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7章 終わりの足音
4 はじまり ※
しおりを挟む部屋に入った途端、昂世は廊下に荷物をどさりと置いて水上を抱き寄せると、すぐさま唇を奪った。
「んっ……ふっ……ちょ、ちょっと宮城くん」
静止されたものの、何故か止めることができなかった。
それはきっと部屋に入った途端、水上の甘い匂いがむせ返るように鼻に届いたからだと思えた。いいよと言わんばかりの発情したΩの匂いに、まるで頭を殴られるような衝動を受けていた。
昂世は廊下の壁に水上を押し付けて、ふたたび口付けた。
優人と須藤はすでに終わりを迎え、もう演技ではなく我慢する必要もなくなっていた。ここからは、宮城昂世と水上周の愛の時間だった。
水上は熱に浮かされたように柔らかな微笑みを浮かべて、須藤とは違う余裕のある表情で昂世を受け入れた。覆うような口全体のキスから舌が交わって、ぴちゃりといやらしい水音が上がる。
思わず腰が溶けてしまうような感覚に、昂世はたまらなくなった。そして無意識に手は水上の白い胸元に伸びてしまう。
このとき水上が白いバスローブを着ていることに気付いた昂世は、夢中になって腰紐を引いた。すると突然あらわになったのは、剥き出しの水上の身体だった。
「えっ……」
下着は何一つ身につけていなかった。
ふっくらと弾力のありそうな胸には、すでに勃ち上がったふたつの乳首が主張していた。そして見覚えのある腹の下へと視線を下ろすと、これまで前張りで隠されて見えなかった水上自身があった。
自分のものと比べると、少し小さく可愛らしかった。しかしすでに上を向いてぴくんと震えながら、その先端から糸を流していた。
もちろんその奥に隠された秘孔からはそれ以上の愛液が流れ、すでに腿の内側から足を伝い流れ落ちていた。
――やばい……エロすぎる。
愛する人の裸体に昂世が静止していると、水上はふふ、と笑った。
「見すぎでしょ」
「だって……俺がどれだけ見たかったか、水上さん知らないでしょ」
昂世はそう言って水上の腰を抱き寄せると、男のものとは思えないくらいふっくらとした胸に顔を埋めた。まるでαを喜ばせるためと思える甘い香りに、何も考えられなくなりそうだった。
「正直やばいです。エロすぎ」
「……しょうがないだろう?好きな君とようやく本当に身体を触れられるんだから」
確かに水上の言う通りだった。
今までは仕事で、基本脚本に書いてあることをなぞるようにやっていた。しかし、これからはもうそんな縛りなく思う存分互いを愛せるのだ。
水上の手が服を脱がせようとするので、昂世も自らそれを脱ぎ捨てた。そしてふたりは裸体を絡めるようにまぐわい合いながら、再び熱烈な口付けを交わした。
今度は触れあう肌が蕩けるように熱く熱を持った。昂世の手は気付けば水上の全身をまさぐっていた。そして尻を掴んだところでとある異変に気付いた。
「…………あれ」
「ん?」
「なにか、入れてます?」
すでにびちゃびちゃになった秘孔の中から伸びる紐のようなものがあった。水上は思い出したようにはっとして答えた。
「……ああ!そうだ、それ用の吸収体を入れてたんだ。これ入れとかないと、本番中も宮城くんに反応してやばかったから。……ほら」
そう言って、こちらに向けた割れ目の間からは、湿った白い紐が垂れ下がっていた。
その想像もしなかった扇情的な光景と、封をしているにも関わらず濡れている事実に、昂世は思わず言ってしまった。
「水上さん……エロすぎでしょ」
「もう抜いていいよ――んっ」
紐を引っ張るとぶちゅんと音を立ててそれは下に落ちた。そして穴は決壊したかのようにとろとろと愛液を流し始めた。
昂世はその甘い香りに引き寄せられるように、尻の間へ顔をすぼめた。
「み、宮城くん、何してるの!」
そう言われるも、穴を弄る舌を止められなかった。
答える余裕がないほど、愛液は甘く昂世を夢中にさせた。また顔を埋める水上の尻も、男のものとは思えないほど柔らかく顔と手で堪能してしまう。
「あっ……や、やめて……んんっ」
昂世は、徐々に水上の反応が変わっていることに気付いていた。すでに顔は火照っており目もとろんとしていて、両の乳首は赤くびんびんに腫れ上がっていた。
秘孔を愛することをやめて、立ち上がってふたつのそれを指で弾く。すると水上はひゃん、と可愛く鳴いたので思わず言ってしまう。
「……気持ちいいですか?」
「……うん。演技の時からわりとやばかったけど、なんだろう……脳溶けそう。もう……だめかも」
そう言って水上はけだるそうに壁に寄りかかって――。
「もう、君が欲しくてたまらないみたい。こっち来て――早く」
そうして手をぐいと引かれ連れられたのは、広々とした寝室だった。
暗い部屋の中央にある大きなベッドの上に乗ると、水上は昂世のものに手早くゴムを被せて、こちらに尻を剥き出しにして言った。
「来て」
昂世はもう何も考えられなかった。
ただ目の前の穴はぱくぱくと物欲しげに震えて、そこからは愛液が流れていて――。
気付けば自分の反り返ったものを穴に突き立てていた。
「――――――っ」
多すぎる潤滑液のせいか、肉棒はすべて飲み込まれて水上の奥へ辿り着いた。その言葉にならない直接的な快楽と温かさに昂世は震えた。同時に耳に入ってきたのは声にならない水上の歓喜の叫びだった。
身体を仰け反らせながらびくびく痙攣して、イきながら締め付けているようだった。穴は早く出せと言わんばかりにきゅうきゅうと昂世自身を絞った。
――まだ少しも動いてないのに……気持ちよすぎる。
これが、本当に好きな人との行為なんだ――そう思っていると水上は言った。
「み、宮城くん……う、動いて……」
そう言われ、返事する余裕もなく腰を動かした。仕事でやった時のように見様見真似だったものの、快楽の波は次第に大きくなり、波動のように昂世に迫った。
おそらくそれは水上もなのだろう。奥へ肉棒を押し込むたび、彼は声を上げていた。
「はぁっ……あんっ……ああっ」
乱れ始めた水上を前に、昂世は快感と同時に愛しさがこみ上げるのを感じた。
いま、水上周とセックスをしている――その事実が嬉しくて、この今を少しでも長く味わいたいと思った。
昂世は尻を差し出していた水上をごろりと返して正面から胸に抱きしめた。そして正常位の体位で激しく腰を振り始めた。
「あっ……あんっ激しっ……待って……待って――宮城くん!」
しかしこのときの昂世の耳には、もう何も聞こえていなかった。
腕の中にいる水上が愛しくて、自分が翻弄しているという事実が嬉しくて。同時に高まる快感を早く吐き出そうと必死だった。
すると水上は突然固まったように静かになって、そして身体を仰け反らせた。
「うっ……――――んんんっ……ああっ」
穴が痙攣し、引きずり込まれるような感覚があって、昂世も思わず達してしまう。
「…………っ」
精を吐き出している間も、中の動きは止まらなかった。もっと出してと言わんばかりの動き方に、昂世は思わず自身を引き抜いた。
「ふっ……はぁっ」
しかしすごい力で、出せたのは昂世のものだけだった。
水上の尻はぷるぷると震えたまま、穴からピンク色のゴムの入口を覗かせていた。それはまるで種を美味しそうに味わうように、上下にぴくぴくと動いている。
昂世がそれを掴みすぽんと引き抜くと、水上は震えた。
「んっ……ふあっ」
愛液でぬめぬめになり精液で膨れ上がったゴムを前に、昂世はすごい量を出してしまったと少し恥ずかしくなる。
しかし下半身の熱はいまだ収まっていなかった。むしろ、棒の根本はさらに太くなっており、またすぐに挿れたい衝動に駆られてしまった。
自分でゴム付けて、息も絶え絶えの水上に口付けを落とし――。
「み、宮城くん?――ああああっ」
穴に突き立てるようにずぶりとねじ込むと、水上は再び大きな声を上げてのけぞった。
「や、待って……宮城くん――あっ」
「すみません……無理です」
そこから何回互いにイってしまっただろう。
昂世は困惑した。出しても出してもきりがなく、熱は落ち着くどころか燃え上がるように復活してしまったから。
――このままでは水上さんに負担をかけてしまうかも。
そう思っていたときだった。水上の手が昂世の肉棒に触れたと思えば、被せたばかりのゴムを取り去ってしまったのだ。
「え?水上さん、待って」
「……聞いたことあるんだ。これが収まらないの……多分生じゃないからだ」
「いや、でも」
「大丈夫。薬飲んでるし、発情期じゃないから生でやっても孕まない。だからほら、このまま挿れて」
愛する人に微笑みながらそう穴を向けられて、拒めるものが一体どこにいるだろうか。
昂世が気付いたときにはもう、感じたこともないないほどの快感が押し寄せていた。頭はぼんやりと何も考えられないのに、腰は勝手に動いていた。そしてその下で水上が悶え悲鳴を上げている。
「ふっ……ううっ……宮城くん、これ、まずいかも。頭飛びそう……うあっ」
「俺も……です。き、気持ちよすぎる」
「んっ……待って……抜いて、抜いて!宮城くん、駄目!」
駄目と言われても、どうしようもできなかった。水上の身体がびくびく痙攣すると同時に、昂世は一番奥へものを押し込んでいた。
これは本能なのだろうか。そう思うほど、身体は勝手に水上の奥にある柔らかいものへ、大量の種を注ぎ込んだ。まるで孕め、孕めと言わんばかりに。
そのままどのくらいそうしていたのだろうか。昂世がようやく正気に戻り、それを抜こうとしたときのことだった。
「あれ……」
「……どうしたの?」
「その……全然抜けなくて。水上さんの穴が咥え込んでるのもそうなんですけど、俺の根本が引っかかっちゃって……水上さん?」
もう体力的に限界なのでは、そう思っていたのに、視線の先の水上は微笑んでいた。
蠱惑的な笑みを前に昂世は気付いた。今、本能に支配されているのは自分だけではないことを。
「いいよ。落ち着くまでここに出して。受け止めるから」
「はい……そうさせて……もらいます」
そうしてこの日、ふたりの身体が離れることはついになかった。
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