【完結】ダンスパーティーで騎士様と。〜インテリ俺様騎士団長α×ポンコツ元ヤン転生Ω〜

亜沙美多郎

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spin-offージェイクと騎士ー

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 タイミングよくベルガルドさんと会えた。
 丁度宿舎に帰ってきたところだった。

 ルイと今日、一緒に出かけるのを唯一知っている人でもある。話が早い。

「またか……」
 ベルガルドさんはため息を吐いた。
「よく、あるんですか?」
「そうだな。あまり体が強い方ではないようだ。だから尚更、騎士団の中で浮かないように気を使いすぎてるように感じるんだ」

 ベルガルドさんからすれば、あれだけ真面目に職務に取り組んでいれば、仕事を休もうが文句など言わないだろうに、と言っていた。

「ルイは過剰なまでに周りを気にしている。たまに無理して笑っているなって分かる時もある。そんな時はリラックスしろと言うんだがな」
「ルイの性格上、それは無理そうですね」
「ジェイク、休日は敬語を使わない約束だろう?」

 ベルガルドさんがニヤッと笑う。

「あっ、またやっちゃった。どうしても仕事の癖が抜けないんだ」
「今度から罰ゲームでも考えようかな」
「それは勘弁して。苦手なんだ」
「ほう、ジェイクにも苦手なものなんてあるんだな」

 そんなのいくらでもあると言っておいた。
 実際、器用に見られがちだが、本当は苦手なことを隠すのが上手いだけだ。
 
「俺のことより、ちょっと頼みたいんだけど」
「おっ、話を逸らしたな? 何だ?」
「リアム様に会いたいんだ」
「また、そんなトップに何を言うつもりなんだ?」

 ベルガルドさんは、ルイがオメガだとは気付いていない。
 詳細を言うわけにはいかない。
 全てを話せるのは、リアム様だけだ。

 俺が言葉を濁していると、ベルガルドさんは何かを察したようだった。

「いつも器用なジェイクがそんなんじゃ、余程のことなんだろう? すぐに連絡を取ってくるよ」

 俺の肩をポンポンと軽く叩きくと、すぐに動いてくれた。

「ホテルに行くよう伝えておくぞー?」
 言いながら既に立ち去っている。
 きっと騎士団員としても優秀な人材なのだろう。

 後ろ姿が逞しい。リアム様にも一目置かれてそうだと思いながら、踵を返した。


 ホテルに帰ると、またすぐに医務室へと出向く。

「先生? ルイはどう?」
「よく眠っているよ」
「仕事はとりあえず、一週間休めるよう手配してきた。ここでしっかり療養させてくれる?」

 勿論だよ、と先生が言う。
 俺が騎士団の宿舎へ行っている間に、点滴を丸々二本流し、今三本目を流しているそうだ。

「薬を排出させるための点滴だ。あんな薬を続けていたら、肝臓が機能しなくなってもおかしくない」
「他に良い薬はない?」
「あるある。起きたらそっちを薦めるさ」

 困ったもんだ、と頭をポリポリ掻いている。

 やはり早く言ってくれれば良かったのに……なんて思ってしまった。
 先生なら知識も豊富だし、的確なアドバイスももらえる。

 この一週間、先生に診てもらえば安心ではあるけど……。

 先生は、こんなに強い薬を使っていると言うことは、ヒートを起こしやすい体質なんじゃないか? と言っていた。

 それだとすると、余計に騎士団員として働くのは危険だ。

 リアム様が来てくれたら、しっかりと話し合わなければならない。

 ルイのことは先生に頼み、医務室を出た。

 受付にミーティングルームを一室、押さえてもらった。
 本物のリアム様と話すのは初めてだ。
 物分かりの良い人だと願っている。
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