【完結】若手アルファ俳優の運命は大嫌いなオメガ俳優でした ~インテグラル・スター ~

上杉

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おまけ

バラエティ番組でたまたま共演することになった恋人が格好よすぎるんだが(5)

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 番になったふたりは、抱き合ったまま目を覚ました。

「……周さん」

「昂世くん、おはよ」

「はい、おはようございます」

 そうして再び顔を寄せて口付けて、疲労感のある身体をくっつけ合った。

 ――ついにこの人と番になったんだ。

 水上の白い首筋に赤い歯形がくっきりと浮かび上がっていた。
 昂世はそれをぺろりと舐めてびくんとした水上の身体を抱きしめる。

 ――なんて愛おしいのだろう。

 番となり、自分だけに発情することになった水上の身体。以前よりも確実に細くなった腰に触れながら、昂世は思わず聞いた。

「周さん、そういえば次はどんな役なんですか?」

「役?ええと、作品のジャンルはサスペンスだね。いわゆるバディもので、僕は謎めいた刑事のひとりだ。……そういえば、君現場ですごく驚いてたよね。今回のこと知らなかったでしょ」

「はい……最近ありがたいことに忙しくて、それどころじゃなくて……」

 だからまさか収録で会うことができるなんて思ってもいなかったし、それはこうして番うのも同じだった。
 その喜びを噛みしめるように、抱きしめた腕に力を込める。すると水上はそれに手を伸ばし触れながら言った。

「……またやらしいこと考えてるでしょ」

「ち、違います!この役の周さんきっとかっこいいんだろうなって。共演者の方が……その……羨ましいです」

 昨晩のこの身体はもはやエロすぎた。なのに今、同じもののはずなのに、引き締まっていて格好よく見えた。

 ――須藤静河のだらしない身体もよかったけど。

 これは万人受け間違いない、昂世がそう思っていると、水上はこちらをじろじろと見ながら言った。

「……そう言う君も大概じゃない?」

「え?そうですか」

「そりゃあね。あれだけ目立ってたし、どれだけみんなの悲鳴があがっていたか」

 その言葉に、昂世は思わず、

 ――それは一体誰のせいだと!

 と、声を荒らげた。

「――あれは、あの収録で周さんと全然目が合わなかったから必死だったんですよ!」

 その強い口調に気圧されるように、水上はぽつりと言った。

「それは、君が出口さんと――」

「……え?」

 不意に水上を見ると、何やら言ってはいけなかったことを言ってしまったようで、顔を隠すようにぱっと立ち上がった。

「……なんでもない」

「いや何でもなくないですよ」

 そうして腕を掴み顔をみれば、水上は赤くなっていた。

 ――まさか……出口さんに嫉妬していたりして。

 それならば収録中のあの不思議な位の目の合わなさにも納得がいった。
 同時に昂世は思った。今回の意図しない発情の原因も、実はその心の動きによるものなのでは、と。

「周さん」

「…………何?」

「いや、その…………嬉しいです」

 すると水上は呆れるようにため息をついて言った。

「……はあ。まさか僕で童貞を捨てた君が……ね。こんなに格好よくなって、誰かにきゃあきゃあ言われて。しかも誰かの相手になってるのを見てたら……そりゃあ妬くでしょ」

 昂世はそのストレートな言葉に思わず嬉しくなった。そしてにんまりしていると、水上は恥ずかしそうに言った。

「何で笑ってるの」

「いや、普通に嬉しくて。……今思うんですけど、須藤静河って結構水上さんの素に近かったんじゃないですか?」

 突然そんなことを言われ、水上は反射的に言う。

「……なんで突然。それに何故そう思ったの?」

「……なんとなくです」

 昂世の返答に、水上はまた一つため息をついた後で部屋から出ていこうとした。しかし入口で足を止めて振り返り、なぜかこう言った。
 

「……君はさ、優人とは随分違うよね」

「そうですか?」

「ああ。優人はさ、生き急いでいてもう必死じゃないか」

 その言葉に思わず笑う。

「え、それは俺が必死じゃないみたいじゃないですか」

「そんなことは言ってない。彼が静かに燃える炎なら……きみは澄み切ってそこにただ在る水だね。すべてを受け止めて、受け入れるような」

「……そうですか?」

「ああ。会ったときから、なんて優しい顔をする人間だろうと思ったよ」

 その突然の告白にら昂世は嬉しくなる。

「ふふっ。そんなこと思ってたんですか」

「ああ。ずっとね」

 こちらに向けられた水上の眼差しが、その時の長さと思いの強さを物語っているように思えた。
 昂世は思わず恥ずかしくなり、顔を背けてしまう。

「……なんで突然。照れます」

「いいだろう?君は何やら疑り深いみたいだし」

 そう言われ、水上に詰め寄られたときだった。突然、部屋の隅に放ってそのままになっていた自分の鞄から、スマホの振動音が聞こえた。

「そんなこと――あ、電話……波多野さん、マネージャーです!出ます!」

 お疲れ様です――そう話し始めた昂世を見ながら水上は思った。

 確かに自分は彼の言う通り、須藤静河によく似ていた。
 仕事に対して熱心だった須藤は、それ以外のことについてはまるで諦めていた。自分はそんな彼とまるで同じで、仕事以外のプライベートについて、少しも考えていなかった。
 だから演じていて役に同調していたところはあった。
 そして次第に撮影が進んでいくことで、須藤の凝り固まった心が中谷優人によって解きほぐされていったように。自分の頑なだった心も宮城昂世によって少しずつ――。

「ふふ……君のおかげだな」

「?今、俺に何か言いました?」

 通話を終えこちらに向かって首を傾げる昂世に水上は笑顔を向けた。

「はは。何でもないよ。……強いて言えば昂世。君のことが好き、それくらいかな」

「そんなこと、もう十分わかってますよ」

 二人は笑って寝室を出た。
 部屋の中にも関わらず手を繋いだまま、番として確かに繋がった身体と心を、互いに感じ合うように。

(終)
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