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第20章:巣立ち
第4話:好きと嫌いの関係
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話の時間軸を少し説明しよう。アリス=アンジェラたちがレオンハイマートオートの地で、悪魔皇:サタンと対峙してから2年経つ。その間に、ミハエル=アレクサンダーが次代の帝になったり、ヨーコ=タマモがミハエル=アレクサンダーの教育係兼妃となる。その間、アリス=アンジェラと怠惰の権現様は裏に表に活躍し、その功績が認められて、神聖マケドナルド帝国歴7年の1月5日に2人揃って、大将軍の地位をミハエル=アレクサンダー帝から与えられることになる。
それからさらに3カ月が過ぎ、ミハエル=アレクサンダー帝主催の闘技大会が円形闘技場で行われた。そこに現れた不届き者が、アリス=アンジェラに決闘とプロポーズを申し込み、その不届き者は運命のいたずらか、アリス=アンジェラの部下としておさまったのだ。
アリス=アンジェラとしては、不平不満をコッシロー=ネヅに散々言うが、コッシロー=ネヅは頑なにロック=イートを保護する立場を取ったのである。アリス=アンジェラとしては、これ以上、面白くないことなど無かった。アリス=アンジェラは自室に併設されている風呂場で、鍛錬後の汗を流した後、ベッドに備え付けてある枕を壁に叩きつけたのである。
身体に纏わりつく汗と埃はお湯で洗い流せたが、どうしても、もやもやとした気持ちを洗い流すことは出来なかった。アリス=アンジェラは、こんな時は自慰をして、さっさと布団を頭から被って寝るのが一番だと思った。そんな自慰にふけるアリス=アンジェラの脳裏に浮かんだイメージ上の男がロック=イートであったために、アリス=アンジェラはますます憤慨してしまう。
「どうして、あの唐変木が脳裏をかすめるのデスカ! ボクはあいつにこれっぽちも気がないのデス!」
アリス=アンジェラは気分を害されたとばかりに、またしても枕を壁にぶち当てる。外で待機していた侍女たちが、アリス=アンジェラの様子窺いに部屋の中へとやってくる。その侍女たちの中でも、アリス=アンジェラの一番のお気に入りであるクオン=ズィーガーがお姉さんよろしくといった感じでアリス=アンジェラの愚痴を聞くのであった。
「そういう時に出てくる顔っていうのは、アリス様が、その殿方を好いているからではありませんの。好きの反対は『嫌い』ではありません」
「なるほどなのデス。無関心とはよく言ったものデス。どうとも思っていない相手だと、どうやっても、口には出せないことをしている最中に頭の中に出てくるわけがないのデス」
「はい。アリス様がおかしいわけではありませんわ。わたくしだって、せっかくイケメンを想像していたら、怖気や吐き気を覚える相手が脳裏に浮かぶことがありますの。アリス様は正常ですわ」
「安心したのデス! もし、今度、あいつの顔が浮かんだら、あいつをオカズにして、押し倒してやるのデス! クオン、ありがとうなのデス!」
「はい。では、また行為に戻ってくださいまし。でも、アリス様のあの結界は忘れずにお願いいたしますわ」
アリス=アンジェラのお気に入りの侍女はそう言うと、またしてもアリス=アンジェラのために用意された部屋から退出するのであった。アリス=アンジェラは静寂の冥宮を使用できるので、侍女たちが部屋の中で作業していても、さして問題ないのだが、気を散らせるような行為を侍女がしてはならぬということで、アリス=アンジェラのお気に入りの侍女であるクオン=ズィーガーは、人払いをするのであった。
なかなかにアリス=アンジェラは出来た侍女をあてがわれたものだと、ヨーコ=タマモに対して、感謝の念を抱く他無かった。同性の悩みは、やはり同性に限るとはこのことであろう。異性の場合は、兎に角、問題に発展しやすいのである。アリス=アンジェラがある日、突然、赤ちゃんを授かりマシタ! と言われては困るのがヨーコ=タマモであったことも否めない。
そんな周りの思惑は置いておいて、アリス=アンジェラは自分で自分の腹奥から沸き起こる熱を放射させる行為にふける。アリス=アンジェラの運の良かったことは、いつでも出てくるなら出てきやがれ! と思っていたことであろう。幽霊やお化けもそうなのだが、出てこいと願うと逆に出てこないことが多々あるのだ。アリス=アンジェラは満足感に包まれながら、その日はご就寝となる。
ロック=イートの一件から1週間後のことである。アリス=アンジェラは兵士たちの午前の調練を終えた後、ベリアルたちに誘われて、首都:ヴァルハラントのとある飲食店へとやってきていた。ベリアルは午後からの調練があるというのに、飲食店のマスターに酒を持ってこいと豪語するのであった。
「ベリアル。あなたというひとは、なんでそんなに不真面目なのデス?」
「職務を放棄しないだけマシと言ってくれ。なんで、我輩が朝は鶏が鳴く時間に起きて、さらには男がずらっと並ぶところで、檄を飛ばしまくらければならんっ!」
「チュッチュッチュ。路銀も寂しいと言うことで、ヨーコ=タマモの口車に乗せられたのが、ベリアルの最大の失敗だったッチュウね。ヨーコは最初からベリアルの戦力をあてにして、神聖マケドナルド帝国の軍備を整えるつもりだったのでッチュウ」
怠惰の権現様が、何故、真面目に働いているかと言うと……。金づるであったアンドレイ=ラプソティが行方不明になってしまったことが大きい。アンドレイ=ラプソティの財布はレオン=アレクサンダー帝が崩御なされた後でも、神聖マケドナルド帝国の国庫と直結していたのである。だからこそ、ベリアルはアンドレイ=ラプソティとの旅路において、路銀に困ることは一切無かった。
もちろん、ベリアルはベリアルで多少の金を持ってはいたが、神聖マケドナルド帝国の首都に到着した頃には、すっかり財布の中身が寂しくなっていたのである。無論、ベリアルは路銀が尽きた時点で、魔界に帰るという選択肢はあったのだが、地上界でアリス=アンジェラがアンドレイ=ラプソティの行方を追うと言い出し、さらには自分はアリス=アンジェラの第二保護者として名乗りをあげたのだ。自業自得と言ってしまえば、それまでだが、アリス=アンジェラをひとりにしなかったのは、ベリアルの英断であったとも言えよう。
アンドレイ=ラプソティが天使長:ミカエルの手で、どこかへと転送されたその日から、アンドレイ=ラプソティの捜索は続けられているのだが、2年以上の月日が経った今となっても、アンドレイ=ラプソティは絶賛、行方不明のままであった。その長くて短いような年月の間、ベリアルやアリス=アンジェラたちは、地上界で生活せねばならない。金づるのアンドレイ=ラプソティが居ない以上、自分で日銭を稼がねばならなくなってしまったのだ。
そして、ミハエル=アレクサンダー帝の妃と相成ったヨーコ=タマモが、アリス=アンジェラたちの窮状を救うことになるのだが、さすがはヨーコ=タマモである。彼女は利用出来るものならば、とことん利用しつくしてやろうとする女狐であったのだ……。
それからさらに3カ月が過ぎ、ミハエル=アレクサンダー帝主催の闘技大会が円形闘技場で行われた。そこに現れた不届き者が、アリス=アンジェラに決闘とプロポーズを申し込み、その不届き者は運命のいたずらか、アリス=アンジェラの部下としておさまったのだ。
アリス=アンジェラとしては、不平不満をコッシロー=ネヅに散々言うが、コッシロー=ネヅは頑なにロック=イートを保護する立場を取ったのである。アリス=アンジェラとしては、これ以上、面白くないことなど無かった。アリス=アンジェラは自室に併設されている風呂場で、鍛錬後の汗を流した後、ベッドに備え付けてある枕を壁に叩きつけたのである。
身体に纏わりつく汗と埃はお湯で洗い流せたが、どうしても、もやもやとした気持ちを洗い流すことは出来なかった。アリス=アンジェラは、こんな時は自慰をして、さっさと布団を頭から被って寝るのが一番だと思った。そんな自慰にふけるアリス=アンジェラの脳裏に浮かんだイメージ上の男がロック=イートであったために、アリス=アンジェラはますます憤慨してしまう。
「どうして、あの唐変木が脳裏をかすめるのデスカ! ボクはあいつにこれっぽちも気がないのデス!」
アリス=アンジェラは気分を害されたとばかりに、またしても枕を壁にぶち当てる。外で待機していた侍女たちが、アリス=アンジェラの様子窺いに部屋の中へとやってくる。その侍女たちの中でも、アリス=アンジェラの一番のお気に入りであるクオン=ズィーガーがお姉さんよろしくといった感じでアリス=アンジェラの愚痴を聞くのであった。
「そういう時に出てくる顔っていうのは、アリス様が、その殿方を好いているからではありませんの。好きの反対は『嫌い』ではありません」
「なるほどなのデス。無関心とはよく言ったものデス。どうとも思っていない相手だと、どうやっても、口には出せないことをしている最中に頭の中に出てくるわけがないのデス」
「はい。アリス様がおかしいわけではありませんわ。わたくしだって、せっかくイケメンを想像していたら、怖気や吐き気を覚える相手が脳裏に浮かぶことがありますの。アリス様は正常ですわ」
「安心したのデス! もし、今度、あいつの顔が浮かんだら、あいつをオカズにして、押し倒してやるのデス! クオン、ありがとうなのデス!」
「はい。では、また行為に戻ってくださいまし。でも、アリス様のあの結界は忘れずにお願いいたしますわ」
アリス=アンジェラのお気に入りの侍女はそう言うと、またしてもアリス=アンジェラのために用意された部屋から退出するのであった。アリス=アンジェラは静寂の冥宮を使用できるので、侍女たちが部屋の中で作業していても、さして問題ないのだが、気を散らせるような行為を侍女がしてはならぬということで、アリス=アンジェラのお気に入りの侍女であるクオン=ズィーガーは、人払いをするのであった。
なかなかにアリス=アンジェラは出来た侍女をあてがわれたものだと、ヨーコ=タマモに対して、感謝の念を抱く他無かった。同性の悩みは、やはり同性に限るとはこのことであろう。異性の場合は、兎に角、問題に発展しやすいのである。アリス=アンジェラがある日、突然、赤ちゃんを授かりマシタ! と言われては困るのがヨーコ=タマモであったことも否めない。
そんな周りの思惑は置いておいて、アリス=アンジェラは自分で自分の腹奥から沸き起こる熱を放射させる行為にふける。アリス=アンジェラの運の良かったことは、いつでも出てくるなら出てきやがれ! と思っていたことであろう。幽霊やお化けもそうなのだが、出てこいと願うと逆に出てこないことが多々あるのだ。アリス=アンジェラは満足感に包まれながら、その日はご就寝となる。
ロック=イートの一件から1週間後のことである。アリス=アンジェラは兵士たちの午前の調練を終えた後、ベリアルたちに誘われて、首都:ヴァルハラントのとある飲食店へとやってきていた。ベリアルは午後からの調練があるというのに、飲食店のマスターに酒を持ってこいと豪語するのであった。
「ベリアル。あなたというひとは、なんでそんなに不真面目なのデス?」
「職務を放棄しないだけマシと言ってくれ。なんで、我輩が朝は鶏が鳴く時間に起きて、さらには男がずらっと並ぶところで、檄を飛ばしまくらければならんっ!」
「チュッチュッチュ。路銀も寂しいと言うことで、ヨーコ=タマモの口車に乗せられたのが、ベリアルの最大の失敗だったッチュウね。ヨーコは最初からベリアルの戦力をあてにして、神聖マケドナルド帝国の軍備を整えるつもりだったのでッチュウ」
怠惰の権現様が、何故、真面目に働いているかと言うと……。金づるであったアンドレイ=ラプソティが行方不明になってしまったことが大きい。アンドレイ=ラプソティの財布はレオン=アレクサンダー帝が崩御なされた後でも、神聖マケドナルド帝国の国庫と直結していたのである。だからこそ、ベリアルはアンドレイ=ラプソティとの旅路において、路銀に困ることは一切無かった。
もちろん、ベリアルはベリアルで多少の金を持ってはいたが、神聖マケドナルド帝国の首都に到着した頃には、すっかり財布の中身が寂しくなっていたのである。無論、ベリアルは路銀が尽きた時点で、魔界に帰るという選択肢はあったのだが、地上界でアリス=アンジェラがアンドレイ=ラプソティの行方を追うと言い出し、さらには自分はアリス=アンジェラの第二保護者として名乗りをあげたのだ。自業自得と言ってしまえば、それまでだが、アリス=アンジェラをひとりにしなかったのは、ベリアルの英断であったとも言えよう。
アンドレイ=ラプソティが天使長:ミカエルの手で、どこかへと転送されたその日から、アンドレイ=ラプソティの捜索は続けられているのだが、2年以上の月日が経った今となっても、アンドレイ=ラプソティは絶賛、行方不明のままであった。その長くて短いような年月の間、ベリアルやアリス=アンジェラたちは、地上界で生活せねばならない。金づるのアンドレイ=ラプソティが居ない以上、自分で日銭を稼がねばならなくなってしまったのだ。
そして、ミハエル=アレクサンダー帝の妃と相成ったヨーコ=タマモが、アリス=アンジェラたちの窮状を救うことになるのだが、さすがはヨーコ=タマモである。彼女は利用出来るものならば、とことん利用しつくしてやろうとする女狐であったのだ……。
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