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第一章
2. 騒がしい午後と屋上
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朝のチャイムが鳴るより前から、教室は落ち着きを失っていた。
卒業式が目前に迫った時期特有の浮ついた空気。机の列のあいだを絶え間なく人が行き来し、笑い声と呼び声と椅子の軋みがごちゃまぜになって押し寄せてくる。
黒板には「卒業まであと○日」と誰かが書き残した落書きが白く残り、隅には色あせたポスターが斜めに貼られている。けれどそんな些細なものさえ、今は喧騒にかき消されて誰の目にも入らない。
俺の席も、その渦中にあった。
机を囲むようにして女子たちが群がり、伸ばした手が制服の胸元を狙ってくる。
「一ノ瀬くん、第二ボタンちょうだい!」
「早い者勝ちだから! 抜け駆け禁止ね!」
「写真、一枚だけでいいから! お願い!」
同時に三方向から引っ張られて、鞄のストラップが肩からずり落ちかける。俺は苛立ちを抑え、舌打ちしそうになる唇をかろうじて笑みに変える。
ここで強く拒めば、余計に面倒になる──経験で知っていた。俺にとってはただの卒業前の雑事だが、彼女らにとっては一生ものの「記念」らしい。
「はいはい、落ち着けって。順番な」
軽く手を挙げ、場を宥める。視線が集まるのは、慣れきった感覚だ。俺は昔からそうだった。
その少し先。教室の中央に近い辺りでは、佐伯が別の喧騒の渦に呑まれていた。
彼はバスケ部のエース。背が高く、爽やかな笑顔を浮かべれば男女問わず人気がある。
「佐伯くん、進路どこ行くの?」
「試合のDVDまだある?」
「サインちょうだい!」
「最後に一緒にシュート練習して!」
一斉に飛んでくる声。腕を掴まれ、背中を叩かれ、ノートを差し出され。
佐伯は困ったように笑い、「ちょ、待って待って。順番、順番な」なんて言いながら、それでも一人ひとりに誠実に答えていた。
汗の匂いがまだ抜けきらないジャージ姿の後輩たちが廊下から顔を覗かせているのが見える。スポーツ万能で、正真正銘の人気者。それが佐伯だ。
一方、窓際の方では水野が女子の輪に取り囲まれていた。
「水野先輩、今日も可愛い……!」
「卒業しちゃうの、嫌です……」
「最後に一緒に写真撮ってください! 保存用と投稿用で二枚!」
後輩女子たちが目を潤ませ、スマホを握りしめながら訴える。
水野は金髪混じりの髪をかき上げて、スマホを片手に「はいはい、落ち着きなって。順番守んなきゃダメでしょ」なんて笑っている。
「タグ付けいいですか?」
「アイコンにしてもいいですか?」
「あの、わたし本気で好きで……」
声が次々重なり合う。
その様子は、アイドルの握手会さながらだった。カメラのシャッター音と女子の歓声が一瞬にして重なり、ドラマチックな光景に変わる。
水野は器用に画面を操作しながら、次々にポーズを作っては撮らせ、撮ったそばから加工してSNSにアップしていた。
「はい、こっち見てね。……はい、盛れた! 次の子!」
そのテンポの良さに、さらに黄色い声が上がる。
……教室全体が、忙しない。
笑い声と呼び声とシャッター音。窓の外の風の音すらかき消されるほどの喧騒。
誰もが誰かと繋がろうとして、ひとときも止まらない。
そのなかで──ただ一人だけ、動かないやつがいた。
リンだ。
教室の後ろ、少し離れた机に肘をつき、静かにこちらを見ている。
声を出さない。誰とも喋らない。まるで騒音の海から切り取られた、別世界の存在みたいに。
瞳はただ俺を追っている。その奥に、計算の光が宿っているように見える。
──なにやってんだ、あいつ。
昨日の告白を思い出す。変な冗談。真に受ける価値もない。
……なのに。
いつもなら当然のように俺の隣にいて、肩を並べていたやつが、今日は教室の端にいる。
その距離が、わずかに俺の背筋をざらつかせた。
まさか、昨日の告白の影響?
冗談だったはずだ。そう思って処理した。
それでも、いつもの場所にいないことが、気にかかる。
「一ノ瀬ー! ほら早く!」
「写真! みんなで撮ろ!」
「次は私!」
また腕を引っ張られ、思考は簡単に流された。
俺には俺の喧騒がある。リンがどこにいようと関係ない──そう思い込むことにして、また笑顔を作った。
窓の外では、春の風に桜の枝が揺れている。
ざわめきと笑い声の中で、俺はほんの一瞬だけ、遠くに座るリンの目の色を意識した。
けれどすぐに、人波と声に呑み込まれ、その感覚は消えた。
* * *
卒業式が間近に迫っても、教室の喧騒は鎮まるどころか増す一方だった。
呼び声、笑い声、写真のシャッター音。騒がしさに揉まれる毎日から逃れるように、俺たちはいつもの場所へ向かう。
屋上。
本来は立入禁止だが、俺だけは特別に許されている。教師から渡された鍵は、ポケットの奥でいつも冷たい感触を保っていた。
「一ノ瀬なら大丈夫だろ」──そう言われて渡されたもの。家の名と態度、両方の裏付け。公式的な甘やかし。
昼休み。鉄の扉を押し開けると、空気が一変する。
廊下に溢れていた声の波は一瞬で背中に落ち、代わりに冷たい風が頬を撫でた。
フェンスの向こうに広がるのは、校庭と街並み。
サッカー部の掛け声が小さく聞こえ、ボールが芝に弾む乾いた音が重なる。テニス部のラリーの音が軽快に響き、時折ホイッスルが高く割り込む。遠くでは電車が橋を渡り、低い振動が大地を伝って足元に届く。
購買の方からはコロッケの油とソースの匂い。混ざるように、風に揺れた桜の枝の青い匂いがかすかに漂う。
俺はため息を落とし、リンの膝に頭を預けた。
コンクリートの硬さよりも、ずっと落ち着く体温。
額にかかる光が、ちょうど遮られる。
誰も何も言わない。
この四人にとっては、もう日常の一部になっていた。
佐伯は俺の斜め向かいに腰を下ろし、長い脚を投げ出して背に手をつき、空を仰いだ。
「……呼び出されすぎて、ほんと声出なくなる」
低いぼやきが風に紛れた。首筋に汗が光り、短く刈った髪が太陽に透けて見える。三年間、バスケ部のエースであり続けたあいつには、卒業の間際になっても人が絶えない。
「分かる~。あたしも後輩ちゃんたちに“先輩、大好きです”とか“最後にツーショット撮ってください!”とか、もうラッシュ。あれマジで体力いるんですけど」
水野はスマホを胸に抱え、あぐらをかいてフェンスに寄りかかる。画面には通知が途切れなく並び、白い指がせわしなく動く。
「返事はどうしたんだ」
佐伯が目を細める。
「笑ってごまかした。卒業の前日に“はい”も“いいえ”も、なんか違うじゃん。……優しくなくてごめんって感じ」
言葉は軽いが、声の端に疲労がにじんでいた。
「優しいと思うけどな」
佐伯は小さく笑って、視線を空に戻す。
「ありがと」
水野は唇を尖らせ、照れ隠しのようにスマホを裏返した。
俺は目を閉じたまま、会話を遠くに聞いていた。
リンの膝の下で重心を預け、ただ風の音と三人の声に紛れる。これも日常。特別視する必要はない。
「……いいなぁ、膝枕」
水野がふと笑って、体を起こす。
「何が」
「見りゃ分かるでしょ。ちょっと疲れたんで、あたしにも貸して」
「ダメ。俺のだから、これ」
「ケチ。──なら、あんたでいいや」
言うなり、ごろりと水野は佐伯の膝に頭を乗せた。
「おい、重いって! なんで俺なんだよ」
「いいじゃん。エースでしょ? ギャル一人くらい余裕で支えらんなきゃね」
「理屈が雑すぎる」
「うっさい。今から寝るから、静かにして~」
水野はスマホを胸に抱え、わざとらしく大きなあくびをして目を閉じた。
佐伯は呆れ顔のままため息をつき、無言でブレザーを脱ぐ。
言葉ひとつなく、水野の腰元へかけてやった。短く揺れるスカートが影に消える。
水野は反応しない。ただ当然のように受け入れ、肩の力を抜いた。
礼も説明も要らない。三年間で築いた関係には、そんなやり取りはもう必要なかった。
風が金網を鳴らす。校庭からは掛け声が重なり、ゴールネットの揺れる音が遠くに響いた。
リンはサンドイッチの包み紙をきれいに折り、音も立てずにポケットへ収める。その小さな動作の静けさが、屋上全体の空気をさらに整えていた。
「なあ、卒業したらさ」
佐伯が空を仰いだまま言う。
「こういう静かな場所、また見つけられるかな」
「見つけるでしょ。だって、見つけ慣れてるじゃん」
水野が膝の上から目を閉じたまま返す。
「体育館裏とか、校舎の隅とか。――結局みんな、静かなとこ探して集まるんだよ」
「……かもな」
佐伯が笑う。俺は目を閉じたまま、短くうなずいた。
チャイムが鳴った。
風にほどける鐘の音が、壁に反響して消える。昼休みの終わり。
俺は上半身を起こし、髪を指で整える。リンが無言で襟を直した。
水野は伸びをしてから、佐伯の膝から頭を離す。佐伯はブレザーを肩に戻し、皺を払った。
「行くか」
俺の言葉に、三人は当たり前のように立ち上がる。
フェンスの影が長く伸び、青空は少し白みを帯びていた。
扉を閉める音が、屋上の静けさを切り取る。
廊下のざわめきが戻り、俺たちはまた何事もなかった顔でそこへ溶け込んだ。
卒業式が目前に迫った時期特有の浮ついた空気。机の列のあいだを絶え間なく人が行き来し、笑い声と呼び声と椅子の軋みがごちゃまぜになって押し寄せてくる。
黒板には「卒業まであと○日」と誰かが書き残した落書きが白く残り、隅には色あせたポスターが斜めに貼られている。けれどそんな些細なものさえ、今は喧騒にかき消されて誰の目にも入らない。
俺の席も、その渦中にあった。
机を囲むようにして女子たちが群がり、伸ばした手が制服の胸元を狙ってくる。
「一ノ瀬くん、第二ボタンちょうだい!」
「早い者勝ちだから! 抜け駆け禁止ね!」
「写真、一枚だけでいいから! お願い!」
同時に三方向から引っ張られて、鞄のストラップが肩からずり落ちかける。俺は苛立ちを抑え、舌打ちしそうになる唇をかろうじて笑みに変える。
ここで強く拒めば、余計に面倒になる──経験で知っていた。俺にとってはただの卒業前の雑事だが、彼女らにとっては一生ものの「記念」らしい。
「はいはい、落ち着けって。順番な」
軽く手を挙げ、場を宥める。視線が集まるのは、慣れきった感覚だ。俺は昔からそうだった。
その少し先。教室の中央に近い辺りでは、佐伯が別の喧騒の渦に呑まれていた。
彼はバスケ部のエース。背が高く、爽やかな笑顔を浮かべれば男女問わず人気がある。
「佐伯くん、進路どこ行くの?」
「試合のDVDまだある?」
「サインちょうだい!」
「最後に一緒にシュート練習して!」
一斉に飛んでくる声。腕を掴まれ、背中を叩かれ、ノートを差し出され。
佐伯は困ったように笑い、「ちょ、待って待って。順番、順番な」なんて言いながら、それでも一人ひとりに誠実に答えていた。
汗の匂いがまだ抜けきらないジャージ姿の後輩たちが廊下から顔を覗かせているのが見える。スポーツ万能で、正真正銘の人気者。それが佐伯だ。
一方、窓際の方では水野が女子の輪に取り囲まれていた。
「水野先輩、今日も可愛い……!」
「卒業しちゃうの、嫌です……」
「最後に一緒に写真撮ってください! 保存用と投稿用で二枚!」
後輩女子たちが目を潤ませ、スマホを握りしめながら訴える。
水野は金髪混じりの髪をかき上げて、スマホを片手に「はいはい、落ち着きなって。順番守んなきゃダメでしょ」なんて笑っている。
「タグ付けいいですか?」
「アイコンにしてもいいですか?」
「あの、わたし本気で好きで……」
声が次々重なり合う。
その様子は、アイドルの握手会さながらだった。カメラのシャッター音と女子の歓声が一瞬にして重なり、ドラマチックな光景に変わる。
水野は器用に画面を操作しながら、次々にポーズを作っては撮らせ、撮ったそばから加工してSNSにアップしていた。
「はい、こっち見てね。……はい、盛れた! 次の子!」
そのテンポの良さに、さらに黄色い声が上がる。
……教室全体が、忙しない。
笑い声と呼び声とシャッター音。窓の外の風の音すらかき消されるほどの喧騒。
誰もが誰かと繋がろうとして、ひとときも止まらない。
そのなかで──ただ一人だけ、動かないやつがいた。
リンだ。
教室の後ろ、少し離れた机に肘をつき、静かにこちらを見ている。
声を出さない。誰とも喋らない。まるで騒音の海から切り取られた、別世界の存在みたいに。
瞳はただ俺を追っている。その奥に、計算の光が宿っているように見える。
──なにやってんだ、あいつ。
昨日の告白を思い出す。変な冗談。真に受ける価値もない。
……なのに。
いつもなら当然のように俺の隣にいて、肩を並べていたやつが、今日は教室の端にいる。
その距離が、わずかに俺の背筋をざらつかせた。
まさか、昨日の告白の影響?
冗談だったはずだ。そう思って処理した。
それでも、いつもの場所にいないことが、気にかかる。
「一ノ瀬ー! ほら早く!」
「写真! みんなで撮ろ!」
「次は私!」
また腕を引っ張られ、思考は簡単に流された。
俺には俺の喧騒がある。リンがどこにいようと関係ない──そう思い込むことにして、また笑顔を作った。
窓の外では、春の風に桜の枝が揺れている。
ざわめきと笑い声の中で、俺はほんの一瞬だけ、遠くに座るリンの目の色を意識した。
けれどすぐに、人波と声に呑み込まれ、その感覚は消えた。
* * *
卒業式が間近に迫っても、教室の喧騒は鎮まるどころか増す一方だった。
呼び声、笑い声、写真のシャッター音。騒がしさに揉まれる毎日から逃れるように、俺たちはいつもの場所へ向かう。
屋上。
本来は立入禁止だが、俺だけは特別に許されている。教師から渡された鍵は、ポケットの奥でいつも冷たい感触を保っていた。
「一ノ瀬なら大丈夫だろ」──そう言われて渡されたもの。家の名と態度、両方の裏付け。公式的な甘やかし。
昼休み。鉄の扉を押し開けると、空気が一変する。
廊下に溢れていた声の波は一瞬で背中に落ち、代わりに冷たい風が頬を撫でた。
フェンスの向こうに広がるのは、校庭と街並み。
サッカー部の掛け声が小さく聞こえ、ボールが芝に弾む乾いた音が重なる。テニス部のラリーの音が軽快に響き、時折ホイッスルが高く割り込む。遠くでは電車が橋を渡り、低い振動が大地を伝って足元に届く。
購買の方からはコロッケの油とソースの匂い。混ざるように、風に揺れた桜の枝の青い匂いがかすかに漂う。
俺はため息を落とし、リンの膝に頭を預けた。
コンクリートの硬さよりも、ずっと落ち着く体温。
額にかかる光が、ちょうど遮られる。
誰も何も言わない。
この四人にとっては、もう日常の一部になっていた。
佐伯は俺の斜め向かいに腰を下ろし、長い脚を投げ出して背に手をつき、空を仰いだ。
「……呼び出されすぎて、ほんと声出なくなる」
低いぼやきが風に紛れた。首筋に汗が光り、短く刈った髪が太陽に透けて見える。三年間、バスケ部のエースであり続けたあいつには、卒業の間際になっても人が絶えない。
「分かる~。あたしも後輩ちゃんたちに“先輩、大好きです”とか“最後にツーショット撮ってください!”とか、もうラッシュ。あれマジで体力いるんですけど」
水野はスマホを胸に抱え、あぐらをかいてフェンスに寄りかかる。画面には通知が途切れなく並び、白い指がせわしなく動く。
「返事はどうしたんだ」
佐伯が目を細める。
「笑ってごまかした。卒業の前日に“はい”も“いいえ”も、なんか違うじゃん。……優しくなくてごめんって感じ」
言葉は軽いが、声の端に疲労がにじんでいた。
「優しいと思うけどな」
佐伯は小さく笑って、視線を空に戻す。
「ありがと」
水野は唇を尖らせ、照れ隠しのようにスマホを裏返した。
俺は目を閉じたまま、会話を遠くに聞いていた。
リンの膝の下で重心を預け、ただ風の音と三人の声に紛れる。これも日常。特別視する必要はない。
「……いいなぁ、膝枕」
水野がふと笑って、体を起こす。
「何が」
「見りゃ分かるでしょ。ちょっと疲れたんで、あたしにも貸して」
「ダメ。俺のだから、これ」
「ケチ。──なら、あんたでいいや」
言うなり、ごろりと水野は佐伯の膝に頭を乗せた。
「おい、重いって! なんで俺なんだよ」
「いいじゃん。エースでしょ? ギャル一人くらい余裕で支えらんなきゃね」
「理屈が雑すぎる」
「うっさい。今から寝るから、静かにして~」
水野はスマホを胸に抱え、わざとらしく大きなあくびをして目を閉じた。
佐伯は呆れ顔のままため息をつき、無言でブレザーを脱ぐ。
言葉ひとつなく、水野の腰元へかけてやった。短く揺れるスカートが影に消える。
水野は反応しない。ただ当然のように受け入れ、肩の力を抜いた。
礼も説明も要らない。三年間で築いた関係には、そんなやり取りはもう必要なかった。
風が金網を鳴らす。校庭からは掛け声が重なり、ゴールネットの揺れる音が遠くに響いた。
リンはサンドイッチの包み紙をきれいに折り、音も立てずにポケットへ収める。その小さな動作の静けさが、屋上全体の空気をさらに整えていた。
「なあ、卒業したらさ」
佐伯が空を仰いだまま言う。
「こういう静かな場所、また見つけられるかな」
「見つけるでしょ。だって、見つけ慣れてるじゃん」
水野が膝の上から目を閉じたまま返す。
「体育館裏とか、校舎の隅とか。――結局みんな、静かなとこ探して集まるんだよ」
「……かもな」
佐伯が笑う。俺は目を閉じたまま、短くうなずいた。
チャイムが鳴った。
風にほどける鐘の音が、壁に反響して消える。昼休みの終わり。
俺は上半身を起こし、髪を指で整える。リンが無言で襟を直した。
水野は伸びをしてから、佐伯の膝から頭を離す。佐伯はブレザーを肩に戻し、皺を払った。
「行くか」
俺の言葉に、三人は当たり前のように立ち上がる。
フェンスの影が長く伸び、青空は少し白みを帯びていた。
扉を閉める音が、屋上の静けさを切り取る。
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