【R18】聖女の思春期奇行列伝 ~創造主は痛みを快楽に変える変態を創り出す~

ももちく

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第17章:ミハエル救出

第4話:外道との対峙

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「別にタイマン勝負をしなけりゃならない理屈なんて、どこにもねえだろ」

 さすがは怠惰の権現様である。ルールを自分たちで作っていることを的確に指摘する。怠惰の権現様はそもそもとして、そういうルールにのっとって行動することはおろか、ルールを規定することも面倒くさがる部類の悪魔だ。

 ハッとわれに返ったアンドレイ=ラプソティとアリス=アンジェラは何故にこんな外道相手にわざわざサシで勝負しなければならないのだろうかと思い直すことになる。しかしながら、この判断が後々、仲間たちの行く末を決めることになる。

「俺は2人がかりでも構わん。どうせなら全員でかかってこい」

「おい。ちょっと今の発言にはイラッときたぞ。我輩も混ざっていいか?」

「それはさすがに御免被ります。私たちがピンチになったら、颯爽と現れるヒーロー役をお願いします」

「いくら外道相手でも、可憐な美少女半天半人ハーフ・ダ・エンゼルと、天界の十三司徒、それに七大悪魔。さらにはその他が加わっては、ギャラリーもドン引きの事態になるのデス」

「ちょっと待つのでッチュウ。自分は仮にも天界の騎乗獣であるケルビムなのでッチュウ。神の御座とも呼ばれる自分をその他大勢に数えるのはやめて欲しいでッチュウ!」

「あ、あちきはただの半猫半人ハーフ・ダ・ニャンなので、この醜い言い争いには参加しませんニャン」

「ほ~う? ミサ殿とは違い、わらわは大妖狐の血を継ぐ、齢300を数える半狐半人ハーフ・ダ・コーンのヨーコ=タマモじゃぞ? エイコー大陸の東国では、未だに子供を寝かせつける時に、言われる名じゃ。そこの半猫半人ハーフ・ダ・ニャンのようなその他には混ぜないでほしいのじゃ」

「ちょっと待ってほしいニャン! それだと、その他大勢があちきひとりになってしまいますニャン! 仲間外れは嫌ですニャン!」

 喧々囂々けんけんごうごうと、自分は腕に覚えがあると言い争うアンドレイ=ラプソティたちに向かって、さも毒気を抜かれてしまいそうになるミハエル=アレクサンダーであった。自分は悪役らしいことをしたという自負がある。そして、それに見合うだけの呪力ちからを悪魔皇:サタンから与えられた。

 だが、その想いとは裏腹に、眼の前の連中はどうでもいいことで言い争っている。お前たちが真に敵意を向けなければならない相手は自分のはずだと思い始める。それゆえに、まずはあの喧騒を黙らせることにした。

 ミハエル=アレクサンダーは右手に持っている長剣ロング・ソードを天に向かって、突き上げる。それと同時に長剣ロング・ソードから稲光が発せられ、その稲光は地上から上空へと落ちていくのであった。さらには大空の一点を穿ったかと思ったその稲光は地面に対して水平方向へと広がりを見せる。

 その途端、黒々とした雷雲が大空を覆い隠し始める。だが、それでもそんな事態を無視している形を成しているアンドレイ=ラプソティは、頭上から太い1本の落雷が堕ちてくることに気づくことが遅れてしまうのであった。

「うひょぉ。さすが外道様。俺たちが誰から、てめえの顔面に右のこぶしを叩きこむかって話をしている最中に攻撃してくるとはなぁ!!」

「さすが外道なのデス。ここは一致団結して、皆で仲良く、あいつの顔に右のストレートをぶち込むのデス!!」

「彼は外道ですが、レオンと瓜二つの顔をしてますので、殴るのに戸惑いを覚えてしまいそうですね」

「そこは愛で乗り切るべきでッチュウ! 愛のこぶしは、創造主:Y.O.N.N様も暴力だとは言わないのでッチュウ!」

「あわわわ。あちきはやっぱりその他大勢という扱いで良かったのかもしれないニャン……」

「ほんにのう。ヒトの身で神鳴りを操るとなると、さすがのわらわも骨が折れそうじゃて。しかしながら、どこぞの半猫半人ハーフ・ダ・ニャンと同じ扱いをされても困るしのう」

 ミハエル=アレクサンダーは大空からぶっとい落雷を落としたのだが、それに気づいたコッシロー=ネヅが魔術障壁マジック・バリアを展開して、皆に落雷が直撃しないように防いだのであった。コッシロー=ネヅは普段はただの天界の騎乗獣であるが、アンドレイ=ラプソティたちの中で、一番、戦いの機微に聡い。コッシロー=ネヅが展開した魔術障壁マジック・バリアは落雷の一撃で、ガラスが割れるが如くに割れ砕けることになるが、そもそもとして、今の不意打ちを防ぐだけで良かったのである。

神聖なる息吹ホーリー・ブレスを喰らえでッチュウ!」

「あっ、てめえ、抜け駆けは汚ねえぞっ!」

 ベリアルは攻撃を開始したコッシロー=ネヅに非難の言葉を浴びせるが、コッシロー=ネヅは聞いてられるかとばかりに無視を決め込む。背中から生える天使の4枚羽を大きく翻し、その4枚羽で外気から神力ちからを吸い取る。

 そして、気合一閃、大きく開いた獣の口から、神聖なる爆風をミハエル=アレクサンダーに向かって、吹き付けた。ミハエル=アレクサンダーは左手を前へと突き出し、真正面からコッシロー=ネヅが吹きつけてきた神聖なる息吹《ホーリー・ブレス》を受け止める。

 不思議なことに、ミハエル=アレクサンダーの左手の前方、十数センチュミャートルの地点で、コッシロー=ネヅが口から噴き出した神聖なる暴風は、その行方を四方八方へと飛び散らかしたのである。コッシロー=ネヅはムッといった面白くない表情となってしまう。

「たかだか獣一匹のブレスで、俺がどうにかなると思われるのは癪に障る」

「ふん。武器は右手に持つ長剣ロング・ソードのみでは無かったということでッチュウね」

 もう1度言うが、コッシロー=ネヅは戦いの機微に聡い天界の騎乗獣である。ミハエル=アレクサンダーという外道が右手に持つ神鳴りを生み出す長剣ロング・ソード1本で、自分たち全員を相手にするとは到底思えなかった。だからこそ、何か他にも持っていないかを確認するために、大仰な神聖な暴風を口から吹き付けたのである。

 コッシロー=ネヅの考えは正しかった。しかしながら、それは半分までだ。ミハエル=アレクサンダーが左手に持つ鏡のような輝きを持つ白緑色の盾は、何も攻撃を防ぐだけでは無かったのである。

「藪をつついて蛇を出す。この場合、この表現が正しい気がしますね」

「冷静な解説、ありがとうでッチュウ! こりゃ、まいったのでッチュウ!」

「んや。悪いことばかりじゃねえぞ。あれは悪魔宰相:ベルゼブブが天界戦争のどさくさに紛れて、天界から盗んできた『メデューサーの盾』だっ! あの盾の正体がわかっただけでも、儲けモノってやつだ!」

「悪しきモノも、善きモノも弾いてしまうガラクタと呼ばれている『メデューサーの盾」デス。ベリアルには何か、あの盾の攻略方法を思いついたんデスカ?」

「そんなのわかれば、気苦労は無いってのっ! 相当、厄介なシロモノだとわかったことが喜ばしいって話だ。冷静にツッコンでくるんじゃねえよ、アリス嬢ちゃんよっ!!」
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