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8章 公開へ
6 これからもとなりに ※
しおりを挟むきらびやかな夜景が窓一面に広がるなか。
眩い色とりどりの光芒に照らされたふたりは、電気も付けずにベッドの上でもつれ合いながら、互いの服を脱がせ合った。
そうして裸になり、水上の生まれたままの身体があらわになったとき。その身体もすでに須藤ではなくなりつつあることに昂世は気付いた。
あのだらしなくたるんだ愛らしい身体はもう跡形もなく、筋肉の付いた締まった魅力的なものに様変わりしていた。しかし触れると表面は柔らかく吸い付くようで、愛しい彼のものであることに変わりはなかった。
きっと社長たちとの話し合い直後というのもあるのだろう。髪もきちんと整えられていて、香る男の整髪料と覗く白いうなじに、昂世はくらくらしてしまった。
――もう何なんだ……この人は。
そう思いながら身体に手を這わせて言った。
「もう……須藤じゃないんですね」
「っ……それは君もね。もうすっかり優人じゃなくなった」
水上は昂世の伸びた襟足に触れ、優人だった時よりも伸びた前髪をすくって顔を覗くように髪を耳に掛けた。
――触れられるだけで、なんて気持ちいいのだろう。
昂世がそう思っていると水上はニヤニヤしながら言った。
「ふふふ。ぎらっぎらの宮城くんだね」
「……ぎらっぎらの俺は駄目ですか?」
そう返すと、水上は口元に妖艶な笑みを浮かべた。
「……いや。みんながきゃーきゃー叫ぶぎらっぎらの君にされると思うと……正直やばいね」
「それは俺もですよ――んっ」
突然下半身を鈍い刺激が襲ったと思えば、水上が直接棒に触れていた。
昂世自身を手のひらで包み上下にしごくやらしい手つきに、不意に初めて触れられたときのことを思い出してしまった。
初めての濡れ場が心配でたまらかった自分を、宿の自室で翻弄したとき――水上はまさにあのときと同じ笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「水上、さん……っ……」
「ふふ、早く挿れたくてたまらないって感じだね」
「そうですよ。本当に久しぶりなんですから。あなたと……早く繋がりたい」
「うん……僕も」
水上にぐいと手を引かれてふたりはベッドに倒れ込んだ。そして導かれたその場所で互いの口を貪り合うと、水上は四つんばいになり煽るように孔をこちらに向けて言った。
「来て……」
くぱくぱと誘うように動くそれを見た瞬間、無意識に身体は動いた。そして背後にまわると孔に棒をあてがう。
昂世は水上の入口をちゅくちゅくと擦り焦らしながら、白い背中にキスを落としながらうなじへ向かった。
そこには無傷の、まだ誰にも踏み入れられていない白い首筋があった。
これを噛めば番だ――昂世は思わずごくりと唾を飲んだものの、我に返って冷静になり聞いた。
「今日は……噛んでも番にはならないんですよね」
「そうだね。発情期じゃないからそうはならないだろうね」
お預け、そう言われてしゅんとなるも、しょうがないと昂世は思った。
仕事に支障が出ないよう、薬で徹底的にコントロールしているのだ。だから今すぐに彼は発情しないし、番うこともできない。
ただ、今後番うことができれば、水上は薬を飲んで他人に気を遣う必要がなくなり、より仕事に集中できるようになるのだ。
――これ以上にこの人が仕事に打ち込めるようになったら……一体どれだけ輝きを放つのだろう。
そう思った昂世は口を開いた。
「水上さん……いや、周さん」
「ふふ、どうしたの――昂世くん?」
「……好きです。番になっても、たとえあなたを手に入れたことになったとしても。俺はきっとこれからもずっと、あなたを追いかけ続けるんだと思います」
すると水上は少年のように嬉しそうに笑った。
「いいね。役者冥利に尽きるよ。先輩として期待に応えられるよう、これからも頑張るよ」
昂世は思わず水上を優しく抱きしめた。
愛しくて、大切にしたい気持ちが胸にこみ上げ、そして目の前に近づいた首筋を無意識に噛んでしまった。
もちろん今そうしても無意味だということはわかっていた。このときはただそうしたかったのだ。
すると突然、水上は身体全体を震わせて声なく叫んだ。そして脱力してベッドに身を横たえたと思えば、シーツにどろりとした精を吐き出していた。
「ま、待って……なんで……発情期じゃないのに……」
その初めて見る彼のうろたえる姿に、昂世は情欲が湧き上がるのを感じた。思わず戯れるように再び首筋をべろりと舐めてしまう。
「んあっ……み、宮城くん……ち、違うっ……こう、せい…くん……首、舐めないで……あっあっ……ああっ」
舌が触れるだけで、水上の立ち上がったものが壊れたように揺れて次々と精を吐き出すではないか。
そんなあられもない姿に、昂世は思った。
――食べてしまいたいくらい愛しいって、きっとこういうことなんだ。
これから自分だけにこのような姿を見せるのだと思うと、もうたまらなかった。
気付けば昂世は水上の背にのしかかり、首を舐めながら彼の孔へものをねじ込んでいた。
「――――――ぁっ」
濡れた入口にものが触れた途端、穴は待ちわびたというように弛緩してぐぷりと咥えこんだ。
そのままきゅうきゅうと嬉しそうに中へいざなうので、その直接的な快感に昂世はまた水上の首を噛んでしまう。
すると抱きしめた水上の身体がぷるぷると震え、足をきゅっと縮こませて声にならない声をあげた。
そんな姿がもっと見たくて、昂世は後ろから翻弄しようと腰を動かした。それから逃げようとする水上を身体でおさえこんで、中に自身を打ち付ける。
「ああっ……あんっ……うあっ」
そうして自分にも波のような快感が押し寄せるたび、もっともっとと身体はそれを求めた。そうしてもう自分では止められなくなったころ、穴の中で棒の先端が柔らかなものに触れたことに気付いた。
――ここ、欲しがってる……。
そう確信したのは、そこを先端が掠めると、水上の声が明らかに変わったからだった。
「そこ、だめっ――こうせい、だめ……あっ………ああっ!」
聞いただけでわかる嬌声をあげながら、水上は暴れ始めた。しかしそれはもう昂世の耳には届いていなかった。
孔の中の柔らかいものがちゅぱちゅぱと先端に吸い付くたび、理性を奪われるように思考が失われていく――。
「駄目!あっ……あんっ……や、やめて!」
そんな言葉を無視し、昂世は水上の尻を手で抑え引き寄せた。そしてペニスを孔のもっと奥へと押し込む。
柔らかで、膨れ上がった水上のなかを潰すように力任せに押し当てたとき――。
「あああああぁぁっ……」
水上が絶叫を上げ痙攣した瞬間、やわらかなそこはまるで口を開けたように昂世の先端をずぼりと咥えこんだ。
そんな思わぬ二重の攻撃に、昂世も耐えきれなかった。
「ふっ……う……っ」
全身の力が抜けると同時に、大量の精を中に注ぎ込んでしまった。
心地いい疲労を感じながら昂世はようやく我に返って腕の中の水上に声をかけた。
「周……さん?」
小さく小刻みに息を漏らす水上の身体は、ぴくぴくと痙攣していた。身体も自分の出したものでどろどろに汚れていたものの、その顔は柔らかな笑みを浮かべていた。
水上はこちらに気付くと、とろんとした目を向けたあとで、震える身体を起こしてまた腕の中へ収まった。そうしてぽつりと呟いた。
「これからも……ずっと隣りに……」
水上はそのまま目を閉じてなぜかすうすうと寝息を立て始めてしまったので、昂世は腕に抱いたままふたりでベッドに横になった。
不思議と身体は落ち着いていて、心もすっかり満たされていた。
昂世は眠った水上を抱きしめながら、まるで誓うように静かに言った。
「……はい。ずっとずっと側にいますよ」
夜はまだ明るく、外はきらめいていた。
身体に広がる心地よい疲労に身を委ねながら昂世も意識を手放した。
結局彼らが目覚めるまで、ふたりの身体が離れることはなかった。
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