう魔法陣であった。
しかもだ、紅き竜の槍の一撃を躱した魔法陣からは、白緑色の細い光線が放たれることになる。その白緑色の光線の貫通力はそれほど高いものではないが、アンドレイ=ラプソティの身体に痣を作る程度の威力は持っていた。
「グロォォォォ!!」
「クハッ! もっと苦悶の表情を俺様に見せてくれや、アンドレイ=ラプソティっっっ!」
相手が嫌がることを徹底して行うのが、戦闘のミソである。ダン=クゥガーはこの攻撃が効果的と見るや否や、アンドレイ=ラプソティの周囲に纏わりつく魔法陣を増やしていく。アンドレイ=ラプソティは半狂乱になりながら、自分の身に纏わりつく魔法陣を紅き竜の槍で叩き落とそうとする。そうすれば、そうするほど、ダン=クゥガーの顔には愉悦の表情が強まり、ますます魔法陣の数を増やしていくのが当たり前だというのに、アンドレイ=ラプソティは抗いを見せたのである。
今や、アンドレイ=ラプソティの周囲に纏わりつく魔法陣の数は10を数えるほどになっていた。その魔法陣から白緑色の細い光線が次々と発射される。アンドレイ=ラプソティは背中や腹、そして顔面や胸をその白緑色の光線に打たれることになる。
この時のアンドレイ=ラプソティは、冷静さを悪い意味で失っていた。ダン=クゥガーに連続攻撃をしかけていた時も冷静さを欠いていたが、それでも、戦いの主導権はアンドレイ=ラプソティが握っていたのである。しかしながら、搦め手とわかりきっているこの白緑色の光線群に対して、アンドレイ=ラプソティは構い過ぎたと言って過言ではなかった。
実際のところ、アンドレイ=ラプソティはダン=クゥガーにオモチャにされていた。そのオモチャにされているという感覚がアンドレイ=ラプソティをイラつかせた。そして、そのイラつきがますます、アンドレイ=ラプソティから冷静さを失わせていく……。
その大皿のような大きさを持つ魔法陣は幾重にも重なっていた。ダン=クゥガーは両手を捻り、その大皿とかした幾重の魔法陣を迫りくるアンドレイ=ラプソティに向かって、次々と発射する。アンドレイ=ラプソティはその飛んできた魔法陣を両手で握る紅き竜の槍で次々と打ち落していく。
しかし、紅き竜の槍で打ち落されるべきである魔法陣は物理の法則を無視し、紅き竜の槍に纏わりつくことになる。アンドレイ=ラプソティはグルルゥ!? と訝し気な獣の声をあげることになる。恰好としては、紅き竜の槍がいくつもの魔法陣を串刺しにしているようにも見えた。
そして、串刺しにした魔法陣が一気にその大きさを縮めていき、それと同時に紅き竜の槍から噴き出していた炎を小さいものにしていくのであった。アンドレイ=ラプソティがその槍をブンブンと振り回しても、その先端から溶岩のような熱を誇る炎を吹きださせることが出来なくなってしまう。これでは、せっかくの紅き竜の槍もただの熱く焼ける金属の棒と同様であった。
グルルルルゥ……と低い獣の唸り声を口から絞り出すアンドレイ=ラプソティであった。自分が手に持つ神具の神力を抑えつけられたことに、一種の危機感を覚えたために、アンドレイ=ラプソティはダン=クゥガーに対する警戒感を一気に高めたのである。
堕天移行状態へと足を踏み込んだために、アンドレイ=ラプソティはダン=クゥガーに対して、とてつもない敵意を抱き、それと同時に、後先考えぬくらいの攻撃的な行動に出ていた。本来なら、ダン=クゥガーは未知の呪力を持っているがために、もっと慎重に相手をせねばならなかった。だが、アンドレイ=ラプソティは身体の奥底から溢れ出す暗い情念に突き動かされて、今の今までダン=クゥガーを攻撃し続けた。
ようやく、ダン=クゥガーと距離を開けるアンドレイ=ラプソティであった。しかしながら、アンドレイ=ラプソティの勇ましすぎる連続攻撃は決して間違いではない。
得体の知れぬ相手と戦う時は、二通りしかないのである。一方的にぶん殴るのがひとつ。詰め将棋をするかのように、自分と相手の手をひとつづつ出し合い、最後の一手で、相手の心臓を貫くという戦い方だ。
もう一度言おう。アンドレイ=ラプソティは猛る心のままにダン=クゥガーを紅き竜の槍でぶん殴り続けたのは決して褒められた戦い方では無かったが、ダン=クゥガー相手には有効的な戦い方だったのである。その証拠に、その状況を嫌がったダン=クゥガーが、アンドレイ=ラプソティの攻撃を止めるために、アンドレイ=ラプソティがその手に持つ紅き竜の槍の神力を封印しようとしたのである。
奥の手を数多く持つダン=クゥガーであるがゆえに、その奥の手を出させないためにも、攻撃をし続けねばならなかったのだ。ダン=クゥガーは同じ土俵にアンドレイ=ラプソティを立たせることに成功したのである。こうなれば、アンドレイ=ラプソティは攻守を交代せざるをえなかった。
ダン=クゥガーは次々と自分の周りに魔法陣を展開させていく。その魔法陣群はそれぞれに独特な色を持っており、実際、そのひとつひとつが違う効果を持っていた。ダン=クゥガーは自分の周囲に展開した魔法陣から、火の弾や、氷のつぶてを飛ばす。アンドレイ=ラプソティはグルルルゥゥゥと獣の唸り声をあげながら、神力が減衰してしまった紅き竜の槍で、それらを叩き落とすことになる。
(よしよし……。ようやくこちらのターンだなっ。クックック……。惑え、惑え。迷いをその心に抱くほど、お前は俺の手のひらで踊ることになるんだよっ!)
余裕を幾分か取り戻したダン=クゥガーは展開している魔法陣のいくつかをアンドレイ=ラプソティの周囲へと移動させる。アンドレイ=ラプソティはその状態を嫌がり、さらにダン=クゥガーから距離を開ける。だが、追尾機能を持っているが如くに、アンドレイ=ラプソティに付き纏う魔法陣群であった。それを紅き竜の槍で叩き落とそうとするが、まるで蝿が舞うかのように、するりと紅き竜の槍を躱してしまう魔法陣であった。
しかもだ、紅き竜の槍の一撃を躱した魔法陣からは、白緑色の細い光線が放たれることになる。その白緑色の光線の貫通力はそれほど高いものではないが、アンドレイ=ラプソティの身体に痣を作る程度の威力は持っていた。
「グロォォォォ!!」
「クハッ! もっと苦悶の表情を俺様に見せてくれや、アンドレイ=ラプソティっっっ!」
相手が嫌がることを徹底して行うのが、戦闘のミソである。ダン=クゥガーはこの攻撃が効果的と見るや否や、アンドレイ=ラプソティの周囲に纏わりつく魔法陣を増やしていく。アンドレイ=ラプソティは半狂乱になりながら、自分の身に纏わりつく魔法陣を紅き竜の槍で叩き落とそうとする。そうすれば、そうするほど、ダン=クゥガーの顔には愉悦の表情が強まり、ますます魔法陣の数を増やしていくのが当たり前だというのに、アンドレイ=ラプソティは抗いを見せたのである。
今や、アンドレイ=ラプソティの周囲に纏わりつく魔法陣の数は10を数えるほどになっていた。その魔法陣から白緑色の細い光線が次々と発射される。アンドレイ=ラプソティは背中や腹、そして顔面や胸をその白緑色の光線に打たれることになる。
この時のアンドレイ=ラプソティは、冷静さを悪い意味で失っていた。ダン=クゥガーに連続攻撃をしかけていた時も冷静さを欠いていたが、それでも、戦いの主導権はアンドレイ=ラプソティが握っていたのである。しかしながら、搦め手とわかりきっているこの白緑色の光線群に対して、アンドレイ=ラプソティは構い過ぎたと言って過言ではなかった。
実際のところ、アンドレイ=ラプソティはダン=クゥガーにオモチャにされていた。そのオモチャにされているという感覚がアンドレイ=ラプソティをイラつかせた。そして、そのイラつきがますます、アンドレイ=ラプソティから冷静さを失わせていく……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる